Twenty-seven Memorise
ハロウィーンが終わったと思ったら、次はクイディッチという競技の試合だった。ハリーが言うにはも記憶が無くなる前はチェイサーという役を務めていたらしいが、今のは記憶がなく、飛ぶこともまだ練習していないため、チームから抜けたことになっているらしい。ちなみにハーマイオニーによれば、ハリーはグリフィンドールのクイディッチ・チームのキャプテンだ。
「飛ぶ練習して、クイディッチのルールも理解出来たら、またチームに戻れるよ」
ハリーはそう言って励ましたが、にとってクイディッチが魔法界でどれほど人気なゲームか知らないので、別に戻れなくてもよかった。それよりも、ハリーがキャプテンのことに驚いた。
「ハリーとロンの練習を見に行きたい」
がそう頼むと、ハリーは快く許してくれた。そして、クイディッチの練習が終わったら、そのままフーチ先生という人に飛行訓練をしてもらおう、とハリーは提案した。その提案に、ロンもハーマイオニーも大賛成で、ハリーは直ぐさまマクゴナガル先生のところに言いに行った。きっと騎士団の会議での飛行訓練をいつするか話し合っていたのだろう。マクゴナガル先生も直ぐに許可してくれた。そしてフーチ先生にアポまで取ってくれた。
が乗る箒はどうするの?」
当日、クイディッチ競技場に向かいながらハーマイオニーがハリーに聞いた。
「僕のを使えばいい。じゃあ、ハーマイオニー、を頼んだからね」
ハリーはロンと早足でどこかに行ってしまった。不思議な顔をしていると、ハーマイオニーがハリーたちは更衣室に行ったのだと教えてくれた。クイディッチのユニフォームに着替えるらしい。
「私たちはどこに行くの?」
は迷子にならないようにハーマイオニーに手をひかれていた。
「競技場の観客席に行くのよ」
ハーマイオニーに連れられて階段を上り、観客席から競技場を見下ろすとちょうどハリーとロンがユニフォームに着替えて出てくるところだった。手には箒を持っている。
ハリーとロンはたちに気付くと、箒に跨がり、飛び上がった。
「眺めはどう?」
ハリーとロンはとハーマイオニーが座っているところまで来ると、ロンがそう聞いた。
「とっても高いのね。あの三つの輪はなに?」
が指差した先には十六メートルの金の柱の先に輪がついていた。
「あれはクアッフルを入れるためのゴールさ。君がやっていたチェイサーはそのクアッフルを投げ合って、相手のゴールに入れるんだ。チェイサーは三人いるんだよ――クアッフルっていうのはこれさ」
ハリーが「呼び寄せ呪文」を唱えると、真っ赤なボールが飛んできた。ハリーはそのボールを上手にキャッチすると、に手渡した。
「これを投げるの?」
「うん。それで、僕がゴールを守るんだ。キーパーさ。チームには一人しかいないんだ」ロンが自慢げに言った。
「それとビーターが二人、彼らはブラッジャーと呼ばれるボールからプレーヤーを守るんだ。ブラッジャーはロケットのように飛び回って、プレーヤーをたたき落とそうとするからね――」
ハリーの説明が続く。
「――それと最後にシーカー。各チームに一人ずつ。『金のスニッチ』と呼ばれる小さなボールを捕まえるんだ。そのボールを捕まえると一五○点入る。それに、スニッチが捕まらないと試合は終わらないんだ。僕がそのシーカーをやってる」
の代わりのチェイサーは誰になったの?」
ハーマイオニーがハリーの説明が終わったのを見計らって聞いた。
「ディーンだよ。でも、が調子を取り戻すまでってちゃんと言ってある」
そのとき、下からハリーとロンを呼ぶ声が聞こえた。どうやら選手たちが揃ったようだった。
「それじゃあ、後でね」
ハリーとロンはそう言って、急降下していった。
「私、クイディッチの選手だったんだ」
がしみじみとそう言うと、ハーマイオニーがクスリと笑った。がハーマイオニーを見ると、が怒ったのだと勘違いして、ハーマイオニーは謝った。
「怒ってないわ。ただ、どうして笑ったのかな、って」
「可愛かったから」
ハーマイオニーはそれだけ言うと、またちょっと笑った。はわけがわからないまま、練習が始まったグリフィンドールのクイディッチ・チームを見つめた。ロンはゴール前に飛んでいる。さっき、が手にした赤いボールのクアッフルをジニーとディーンがパスしながらゴールしようとしている。そして、はハリーと話している人物にくぎづけになった――アレン・フラシスだ。
「アレンもクイディッチの選手なの?」
がハーマイオニーに尋ねると、ハーマイオニーが丁寧に答えてくれた。
「そうよ。あなたと同じチェイサー。あと、ジニーもチェイサーよ――あら、フーチ先生だわ!」
ハーマイオニーにつられて振り向くと、確かにそこには先生がいた。
「こんにちは、・ブラック。グレンジャー。話はマクゴナガル先生から聞いています」
フーチ先生はの隣に座った。
「箒はファイアボルトで練習と聞きました――」
「ファイアボルト?」
は聞き慣れない名前に、首をかしげた。すると、ハーマイオニーが小声で「ハリーの箒の種類の名前よ」と教えてくれた。
「あ、はい。ファイアボート――」
ファイアボルト!
「――です」
ハーマイオニーがの声に重ねてフォローした。フーチ先生は肩を揺らして笑っている。
「相変わらずですね、ブラック」
フーチ先生は楽しそうだ。
それから、フーチ先生はファイアボルトの長所について長々と演説し――とハーマイオニーは半分以上、聞き流していたが――そのあと、ハリーの練習風景を見て、彼が良いキャプテンだと褒めた。
「練習、終わったみたい」
ハーマイオニーが身を乗り出した。
「ハリー、お疲れ様!」
もハーマイオニーの真似をして、身を乗り出してハリーに叫んだ。ハリーはまさか、がそんな言葉をくれるとは思っていなかったようで、箒から降りるとき、間違えて頭から降りてしまった。ロンやジニーや他の選手が心配半分、面白半分にハリーの様子を伺っている。
「私、何かいけないこと言っちゃったみたい・・・・・」
がしょんぼりすると、ハーマイオニーが「あれはハリーが間抜けな所為よ。あなたには関係ないから大丈夫よ」と言った。

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