Emergency conference 緊急会議
!」
家に着くと、血相を変えたシリウスとリリーが駆け寄ってきた。
「何があったの?大丈夫?」
「襲われたの。死喰い人がいたわ!」
シリウスの眉間にシワがより、リリーは口元を押さえた。
「今、ジェームズがを病院へ連れて行ったところだ」アーサーが言った。
「こっちも今、集まれる人を出来るだけ呼び集めているところよ。アラスター・ムーディがすでに到着してる」
リリーが厨房を指差した。
「もうすぐ私の息子も来ると思うよ」
そのとき玄関の扉が開き、見慣れない顔が現れた。
「リリー、何事だ?」
一人は長身の黒人男性で、髪が薄く、片耳に金のイヤリングをしていた。
「緊急事態なんでしょう?」
もう一人は風船ガムのように明るいピンク色のツンツンしたショートヘアの女性だ。
二人ともリリーとシリウス、そしてアーサーと顔見知りのようだ。
「詳しくは奥で話すわ」リリーはの目を気にしてか、そう言った。
すると、二人はの存在に気づいたのか、ニコッと笑ってに向かい自己紹介した。
「わあ!あなたがね!にすごい似てる。私、ニンファドーラ・トンクス。闇祓いなの。私のことはトンクスって呼んで」
はトンクスと握手した。
「私はキングズリー・シャックルボルトだ。トンクスと同じく闇祓いをしている。よろしく」
がキングズリーとも握手をすると、シリウスは補足とばかりに口を挟んだ。
「キングズリーは私の追跡の責任者であり、嘘の情報を魔法省に流してくれているんだ」
「パパがいつもお世話になっています」
は少し考えた後、キングズリーに頭を下げ感謝した。
「シリウス、良い娘を持ったなあ」
キングズリーがしみじみとそう言った。
そのとき再び扉が開き、マクゴナガルとビルが入ってきた。
「こんにちは」
取り合えずはマクゴナガルに向かって挨拶した。
、怪我はないようですね」
マクゴナガルはを一瞥するとそう言った。そしてリリーに向き直った。
「リーマスから連絡があり、彼もこちらへ向かうそうです」
「わかりました。厨房で、アラスターがすでに待ってるわ」
「わかりました」
マクゴナガルは足早に家の奥に進んだ。不死鳥の騎士団の会議はすでにここ家で何度も開かれているためか、勝手知り足る様子だ。
「さあ、我々も先に席についていようか」
キングズリーがトンクスに言うと、アーサーとビルも一緒に厨房に向かった。
「会議が始まるの?」が聞いた。
「ええ。もうすぐね」リリーが答えた。
そして、扉が開き、今度はスネイプとリーマスが入ってきた。
スネイプはシリウスとをちらっとみると、リリーに軽く頷き、厨房へそのまま移動した。
「私も先に行くわね」
リリーもスネイプの後を追った。玄関にはとシリウス、リーマスが残された。
「スネイプの奴、挨拶もなしか」
シリウスがぶつぶつ言った。
「そんなことよりも、、大丈夫なのかい?」
リーマスがと視線を合わせ、聞いた。
が重症だと聞いたが」
「死喰い人が来たの。ママの家に。窓から逃げようとしたんだけど、外であいつらが待ち受けてた。ママがベラトリックス・レストレンジって言ってた。あとグレイバックって呼ばれてた人がいたから二人しか名前がわからなかったけど、あとハグリッドのバックビーグの処刑執行人がいたのはわかるわ」
ベラトリックス・レストレンジ!
シリウスが唸った。は恐る恐るシリウスに尋ねた。
「パパの従姉でしょう?」
ああ、とシリウスは腹立たしげに言った。
「それで、はどうしたんだい?」リーマスが話を促した。
「姿くらましでグリンゴッツ銀行の近くに連れてってくれたの。だから逃げられた。だけど、死喰い人たちがママに攻撃してて、銀行についたときにはママは倒れてた――」
リーマスがよく頑張ったね、とぎゅっと抱き締めてくれた。
「君が無事でよかった」
「本当にそう思ってる?」はリーマスの目を見て聞いた。
「どうしたんだい?」
リーマスは質問には答えず、聞き返した。
「ママから聞いたよ。私、ヴォルデモートの孫なんでしょう?」
リーマスの目が少し泳ぎ、シリウスが息を吐いた。
は今日、話すと言って、を連れてあの家に帰ったんだ」
「そうか」
シリウスはリーマスの隣に屈むと、を見た。
、誰がなんと言おうとお前はお前だ。血筋なんて関係ない。私だってブラック家の血を、だってヴォルデモートの血をひいている」
「その両方をひく私はもっと最悪ってこと?」
シリウスは今更ながら墓穴を掘ったと思った。
、そんなことないよ。本当に血筋なんて関係ないんだ」
リーマスがシリウスの失言を庇った。
「君が言っている血筋という考え方は、リリーのようなマグル生まれの者を穢れた血と言う者たちと同じ行為だよ」
「私、リリーのことをそんなふうに思ってない」
がリーマスに食って掛かると、リーマスはポンとの頭に手のひらを乗せ、例えばの話だと言った。
「でも、ヴォルデモートの孫だって知って、みんな恐ろしがるわ!」
リーマスは首をふった。
「そんなことはない。確かに中には心無い人がいてそう言うかもしれない。私が人狼だと周りの人に知られたときそうだった。ホグワーツの当時の先生方がいい例だ。しかし、心無い人ばかりでなく、ダンブルドアのように理解を示してくれる人もいた。シリウスやジェームズなんて私のためにアニメーガスにまでなってしまった」
リーマスが咎めるようにシリウスを見ると、シリウスはニヤッと笑った。
「だから、君にも絶対にそういう人々が周りにいるはずだ」
「そんな人、いないかもしれない。みんな怖がって話も聞いてくれないかもしれない」
がネガティブにそういい続けると、シリウスが鼻で笑った。
「バカ言え。わたしはがヴォルデモートの娘とわかってあいつと結婚したんだ。今更お前を恐れる理由がどこにある。第一だ、リーマスもジェームズもリリーもがヴォルデモートの娘だともっと昔から知っているが誰も怖がったりしない――まあ、だがあいつがキレたときは別だ」
最後、ふんぞり返って言う台詞ではないだろうとリーマスは思ったが、が納得しかけている表情なので何も言わないことにした。
「それに、お前にはハリーたちがいるだろ。真の友情は簡単には壊れないさ」
シリウスはリーマスを見ると、お互いにニッコリと笑った。羨ましい、とは素直にそう思った。
「騎士団の人たちもがヴォルデモートの娘だと知った上で一緒に動いてくれているんだ。今だってと君の件で騎士団のメンバーが集まりつつある」リーマスが言った。
そのとき、突然扉が開き、ジェームズとダンブルドアが入ってきた。
ジェームズは玄関にがいることで驚いたようだが、彼女に駆け寄るとぎゅっと抱き締めた。
「ああ!!心配したよ!」
ジェームズがあまりにも強く抱き締めるのでは肋骨が折れそうだった。
「心配でわたしの方が意識不明の重体になりそうだったよ!」
「ずいぶん白々しい演技だな、ジェームズ」
シリウスがあきれた様子で言った。
「それで、の様子は?」
リーマスもジェームズの演技力はこの際無視なのか、真剣な面持ちで聞いた。
「うん、なんとか命は取止めたよ。だけど、まだ意識は戻らなそうだね。今、騎士団のメンバーが念のため病室に付き添ってる」
よかったね、とジェームズがニッコリとに笑いかけ、は安心したためか思わず涙が溢れた。
「わたし抜きで会議を始めててください。と一緒に待っています」
シリウスがそっとの肩を抱き、ダンブルドアに言った。
「すまんが、シリウス、そうさせてもらおう。時間が惜しいのじゃ」
ジェームズとリーマスは顔を見合わせて頷くと、シリウスに後はよろしく、と言って、ダンブルドアに続いた。
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