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A stunning beauty 水も滴る良い男
「、一体何をする気だい?」
「いいから貸して下さい」
ルーピンの問い掛けに、は荒々しく答えた。ルーピンはジェームズをチラリと見た。どうするか迷っているようだ。
「リーマス、貸してあげてくれないか?」
ジェームズがそう言うと、ルーピンはゆっくりと引き出しから羊皮紙の切れ端を取り出した。
「もしかして、『透明マント』も必要じゃないのかい?」
ジェームズはやっとピンときたらしく、に聞いた。
「ないよりある方がいいわ」はジェームズを見ると、ニヤリと笑った。
「リーマス、『透明マント』も良いかな?」
「、まさか、君――」
「大丈夫よ、先生」はにっこり笑ってみせた。そして、ルーピンが躊躇しながらも差し出した「マント」を手にすると、ルーピンの私室を飛び出した。
まずは医務室に戻って、杖を手に入れなければならない。
「!」
確か病室に置いたはず、とこっそり忍びこむと、中にはハリー、ハーマイオニー、ロンが中にいて、を見つけた。
「おはよう」
「おはようじゃなくて、あなた、どこにいたの!」
が挨拶をすると、ハーマイオニーがつかみ掛かってきた。
「どこって・・・・・ダンブルドアとジェームズと一緒にパパに会いに行って、その後、『闇の魔術に対する防衛術』の教室でルーピン先生と落ち合って、先生の私室で朝食を取って、ここに杖を取りに来たの――」
「まったく心配したのよ!」ハーマイオニーは目くじらを立てて怒った。
「起きたらあなたの姿はないし、先生に聞いたら無事だとしか教えてくれないし!」
「あ、うん、ごめん。だけど、ありがとう。パパのこと助けてくれて」
がそう言うと、パッとハーマイオニーはから手を離してまじまじとを見た。
「聞いたの?」
「いいえ」はにっこり笑った。
「昨日の夜はいつの間にか寝ちゃって、ダンブルドアから話を聞けなかったの――ジェームズとルーピン先生はすでに話を聞いたようだけど――朝起きて、ジェームズにあなたたちに聞けって言われたの」
「父さん、無事だった?」
ハリーが突然口を挟んだ。
「うん、元気だったよ。今日、リリーとママに会って、事情を説明して、それで彼を二人に会わせるって――そういえば、魔法省はジェームズが生きていること、どうやって納得したか知ってる?」
「ファッジは父さんがシリウスに『錯乱の呪文』をかけられて、監禁されていたようだって納得してた」ハリーが答えた。
「そう。なら、ジェームズは犯罪者扱いじゃないわね」
はにっこり笑って、病室の机の上にあった自分の杖を掴み、出て行こうとした。
「、君、もう行くのか?」ロンが驚いた声を上げた。
「ええ、時間がないの。どうしてもしなきゃならないことがあって。三人とも、お昼に退院って聞いたわ。事が済んだら合流するから、そのときに、昨日、何があったか聞きたいな」
の言葉に、三人は頷くと、病室を急いで出て行くを見送った。
はマントをかぶって地図を広げた。スネイプは自分の部屋にいるようだ。は悩んだ末、地下牢へ降りる階段の近くのトイレの蛇口を捻り、水を出して呪文を唱えた。
「
ウィンガーディアム・レヴィオーサ!
」
水はまるで蛇のように浮き上がり、の杖先で一つの球体になっていった。はもう一度、蛇口を捻り水を止め、十分に大きくなった球体の水を浮かばせながらスネイプの部屋の前まで来た。は自分の姿がきちんと隠れていることを確認し、水が部屋のドアの上にスタンバイしているのを確認すると、スネイプの部屋をノックした。
「誰だ」
中からスネイプの声がして部屋のドアが開いた。しかし、スネイプには誰の姿も見えない。スネイプは不審そうに部屋から一歩外に出た――今だ。
バシャンと、豪快な水の音と共に、スネイプの体も、床も、周辺一帯が水浸しになった。は必死に笑いを堪えながら素早く階段を駆け上がり、ルーピンの部屋にすべりこんだ。
「先生、地図とマント、ありがとう!」
は興奮しながら、ルーピンに地図とマントを差し出すと、ジェームズがクスクス笑った。
「相変わらず君は悪戯っ子だね」
「ジェームズほどじゃないわ」
ジェームズにはすべてがバレていそうだった。二人の会話を聞きながら、ルーピンは呆れた様子だ。
「君は、まさか――」
「ルーピン!ブラックを出せ!」
ルーピンが何かを言いかけると、いきなり部屋のドアが開いて、ずぶ濡れの凄い形相のスネイプが立っていた。
「セブルス、いくらわたしが辞任したからと言って、まだここにはプライベートなものがたくさんあるんだ。ノックくらいしてほしいね」ルーピンが無表情に言った。やはり、狼人間だと暴露したことが突っ掛かっているらしい。
「失礼だが、ルーピン。我輩は君がかくまっている・ブラックに用があるのだ。彼女を引き渡していただければすぐに退散する」
スネイプはそう言いながらも、目はすでにを捕らえ、にらみつけていた。は何気ない口調でスネイプに話し掛けた。
「スネイプ先生、ずぶ濡れですが、どうされたんですか?」
「貴様の責任だ!」スネイプはルーピンの部屋に足を踏み入れようとしたが、ジェームズが邪魔で入れない。
「私の?先生、何かの間違いですよ」はにっこりと笑った。
「とぼける気か!我輩の部屋のドアの上に水を浮かばせ、我輩が出て来たのを見計らって水を落としたのだろうが!透明マントをかぶってごまかそうとしたって無駄だ!」
「スネイプ先生、私がやった証拠でもお持ちですか?」は嘲るような笑みを浮かべながらスネイプに言った。
「証拠?そんなものはなくたってわかる!」スネイプは今にもブチ切れそうだ。もしかしたら、もうブチ切れているのかもしれない。
「スネイプ先生、駄目ですよ」がクスッと笑った。
「昨日、話してたじゃないですか。証拠、証言がないと判決は覆せません。私の父親と同じです」
スネイプはの言葉を聞くと、悔しそうに彼女をにらみつけた。いつもなら絶対に逃がさないが、ジェームズ、ルーピンは明らかにの味方だ。多勢に無勢、スネイプは踵を返すと退散した。
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スネイプ先生、すごすごと退散;;