「ここのクラスは魔法薬学と言って、魔法薬を作るの。グリフィンドールからは私たち四人だけ。かなり厳しい条件のクラスよ。ハッフルパフとレイブンクローからは二人ずつ。スリザリンからは三人よ」
ハーマイオニーがの隣に座って説明した。
「おまけに教師はスリザリン贔屓。は気に入られてるけどね」
ロンがぶつぶつ言ったのが、ちょうどスネイプに聞こえてしまった。
「グリフィンドール二点減点――さて、今日は脱狼薬を作る。材料は全てここに。手順は黒板だ。始め」
が以前聞いた声より、スネイプの声に不機嫌さが感じられた。は他の三人の真似をして、材料を取りに行った。
「おい、。今朝はよくもやってくれたな。僕らが血縁関係にあるのを忘れたのか?」マルフォイはの腕を掴んだ。
「私、あなたが誰だか知らないわ」
「マルフォイ、に触れるな」
と被せるように、ハリーが言った。マルフォイはニヤリと笑ってハリーを見た。
「ポッター、の彼氏気取りか?赤の他人が口を出すな」
そして、マルフォイはスネイプを気取った声で呼んだ。
「先生、ポッター君が授業の邪魔をします」
ハリーはマルフォイを睨んだが、もう遅い。スネイプはグリフィンドールから五点減点していた。そして、今ごろ気づいたかのようにに言った。
「ブラック、君は薬を煎じなくていい。この地下牢を吹っ飛ばされたらたまらん。他人の煎じる様子で学習しろ」
は手にとった材料をそっともとあった場所に戻した。
「、行こう」
ハリーは少し当惑しているに、マルフォイをにらみつけながら声をかけた。
「僕のを見ていればいい」
ハリーとは二人で一つの大鍋の前に立った。ハーマイオニーを見ると、もう大分進んでいるようだった。
「、手伝って」
ハリーはに自分のナイフを渡し、材料を正確に切ることを頼んだ。これなら魔法を使うこともない。
「ハリー、出来た」
しかし、は記憶がなくなっても相変わらず手際が良く、あっという間に終わってしまった。
「早いね、」ハリーは思わず苦笑した。
「じゃあ、そこで見てて」
ハリーにそう言われて、は結局、授業が終わるまでハリーの様子を観察していた。
「そこまで。薬を小瓶に詰めて提出するように」
スネイプは終了のベルが鳴ると同時にそう言った。そして、杖をひとふりして机の上に提出用の小瓶を出した。
生徒たちは小瓶に薬を詰めて提出したが、には提出するものがなく、ただハリーの片付けを手伝っているだけだった。
「それにしたってマルフォイのやつ」
授業が終わり、地下牢から出ると、とたんにロンが悪態をついた。
「あのね、ハーマイオニー」
はロンに注意しようとするハーマイオニーのローブを引っ張った。
「ずっと気になってたこと、聞いてもかまわない?」
「もちろんよ」ハーマイオニーが嬉しそうに頷いた。
「グリフィンドールとか、減点とか、良く分からないの。一体なんのことなの?」
ハーマイオニーとロンは驚いたように顔を見合わせ、ハリーを見た。ハリーは少しバツが悪そうに目をそらした。
「ハリー、教えてなかったのね?」ハーマイオニーが聞いた。
「忘れていたんだ。てっきり、は寮のことを知ってると思ってた」
「まったく、仕方ない人ね!あのね、――」ハーマイオニーはに向き直った。
「ホグワーツは四つの寮に別れていて、グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフ、そしてスリザリンという寮があるの。私たちはその中のグリフィンドールに属していて、規則に反する行いなどをした場合は寮の得点から減点され、良い行いをした場合は加算されるわ。学期末にはその時点で得点の多い寮が表彰される。私たちが一年生のころから、グリフィンドールはずっと優勝しているわね――もっとも、あなたとハリーのおかげだけど」
ハーマイオニーはに微笑んだ。いつの間にか、大広間についていて、はハリーの隣に座ってた。ふと、上座の席を見ると、さっき授業をしてくれたマクゴナガル先生とスネイプが座っていた。その近くに昨日出会ったルーピンと呼ばれる男がいて、真ん中には同じく昨日出会ったダンブルドアがいた。
「、食べないと元気でないよ。どうしたの?」
ハリーがをつついた。
「あ、うん。昨日出会った人たちが座ってるなって思って」
「そりゃそうだよ。彼らは学校の先生だから。中には腐った教師もいるけど」ハリーはチラリとスネイプを睨んだ。
「それに、家に帰れば、まだ会うんだよ。もうすぐ学期も終わるし」
ハリーはそう言って食事をし始めた。はどういうことか、わからなかったが、深くは聞かないことにした。
「でも、はテストを受けるのかしら」ハーマイオニーがボソリと呟いた。
「さあ?でも、僕は受けないと思うよ。がこんな状況じゃ受けても仕方ないじゃないか」ロンが言った。
「多分、そうだと思う。シリウス――君の父さんだ」ハリーはに言った。「――はの成績なんか気にしてないし、―君の母さんだ――もこんな状況じゃ悪くても何も言わないだろ?」
「それもそうだけど・・・・・」ハーマイオニーはまだ何か言いたそうだった。
「とにかく、そんなことよりは昼食を食べてよ。朝御飯も食べてないんだから。これ以上痩せてどうするんだい?」
ハリーは無理矢理話をきると、の方に大皿を近付けて、食べるようにうながした。
「痩せて帰るとシリウスに怒られるよ、」ハリーがため息をついた。
は恐る恐る見たこともない食事に手を伸ばした。意外に美味しかった。
「食べ終ったら次は『闇の魔術に対する防衛術』?」ロンが聞いた。
「そうだよ。、食べながら聞いてね――『闇の魔術に対する防衛術』のクラスは君が昨日会ったルーピン先生という人が教えてくれる。彼は優しいから、安心して大丈夫だよ」
ハリーは四六時中、不安そうな表情を浮かべるに微笑んだ。
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