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Weird Wizarding Dilemmas and Their Solutions 奇妙な魔法のジレンマとその解決法
いよいよ第二の課題の前夜だった。夕日が落ちてからも、四人は図書館で互いに姿が見えないほどうずたかく机に本を積み、憑かれたように呪文のページをめくり続けていた。
「不可能なんじゃないかな」
机の向こう側から、ロンの投げやりな声がした。
「なんにもない。なーんにも。一番近いのでも、水溜りや池を干上がらせる『旱魃の呪文』だ。だけど、あの湖を干上がらせるには弱すぎて問題にならないよ」
「何かあるはずよ」
ハーマイオニーは蝋燭を引き寄せながら呟いた。ハーマイオニーは、疲れきった目をして、「忘れ去られた古い魔法と呪文」の細かい文字を、ページに鼻をくっつけるようにして、詳細に読んでいた。
「不可能な課題が出されるはずないんだから」
「出されたね」ロンが言った。
「じゃあ、他の人はどうしてるのよ。不可能な課題じゃ甲乙つけられないわ」
が不機嫌な声を出した。
「僕、どうするべきだったのか、わかったよ」
「トリック好きのだめのおいしいトリック」の上に突っ伏して休憩しながら、ハリーが言った。
「僕、父さんみたいに、『動物もどき』になる方法を習えばよかった」
「うん。好きなときに金魚になれたろうに」ロンが言った。
「それとも蛙だ」ハリーが欠伸した。疲れきっていた。
「無駄口たたいている暇があったら役に立つ情報を探しなさいよ」
も疲れでイライラしていた。
「わかってるさ」
ロンは背表紙の半分かけた古い本に取り組み始めた。
「ああ、これは役に立たないわ」
ハーマイオニーは「奇妙な魔法のジレンマとその解決法」をパタンと閉じながら言った。
「鼻毛を伸ばして小さな輪を作るですって。どこのどなたがそんなことしたがるって言うの?」
「俺、やってもいいよ」
フレッド・ウィーズリーの声がした。
「話の種になるじゃないか」
ハリー、ロン、、ハーマイオニーが顔を上げると、どこかの本棚の陰からフレッドとジョージが現れた。
「こんなところで、二人で何してるんだ?」ロンが聞いた。
「おまえたちを探してたのさ」ジョージが言った。
「マクゴナガルが呼んでるぞ、ロン。ハーマイオニー、君もだ」
「どうして?」ハーマイオニーは驚いた。
「知らん・・・・・少し深刻な顔をしてたけど」フレッドが言った。
「俺たちが、二人をマクゴナガルの部屋に連れて行くことになってる」
ジョージが言った。
ロンとハーマイオニーはハリーとを見つめ返した。互いに、マクゴナガルに何故呼び出されているのか分からなかった。
「談話室で会いましょう」
ハーマイオニーが二人にそう言うと、ロンと一緒に席をたった。
「ここにある本、できるだけたくさん持ち帰ってね。いい?」
「えぇ」が頷いた。
八時になると、マダム・ピンズがランプを全部消し、ハリーとを巧みに図書館から追い出した。本をもてるだけ持って、重みでよろけながら、ハリーとはグリフィンドールの談話室に戻った。テーブルを片隅に引っ張ってきて、二人はさらに調べ続けた。
クルックシャンクスがの膝に乗って丸くなり、低い声で喉を鳴らした。談話室の二人の周りは、だんだん人がいなくなった。みんな、明日はがんばれと、ハグリッドと同じように明るい、信じきった声で応援して出ていった。みんながみんな、第一の課題でみせたと同じ、目の覚めるような技をハリーが繰り出してくれるのだろうと、信じきっているようだった。あと十分で真夜中というとき、談話室はハリーととクルックシャンクスだけになった。持ってきた本は全部調べつくしていた。
「方法が無いわけがないのよ!」
が最後の一冊を机に叩きつけ、その音に驚いたクルックシャンクスがの膝から飛び降りた。
「だってそうでしょう?他の代表者はどうなるの?こうなったらジェームズたちに聞くべきよ。彼らなら何か――」
自身も限界が近かった。珍しく感情的になっていた。
「いやだ。父さんたちに聞くくらいなら審査員に課題ができないって申告した方がましだ」
ハリーはの言葉に立ち上がってそう反論した。
「徹夜でもなんでもやってやる。もう一度図書館に戻る」
そう言って、ハリーは寝室への螺旋階段を駆け上がっていた。そして、透明マントを取ってくるとをチラッと見て言った。
「手伝ってくれてありがとう。でも、もう良いよ。君は先に休んでて」
声をかける暇もなかった。ハリーはすでに談話室から出て行っていた。
「・・・・・――」
目の前で何かがヒラヒラしているのが分かった。
「ってば」
もう一度瞬きをすると、それが手だとわかった。
「第二の課題が始まるぞ」
「やぁ・・・・・」
「や、じゃなくて!」
そんな声が聞こえたかと思うと、顔の真ん中あたりが摘まれるのを感じた。そして、息苦しくなり、目を開けた。
「起きた?」
ジョージの笑顔が目の前にあって、こっちを見ていた。
「いったいなに?」
まだ覚醒していない頭で、精一杯にそう言うと、隣でクスクスと笑う声がして、フレッドの声がした。
「第二の課題が始まるんだって。もう九時過ぎだ」
「えぇ!」
ガバッと身を起こすと、そこは談話室だった。昨日、結局本を調べながら寝てしまったらしい。読みかけの本が、床に落ちていた。
「あぁ、嘘でしょう・・・・・」
絶望的な気分ではそう呟いた。結局何も見つけられなかった。
「も見に行くだろ?第二の課題」
「えぇ、だけど、ハリーとロンとハーマイオニー見なかった?」
せめて謝りたくて、フレッドとジョージにそう尋ねたが、二人は彼らの行方を知らなかった。三人とも朝食にいなかったらしい。確かに、あの三人の誰かが談話室を通ったなら、を起こしていくはずだ。
「さあ、行こう。良い席がなくなるぞ」
ロンとハーマイオニーは多分、先に行ったのだろうとは思い込むことにした。そしてハリーが一時間、水の中で生き延びる方法を見つけたことを祈りながら、はフレッドとジョージと一緒に湖に向かった。
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三人の安否が心配です。