Four Memorise
「リーマス、、リリー、今夜、シリウスの家に集まってくれるかの?」
その後、ずっと五人で医務室にいると、夕方にダンブルドアがもう一度訪ねてきた。
「彼らも向かうそうじゃ。今後のことについて、手を打たんと」
「分かりました。シリウスとジェームズには伝えます」が立ち上がって言った。
「あの」
突然、ハリーが立ち上がった。
「なんじゃね?」
ダンブルドアが優しい目を向けた。
「今夜、医務室に泊まっても良いですか?」ハリーの目は真剣だった。
ともう少し話がしたいんです」
ダンブルドアは少し考え込んだ。
「――良かろう。君の寮監とマダム・ポンフリーにはわしが伝えよう」
「ありがとうございます」

その夜、ルーピンととリリーはハリーにを任せてシリウスの家に旅立った。ハリーはのベッドの隣に、マダム・ポンフリーが出してくれたベッドを並べると、横になった。隣のベッドではが変身術の教科書を読んでいる。
、理解出来そう?」
突然話しかけられたはビクッと反応した。
「えっと、あの・・・・・」は何て言おうか迷った。
「どうしたの?」
「ハリーさんは私と同学年なんですよね?」は言葉を選びながら、そう言った。
「そうだよ。だから、ハリーでいいし、丁寧に言わなくていいよ」
ハリーはベッドに腰かけて、をジッと見た。
「私、どんな人でし――人だった?」は律儀にハリーの頼みを守った。
は――」ハリーは少し迷いながら答えた。「素敵な人だよ。今の君も、記憶がなくなる前の君も、素敵な人だ」ハリーの頬が少し赤くなった。
「ハリーはのことが好きなの?」が単刀直入に聞いた。
「・・・・・わからない」ハリーが頭を振った。
「でも、はあなたが好きなんだと思う。本能が好きって言ってる」
「君は記憶があるより鋭いね」
ハリーが笑った。何故か、別人と話しているような気がした。
「『』は鈍いの?」
「結構ね」
ハリーとはお互いを見て、笑い合った。
「明日、朝起きたら一緒に大広間に行こう。友達はみんな心配してた」
「この学校の人はみんな心配症ね」がクスクス笑った。
「君は人気者だからね。みんなに好かれてる分、心配される度も大きくなるよ」
ハリーは何気なく言ったつもりだったが、にはお見通しだった。
「好きな分、嫉妬してるのね」
「どう思う?」ハリーは目の前にいるのがだとは、到底思えなくなっていた。
「人の気持ちは透視出来ないわ」は肩をすくめた。なんだか、ハリーとは心置きなく話せそうな予感がした。
「そのわりには、僕の気持ちを読んでるけど?」
は返す言葉が見つからず、苦笑してみせた。
「君と話していると、いつもの以上に面白いよ」
「それは誉められているのかしら?」
は少し怒った口調で、しかし笑いながら聞いた。
「ほめてる」
ハリーはクスクス笑った。
「大分、元気になったね」
「あなたのお陰よ」
はニッコリと笑った。それがなんだか眩しくて、ハリーは目を細めた。
「もう寝た方がいいよ。魔法薬学が明日は二時間続きなんだ」
はそんなに疲れる授業を受けるのかと、半ばゲッソリしながら横になった。ハリーはそれを確認すると杖を振り、灯りを消した。
「あ・・・・・」
「どうかした?」
突然、声を漏らしたにハリーが素早く反応した。
「ううん、なんでもない」
は自分でも挙動不審だな、と思いながらも、「おやすみなさい」と呟いた。ハリーも深くは追求せず、「おやすみ」というと、しばらくして寝入った。
しかし、は寝れなかった。頭の中で先程の光景が写し出されていた。まさか、言えないだろう。自分がハリーに殺される場面が見えただなんて。

次の日、はあまり冴えない頭のまま朝を迎えた。しかし、まだ寝たいと言うのは無理な相談であり、はハリーと共に大広間に向かった。
すると、その途中、ゴリラのような巨大な体の男の子を二匹ひきつれた男の子が偉そうに声をかけてきた。
「よう、。具合はもう良いのか?頭の中身は壊れなかったか?」
はなんとなくこの男の子に腹が立ってきた。
「マルフォイ、うせろ」
「お前こそ、そこをどきな、ポッター」
ハリーはの前に立ち、マルフォイとにらみ合った。そのとき、ふとの頭に閃くものがあり、は指をパチンとならした。すると、不思議なことにマルフォイの体がどんどん小さくなっていった。
マルフォイの用心棒、クラッブとゴイルは焦って既に手のひらサイズになったマルフォイを手にのせて、右往左往していた。
、一体何を――」
ハリーが振り向いてに問いかけようとするとは当惑した表情でハリーを見つめかえした。
「わかんない。私、ただ――」
そのとき、今度はではない誰かが指を鳴らす音が聞こえた。するとマルフォイが元のサイズに一瞬にして戻った。
「ポッター!」
ハリーとの背後に黒いマントに包まれたスネイプが立っていた。
「グリフィンドール十点減点」スネイプが言い放った。
にはグリフィンドールも十点減点という意味も分からなかったが、良い意味ではないことは理解出来た。
「ドラコ、朝食に向かえ。ポッター、ブラック、一緒に来るのだ」
スネイプはクルリと背を向けるとスタスタ歩き始めた。ハリーは渋々その後ろを歩き始めたが、はポケッとそれを眺めていた。
、『ブラック』っていうのは君のことだよ」
ハリーはわざわざが突っ立っているとこれまで戻ると、そう囁いた。
「え、私?」
はそうとう驚いた表情で言うと、スネイプに追い付こうと小走りになった。ハリーとはやっとのことで追い付くと、スネイプとの距離が広がらないように歩いた。そのとき、が可愛い声をあげて無様に転んだ。ハリーもスネイプも振り替えってを見た。
ホグワーツの床は気まぐれで、教員はもちろん、六年生になればホグワーツのどこらへんの床が安心出来ないかは、目をつぶっても分かる。しかし、の外見は六年生でも、中身は一年生よりもっと知識は乏しかった。
ハリーはに手を差し出したが、その前に、スネイプがの体を抱き起こしていた。
「気をつけろ」
スネイプはそれだけ言うと、またスタスタと歩き始めた。

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