とハリーは出迎えてくれたシリウスとに連れられて家路についた。
「ハリー、に部屋を案内してあげて」
家に着いたとたん、ハリーはにそう言われたので、ハリーは自分の部屋に行く前にの部屋に立ち寄った。
「ここが君の部屋。荷物を少し片付けたらリビングに来るといいよ。母さんたちが夕食にしてくれるはずだから」
ハリーはがわかったと頷いたのを確認すると、クルリと背を向けた。
がじっくりと自分の部屋を眺めていると、いつの間にか時間が過ぎていて、ジェームズが部屋に呼びにきた。
「、夕食だよ」
物珍しそうに自分の部屋を物色するをジェームズは愛らしく思った。
「あ、すみません。今いきます」
は慌ててリビングに降りていった。ジェームズはクスリと笑うとゆっくりとした歩調での後に続いた。
「やあ、。また会ったね」
リビングではやリリー、ハリーが席に着いていた他、ルーピンもさりげなく一緒に座っていた。は疑問に思いながらも、が用意してくれた席についた。
「明後日に正式にを紹介するって」
食事をし始め、ルーピンがシリウスに話しかけた。
「わかった。それまでに今までの経緯を話せば?」
「うん、そうだね」
シリウスとルーピンの話を聞きながら、は少し不安になった。まだ自分が知らないことはたくさんあった。
「ハリー、そういえば成績はどうだったか聞いてないわね」突然、リリーがにこやかに言った。
「あれ?そうだっけ?」ハリーはとぼけてみせたがあまり効果はなかった。リリーの雷が落ちるのは三十秒後。
次の日、は朝からずっとシリウスとジェームズとハリーと今までのことについて話していた。
「私がそんな能力を持っているなんて信じられないし、信じたくもない。どうして私がヴォルデモート郷という人物に狙われなければならないんですか」それが今のの正直な感想だった。記憶のあるがどう思っていたかは知らないが、それでも今の自分と似たような気持ちだと思った。
そんなの感想に三人はかける言葉が見付からなかった。
「でも、それでも君は立ち向かっている。それだけじゃダメかな?理由なんていらないと思う」
ジェームズがフッともらした。
「別に私は不満はありません。ただ、記憶が戻ったときのために、後悔しないようにそのまま、いつも通りに向かっていきたいだけです」はふわりと笑った。ただ、少しだけ泣き言を言いたかっただけだ。シリウスたちを困らせるつもりは微塵もない。
「それで、不死鳥の騎士団ってなんですか?」は先をうながした。
「不死鳥の騎士団はヴォルデモート郷や死喰い人に対抗するために、学校を卒業した者たちで結成されている。本部はここで、ダンブルドアが率いる」
シリウスがすらすらとそう言う中、は必死に理解しようと耳を傾けていた。
「本部に入っていいんですか?」初めて口に出した質問だった。
「さっきも言った通り、ハリーももヴォルデモート郷に狙われている。普通の家ではもう殺されているし、はもうあいつの手中にいるはずだ。ここは特別な魔法がかけられている。誰にも見付けられないし、ダンブルドアの下にいれば安全だ」シリウスが言った。
「それに、ヴォルデモート郷は君が魔法を使えば君を拐うチャンスをもらえる。君の魔法はそれだけ特別なんだ。だから学校にいる間、魔法を使わせてもらえなかっただろう?普段の君ならうまく誤魔化せるが、今の君には能力が足りない、すぐに捕まってしまう」ジェームズがきっぱりと言った。
「私が捕まると、何かあるの?」
がジェームズにそう聞くと、ジェームズはシリウスをチラリと見た。
「おまえの力が悪用されるとか以前に、娘が拐われて心配しない親がどこにいる」
シリウスがポンポンとの頭を撫でた。は心の中に暖かいものが広がるのを感じた。
そのとき、ルーピンがしかめっ面のスネイプを連れて現れた。
「ずいぶん仲良くなったね、と」ルーピンがにこにこ笑った。
「なんでこいつがここにいるんだ?」
しかし、シリウスはルーピンの言葉を無視し、スネイプを指差した。
「が招いたんだよ。あれ、聞いてないの?」ルーピンが目を丸くした。
「聞いてない!」シリウスはスネイプをにらみつけたが、スネイプはそしらぬ顔だ。
「スネイプはシリウスやパパと仲が悪いんだ。唯一仲が良いのはだけだよ」ハリーがに耳打ちした。
「それにスネイプはが好きだったみたい。はに似てるからスネイプがいつも優しいんだ」
「彼女は綺麗よ、外も内も。誰だって好きになれるわ」がボソリと呟いた言葉はハリーを驚かせるのには十分だった。
「うん、は良い人だね」
とハリーはそれ以上言葉を交さなかった。ただ、二人はお互いを見て微笑むだけだった。
「シリウス、セブルスに杖を向けないで。セブルスも杖を降ろしてよ」
いつの間にかもリリーも来ていて、シリウスとスネイプとの仲裁に入っていた。
「、なんでこいつがここにいるんだ?」シリウスが唸った。
「ダンブルドアの頼みよ。の様子見。ついでだから夕食も一緒にどうかと思ったの」ふんわりと微笑むにシリウスは嫌とは言えない。頷くだけだった。
「そうそう――」が思い出したように手を叩いた。
「――明日、みんなが来るでしょう?だから、ハリーもも大人しくしてね」
ハリーが頷くのを見て、もそれにならった。
「『みんな』って?」
大人たちが自分たちの世界に入ってしまうと、はこっそりハリーに聞いた。
「あぁ、明日、騎士団のメンバーが揃うんだよ。良い人たちばっかりだから大丈夫。それに面白いし」
そして、ハリーは声を抑えて言った。
「スネイプとマクゴナガルもその一員さ」
これ以上、人と名前を覚えることになるとは夢にも思わなかった。は頭を抱えこんでしまった。
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