二人は校長室に入るとダンブルドアがだしてくれた椅子に座った。
「『闇の印』というのは、簡単にいうとヴォルデモートの印じゃ。あやつは必ず自分が襲ったところにあの印を打ち上げた。あの印の下にはあやつが殺した者の遺体が横たわっている、ということじゃ。つまり君にあの印が送られてきたということは――」
ダンブルドアは最後まで言わずに首を振った。もしかしたら、そのような意図でに送ったのではないかもしれない。希望はまだあった。
「まだ確実ではない。ただ注意は怠らない方が良い」
ダンブルドアは長い指を組んで、ハリーとを見た。
「今後、君たちへの両親からの手紙はルーピン先生から渡されることになる。それ以外の手紙は必ずルーピン先生の目の前で開けるのじゃ。無論、ハリー、ハグリッドからの手紙も例外ではない。じゃが、それを黙っておくのは酷じゃ。ハグリッドには直接、君に伝えるように言おう」
そのとき、どこからともなく不死鳥の羽根がダンブルドアの机の上に舞い降りた。
「君の父上たちが到着したようじゃ。どうするかね?少し話をしていくかね」
ダンブルドアはブルーの優しい目をハリーとに向けた。
としては、別に彼らと話すことはなかったし、話したいとも思わなかったが、ハリーが残るようなので、も残ることにした。
「ダンブルドア、『闇の印』が現れたとは本当ですか?」
ジェームズが深刻な顔をして校長室に入ってきた。その後ろから、シリウス、ルーピンと続いた。
「本当じゃ」
すると、そのときまたドアが開き、手紙を持ったスネイプが入ってきた。手紙からは黒い物体が覗いていたが、垂れる様子はなく、すでに固まったようだった。
スネイプはシリウスたちを一瞥すると、ダンブルドアの机に手紙を置いた。
「主成分はバジリスクの毒かと」
「ご苦労じゃった、セブルス」
スネイプはそれだけ言って、踵を返すと校長室を後にした。
「バジリスクの毒だって?」シリウスが歯ぎしりした。
「あれは秘密の部屋に存在したので終わりのはずだ!何故、あいつがその毒を手に入れられる?」
「シリウス、落ち着くんだ。忘れたのか?あいつは裏の世界に顔が利く。誰か一人くらいバジリスクの毒を隠し持っていても不思議ではない」
ジェームズが出ていったスネイプを追い掛けようとするシリウスの肩を掴んだ。
「それにシリウス。私たちが優先すべきなのはハリーとのことだよ」
ルーピンが静かにそう言って、ダンブルドアに状況説明を頼んだ。ダンブルドアはハーマイオニーが話した通り、三人に話した。ハーマイオニーの話にどこも間違いはないので、ハリーもも黙ってダンブルドアの話が終わるのを待った。
「――それで、に怪我は?」
ジェームズが話が終わるとすぐに言った。
「大丈夫です、ジェームズ」
は振り返ってニッコリ笑ってみせた。
「よかった」ジェームズもつられて笑顔になった。
「それにしても、こんな早くに行動を起こすなんて」シリウスが唸った。
「それだけ向こうも焦っているのか、それとも準備万端なのか」
ルーピンがシリウスに答えるようにつぶやいた。
「とにかく、危険に備えすぎることはないってことですね」
ジェームズがダンブルドアを真っ直ぐ見た。
「そうじゃ。そこでなんじゃが、今後、ハリーやに手紙を送る場合、一度、リーマスを通して渡したい。無論、他の直接彼ら宛の手紙の場合はリーマスの目の前で開けることにしたいのじゃ。どうかね?」
ダンブルドアはブルーの目をシリウスとジェームズに向けた。
「異論はありません、ダンブルドア」二人が答えた。
「なら決まりじゃな――ハリー、、次の授業からは出なさい」
ダンブルドアたちに見送られ、二人は校長室を出て行った。中にシリウスたちがまだ残るということは、騎士団の話がまだあるのだろう。
「ハリー」
は一歩前を歩くハリーに声をかけた。
「助けてくれてありがとう。おかげで私の足が焦げずに済んだわ」
振り向いたハリーに、はニッコリ笑いかけた。ほのかにハリーの頬が赤くなった。
「別にあんなの助けたうちに入らないよ・・・・・」
ハリーはごにょごにょと言った。
そして、その日の夕食の時、は朝よりももっと――にとっては――重大なニュースを耳にした。ハリーとロンはクイディッチという競技の練習のため、先にハーマイオニーと一緒に大広間にきたはグリフィンドールのテーブルに座った。
「、ねえ、今の聞いた?ハロウィン・仮装パーティですって!」
ハーマイオニーが通りすがりの女の子たちの話を耳にしてワクワクした顔で言った。
「――楽しみだわ!みんなどんな仮装をするのかしら」
とハーマイオニーの目の前に、見たことはあるが名前は知らない女の子が座った。
「彼女はパーバティ、こっちがラベンダーよ」
ハーマイオニーが素早くに耳打ちした。
「えーっと――ラベンダー?――あなたはどんな仮装を考えてるの?」
はわいわい騒ぎだした二人に恐る恐る声をかけた。新学期ももう一日が過ぎようとしている。未だに普通に話せるのがハリーたち三人だけとは、あまり胸を張れない。
「そうね、やっぱり可愛い仮装がいいわ。ま、どうせには敵わないでしょうけど」
ラベンダーが、意味わからないという顔をしたに軽くウィンクして「そのうちわかるわよ」と言った。
「ねえ、ハーマイオニー。って記憶がなくなっても天然なのね」
パーバティがクスクスと笑いながらハーマイオニーにささやいた。
「、隣に座ってもいい?」
が顔を上げるとグリフィンドールのネクタイをしめた男の子が笑顔で立っていた。
「ええ、いいわ」
は何故、自分にそんなことを聞くのか不思議に思いながらもそう答えた。
「えっと、僕のこと覚えてないよね?」
その男の子が苦笑いしながら言った。は悪いと思ったが、その通りなので頷いてみせた。
「僕はアレン・フラシス。今、六年生なんだ。君と付き合ってたんだ」
はその言葉に目を丸くした。そして、血の気がひくのを感じた。
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