ホームにはすでにたくさんの人々がいた。はシリウスたちとはぐれないように必死で後を追った。
「、大丈夫?」
そんな中、ハリーがに気遣ってに手を差し出した。
「あ、うん」
はハリーの手を取ろうかどうか迷ったが、みんなとはぐれたら困るので、甘えて手を繋ぐことにした。
「いいなー。ハリーはまた一年間、を独り占めか」
ジェームズがと手を繋いだハリーをうらやましそうに見ながら言った。
「あのねえ、父さん・・・・・」
本気で父親がこんなので悲しくなるハリーだった。
「あら、ウィーズリー家の人たちよ」
が指差す方を見ると、ロンやロンのお父さんが、の知らない人たちと一緒にいる。ふっくりとした優しそうな女の人は多分、母親だろう。そして、ロンと一緒にいるのは姉か、妹か。
「こんにちは」
リリーが挨拶した。
「こんにちは。は大丈夫?」
優しそうな女の人はににっこり笑いかけた。きっと自分とは知り合いなのだろう、とは思った。しかし、は全くその人を覚えていない。
顔に不審そうな色が出たのだろう。女の人はちょっと気まずそうに言った。
「いきなり、ごめんなさいね。わたしはロンの母親よ――ロンは知ってるかしら」
「はい」が答えた。
ウィーズリーおばさんはふんわりと笑顔を見せると、傍らにいた女の子をの前に押し出した。
「こっちはジニー。ロンの妹よ」
「こんにちは」
「こんにちは」
とジニーはお互いを見て、頭を下げた。
「やあ、ハリー。楽しい夏休みだった?」
「まあまあさ」
一方、ハリーとロンは男の子同士、盛り上がっていた。
「さあ、コンパートメントを探してきなさい。空いているところがなくなっちゃうわよ」
リリーに急かされて、ハリーもロンも、、ジニーも汽車に乗り込んだ。
「ジニー、僕らのコンパートメントおいでよ」
がちらりと振り向くと、グリフィンドール寮で見かけたことのある男の子だった。
「ええ。今行くわ、ディーン」
ジニーはディーンと呼んだ男の子にそう言うと、三人に向き直った。
「それじゃあ、あっちでね」
ジニーはさっさと向こうへ行ってしまった。
「さっきの男の子、見たことあるわ」
がハリーを見上げると、ハリーは丁寧に教えてくれた。
「彼はディーン・トーマス。ジニーの恋人だよ。僕らと同じグリフィンドール生で、同輩さ」
「ふうん。ロンは彼女いないの?」
がロンに話を振ると、ロンが何故だか真っ赤に染まった。傍ら、ハリーがニヤニヤしている。
「い、いないさ、彼女なんて」
「意外ね――」
がロンに感想を述べようとすると、脇から誰かが割り込んだ。
「早くコンパートメント見つけないと、立ったままホグワーツに行くことになるわよ」
ハーマイオニーだった。ハーマイオニーはがいるのに気がつくと、笑顔が輝いた。
「あぁ、、会いたかったわ!あなたったら、全然連絡をくれないんだから。まあ、いいわ。早く行きましょ。多分、あっちの方に空いているコンパートメントがあるはずよ」
ハーマイオニーは一人でまくし立てると、を半ば強引に引っ張っていった。その後をハリーとロンが遅れをとらないように急いでやってくる。
ハーマイオニーの言う通り、空いているコンパートメントが見つかった。四人はトランクを下ろし、ペットを置くとホームに再び降り立った。四人ともそれぞれの両親の元へ駆けていった。
「気をつけてね、」
が優しくを抱きしめた。
「何かあったら絶対に周りの大人に言うのよ――出来たら騎士団のメンバーに」は少し声を抑えた。
「わかってます」はにっこりした。
「落ち着いたら手紙でも送ってくれ。返事は必ず書く――リーマスとスネイプのやつに独り占めさせてたまるか」
後者のシリウスのつぶやきは運よくの耳にも、の耳にも入らなかった。
「行ってきます。パパ、ママ」
が最上級の笑顔が二人に見せてそう言うと、二人は本当に嬉しそうな顔になった。
「いってらっしゃい、」
そのとき、別れを惜しむ家族をせき立てるように、汽笛が響いた。
「さあ、早く行きなさい」
が急いで汽車に飛び乗るってホームを振り向くと、温かい笑顔を浮かべたシリウスと目が合った。
夏休み中はずっとそばにいて、なにかと自分を気遣ってくれていた彼が、これからはいないのだと思うと、は悲しくなった。
「悲しそうな顔をするな、」
シリウスが優しく言った。
「わたしはいつだっておまえが呼べば、すぐにおまえの傍に行く――だからそんな顔をするな、」
一つのコンパートメントをハリー、ロン、、ハーマイオニーで占領すると、ロンとハーマイオニーはの夏休みを聞きたがった。
そこではハリーに補ってもらいながら、リーマスとスネイプの補講から、スネイプの個人授業まで、話せる範囲で彼らに話して聞かせた。
「よくシリウスが怒らなかったわね・・・・・」
話が終わると、ハーマイオニーが半ば、感心したように言った。
「うん、僕もそう思うよ」ハリーがクスクスと笑った。
「が倒れたって聞いたときのシリウスは、なだめるのに父さんでもてこずったほどだったからね」
ハリーがそう言うと、ロンもハーマイオニーも笑った。
「ねえ、」
ハーマイオニーは一人で話に入らず、窓の外を眺めているに話し掛けた。
「あなたの、その指輪がシリウスたちからもらったっていう指輪?」
はまさか話し掛けられるとは思っていなくて、ハーマイオニーをまじまじと見つめた。
「違った?」ハーマイオニーが申し訳なさそうに聞いた。
「ううん、ただ、話し掛けられるとは思ってなくて――」
が恥ずかしそうにもごもごと言うと、ハーマイオニーはクスリと笑った。
「驚かせてごめんね――それで、それが例の指輪?」
「うん!」は嬉しそうに言った。
「触ってもいいかしら?」ハーマイオニーが聞いた。
「もちろん」
は指からキラキラと輝くシルバー・リングを外し、ハーマイオニーの手のひらに乗せた。
「例の指輪って?」
ロンがハーマイオニーの手のひらを覗き込んだ。
「がシリウスとジェームズとルーピン先生からプレゼントされた指輪よ」
ハーマイオニーは指輪を一通り見終わると、に差し出した。
「ありがとう、。とても素敵な指輪ね」
はポッと赤くなった。
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