「、お帰りなさい!」
ホグワーツに着くと、はルーピンとスネイプから大広間に行くように言われた。そして、その指示通りに大広間に行くと、ハリーたちが夕食を食べているところだった。しかし、がハリーたちに気付くよりも先に、ハーマイオニーが気付いていた。グリフィンドールのテーブルに歩いてくる途中でハーマイオニーに抱き着かれた。
「、お帰りなさい!心配してたのよ」
「ただいま、ハーマイオニー。心配かけてごめんなさい」
はハーマイオニーに笑いかけ、それからハーマイオニーの後ろで自分を見ているハリーとロンを見た。
「お帰り、」
ハリーがの視線に気付き、笑顔でそう言った。
「うん、ただいま」
は嬉しそうに返事をした。
「クリスマスパーティのことは聞いた?」
は夕食を食べると、ハリーたちと一緒に談話室の暖炉前で他愛ない話を始めた。もちろん、大広間からグリフィンドール塔までの道のりは遠く、は何人もの生徒たちに再び帰ってきたことを歓迎された。
「えぇ、聞いたわ。ルーピン先生が教えてくれたの」が答えた。
「誰と踊る予定?」
ロンがうきうきしながらに聞くと、が口を開く前に、ハーマイオニーはロンに言った。
「はたった今帰ってきたばかりなのよ。誰にもまだ誘われてない――」
「――うぅん」
ハーマイオニーの声に、突然が割り込んだ。
「私、相手は決まってるの。ルーピン先生が言ってたわ。確か・・・・・『ディゴール』だったかしら?」
「それって、もしかして『ディゴリー』じゃなくて?」
ロンが助け舟を出すと、は嬉しそうに頷いた。
「そう、その人」
「でもなんでの相手が決まってるんだ?」ハリーが不服そうに言った。
「多分、あなただと、またの身が危険に晒される恐れがあるからじゃないかしら」
ハーマイオニーが冷静に言った。それでもハリーは不満そうだ。
「ハリー、大人になりなさいよ」
しかし、ピシャリとハーマイオニーに言われ、ハリーはため息混じりに頷いた。
「えっと・・・・・ごめんなさい」
が不穏な雰囲気に耐え切れず、そう口を開くと、ハリーが――まだ納得していない顔付きだったが――気にしないで、と答えた。
「まあ、でもルーピン先生も良い選択をしたと思うわ。セドリックなら、ほとんどの生徒がその存在を知らないもの。に嫉妬するより、セドリックが何者か考えるでしょうね」
ハーマイオニーは一人頷き、に笑いかけた。
「だけど、はセドリックのこと、知ってるの?」
ロンが不思議そうにに問い掛けると、は首を振った。ディゴリーがセドリックだろう、ということはわかったが、彼が何者なのかは自分も知らない。
「とっても良い人よ」ハーマイオニーがニッコリした。
「一応、クイディッチのキャプテンだったし」ハリーが苦々しげに言った。
「それに監督生だったし、首席だったし」
ハリーと同じく、ロンもおもしろくなさそうな顔付きだ。
「監督生って?」
突然、が口を挟んだ。
「監督生っていうのは寮の監督に当たる生徒のことよ。それぞれの寮の五年生以上の生徒、男女二人が選ばれるの。胸にPの字が入った銀色のバッジをつけてるから、すぐにわかるわ。そして、その監督生をまとめるのが、二人の首席の役目よ」
ハーマイオニーはそう説明しながら、が役職についているのを思い出した。すると、ハーマイオニーがに言う前にロンが先に教えていた。
「そういえば、。君、首席だよ!」
「私が、首席?」
びっくりした顔のまま、は数秒固まった。
「ああ、そういえば。でも大丈夫だよ。今のところ、仕事ないし」
ハリーがを安心させるように微笑んだ。
「ハリーが言うなら確かね――ハリーも首席なのよ、」ハーマイオニーが付け足した。
「ハリーってすごいのね。クイディッチのキャプテンに、首席だなんて」
心底、感心した顔で、がハリーを見た。にそんな目で見られて、ハリーも悪い気はしない。
「あら、でもあなたと踊るセドリックもクイディッチのキャプテンだったし、首席でもあったわ」
ハーマイオニーはに褒められていい気になっているハリーに少しムカッとして、にそう言った。
「みんなすごいのね」
良い気分のところを邪魔されて、ハーマイオニーをにらみつけているハリーを余所に、は一人感心していた。
そんなとき、ネビルが四人に近づいてきた。
「ハリー、ふくろうが届いてたよ」
「あ、うん。ありがとう」
ハリーはネビルからふくろうを受け取った。
「誰からだい?」
ネビルがいなくなると、ロンが興味深そうにハリーの手元を覗き込んだ。
「父さんからだ」
少しクセのある自分の名前の綴りと、適当な手紙の折り方に、ハリーは思い当たる節があって、すぐにそう答えた。
「また何かあったのかしら」
ハーマイオニーが心配そうに呟いた。
「何かあったら、手紙より騎士団のメンバーが直接伝えるだろ?どうせのことだと思うけど――」
そう笑いながら、ハリーは手紙を開いた。そして、一通り目を通すと、やっぱり、と言って笑った。
「に大好きって伝えてってさ」
「私もジェームズのことは好きよ」
がにっこり笑いながら答えた。
「それだけじゃないでしょ、ハリー」
ハーマイオニーが追求した。
「君はせっかちだね、ハーマイオニー」ハリーが厭味っぽく言った。
「クリスマス前にホグズミードに行ける日があるらしいから、その日にを連れて『三本の箒』まで来てほしいって」
「ホグズミートって?」
はハーマイオニーが何かハリーに言い返す前に、口を挟んだ。
「ホグワーツ校の近くにある魔法の村だよ。マグルは誰もいない。3年生になると保護者の許可証さえあれば特定の週末に行くことが許されるんだ。僕ら、みんな許可証は持ってるから、行くことが出来るし、あそこは面白いものがたくさんあるから、行かなきゃ損だよ!」
ロンはうきうきしながらにそう説明した。
「早く、行きたいな」
がそっと笑みを漏らすと、つられてハリーもロンもハーマイオニーも笑顔になった。
<ワンドリランキングに清き一票を!> この作品は面白かったですか?