生徒たちが「闇の魔術に対する防衛術」の最初のクラスにやってきたときには、ルーピン先生はまだ来ていなかった。みんなが座って教科書と羽ペン、羊皮紙を取り出し、おしゃべりをしているとやっと先生が教室に入ってきた。ルーピンは曖昧に微笑み、くたびれた古いカバンを先生用の机に置いた。相変わらずみすぼらしかったが、前より大分健康そうに見える。ルーピンに会ったのは久しぶりのだった。自分の引き取り手だし、学校が始まる前までずっと一緒にいたルーピンだが、改めて教壇に立つルーピンを見ると、教師なのだなと実感するだった。
「やあ、みんな」ルーピンが挨拶した。
「教科書はカバンに戻してもらおうかな。今日は実地練習をすることにしよう。杖だけあればいいよ」
全生徒が教科書をしまう中、何人かは怪訝そうに顔を見合わせた。しかし、はルーピンが前任や前々任の先生よりはるかに頼りになるのを知っていたので、ワクワクしながらルーピンを見た。
「よし、それじゃ、」ルーピン先生はみんなの準備ができると声をかけた。
「わたしについておいで」
なんだろう、でもおもしろそうだと、みんなが立ち上がってルーピン先生に従い、教室を出た。先生は誰もいない廊下を通り、角を曲がった。とたんに、最初に目に入ったのがポルターガイストのピーブズだった。空中で逆さまになって、手近の鍵穴にチューインガムを詰め込んでいた。
ピーブズは、ルーピン先生が五、六十センチくらいに近づいたとき初めて目を上げた。そして、くるりと丸まった爪先をゴニョゴニョ動かし、急に歌いだした。
「ルーニ、ルーピ、ルーピン。バーカ、マヌケ、ルーピン。ルーニ、ルーピ、ルーピン――」
ルーピン先生はこのピーブズにどんな反応を示すだろうと興味深く見ると、彼は相変わらず微笑んでいた。
「ピーブズ、わたしなら鍵穴からガムをはがしておくけどね」先生は朗らかに言った。
「フィルチさんが箒を取りに入れなくなるじゃないか」
しかし、ピーブズはルーピン先生の言うことを聞くどころか、舌を突き出して、ベーッとやった。
ルーピン先生は小さくため息をつき、杖を取り出した。
「この簡単な呪文は役に立つよ」先生は肩ごしにみんなを振り返ってこう言った。
「よく見ておきなさい」
先生は杖を肩の高さに構え、「ワディワジ、逆詰め!」と唱え、杖をピーブズに向けた。
チューインガムの塊が、弾丸のように勢いよく鍵穴から飛び出し、ピーブズの左の鼻の穴に見事命中した。ピーブズはもんどり打って逆さま状態から反転し、悪態をつきながらズーム・アウトして消え失せた。
「先生、かっこいい」ディーンが驚嘆した。
「ディーン、ありがとう」ルーピン先生は杖を元に戻した。「さあ、行こうか」
みんなでまた歩き出したが、全員が冴えないルーピン先生を尊敬のまなざしで見つめるようになっていた。先生はみんなを引き連れて二つ目の廊下を渡り、職員室のドアの真ん前で立ち止まった。
「さあ、お入り」
ルーピン先生はドアを開け、一歩下がって声をかけた。
職員室は板壁の奥の深い部屋で、ちぐはぐな古い椅子がたくさん置いてあった。がらんとした部屋に、たった一人、スネイプ先生が低いひじ掛け椅子に座っていたが、クラス全員が列をなして入ってくるのをぐるりと見渡した。目をギラギラさせ、口元には意地悪なせせら笑いを浮かべている。ルーピン先生が最後に入ってドアを閉めると、スネイプが言った。
「ルーピン、開けておいてくれ。我輩、できれば見たくないのでね」
スネイプは立ち上がり、黒いマントを翻して大股でみんなのわきを通り過ぎていった。ドアのところでくるりと振り返り、捨て台詞を吐いた。
「ルーピン、たぶん誰も君に忠告していないと思うが、このクラスにはネビル・ロングボトムがいる。この子には難しい課題を与えないようご忠告申し上げておこう。ミス・グレンジャーが耳元でヒソヒソ指図を与えるなら別だがね」
ネビルは真っ赤になった。はチラリと視線を上げ、ルーピン先生を見ると眉根をキュッと上げ、スネイプを見ていた。
「術の最初の段階で、ネビルに僕のアシスタントを務めてもらいたいと思ってましてね。それに、ネビルはきっと、とてもうまくやってくれると思いますよ」
すでに真っ赤なネビルの顔が、もっと赤くなった。スネイプの唇がめくれあがったが、何もせずにバタンとドアを閉めて、スネイプは出ていった。
「さあ、それじゃ」
ルーピン先生はみんなに部屋の奥まで来るように合図した。そこには先生方が着替え用のローブを入れる古い洋箪笥がポツンと置かれていた。ルーピン先生がそのわきに立つと、箪笥が急にワナワナと揺れ、バーンと壁から離れた。
「心配しなくていい」
何人かが驚いて飛びのいたが、ルーピン先生は静かに言った。
「中にまね妖怪――ボガートが入ってるんだ」
これは心配するべきことじゃないか、とほとんどの生徒はそう思っているようだった。ネビルは恐怖そのものの顔付きでルーピン先生を見た。シェーマスは箪笥の取っ手がガタガタ言いはじめたのを不安そうに見つめている。
「まね妖怪は暗くて狭いところを好む」ルーピン先生が語り出した。
「洋箪笥、ベッドの下の隙間、流しの下の食器棚など――わたしは一度、大きな柱時計の中にひっかかっているやつに出会ったことがある。ここにいるのは昨日の午後に入り込んだやつで、三年生の実習に使いたいから、先生方にはそのまま放っておいていただきたいと、校長先生にお願いしたんですよ」ルーピンは一息つくと、みんなを見回した。
「それでは、最初の問題ですが、まね妖怪のボガートとはなんでしょう?」
ハーマイオニーが手を挙げた。
「形態模写妖怪です。わたしたちが一番怖いと思うのはこれだ、と判断すると、それに姿を変えることができます」
「わたしでもそんなにうまくは説明できなかったろう」
ルーピン先生の言葉で、ハーマイオニーも頬を染めた。
「だから、中の暗がりに座りこんでいるまね妖怪は、まだなんの姿にもなっていない。箪笥の戸の外にいる誰かが、何を怖がるのかまだ知らない。まね妖怪が一人のときにどんな姿をしているのか、誰も知らない。しかし、わたしが外に出してやると、たちまち、それぞれが一番怖いと思っているものに姿を変えるはずです」
「ということは」
ネビルが怖くてしどろもどろしているのを無視して、ルーピン先生は話を続けた。
「つまり、初めっからわたしたちの方がまね妖怪より大変有利な立場にありますが、ハリー、なぜだかわかるかな?」
の隣でハーマイオニーが手を高く挙げ、爪先立ちでぴょこぴょこ跳び上がっているが、ハリーは気にせずに答えた。
「えーと――僕たち、人数がたくさんいるので、どんな姿に変身すればいいかわからない?」
「そのとおり」
ルーピン先生がそう言うと、ハーマイオニーがちょっぴりがっかりしたように手を降ろした。
「まね妖怪退治をするときは、誰かと一緒にいるのが一番いい。むこうが混乱するからね。まね妖怪を退散させる呪文は簡単だ。しかし精神力がいる。こいつをほんとうにやっつけるのは、笑いなんだ。君たちは、まね妖怪に、君たちが滑稽だと思える姿をとらせる必要がある。初めは杖なしで練習しよう。わたしに続いて言ってみよう・・・・・リディクラス、ばかばかしい!」
「リディクラス、ばかばかしい!」全員がいっせいに唱えた。
「そう。とっても上手だ。でも、呪文だけでは十分じゃないんだよ。そこで、ネビル、君の登場だ」
まるで威嚇するように洋箪笥がガタガタと揺れた。
だがそんなガタガタゆれる洋箪笥よりもネビルはもっとガクガク震えていた。これから絞首台に立つ人間のようだ。
「よーし、ネビル。1つずつ聞いていこうか。まず、君が世界で一番怖いと思うものはなんだい?」
ネビルの唇が動いたが、声が出ない。
「ごめん、ネビル。もう一度言ってくれるかい?」
ルーピンは明るく問いかけた。ネビルは助けを求めるように周りを見回し、蚊の泣くような小さな声で「スネイプ先生」と、呟いた。
ネビルの答えにほぼクラス全体が笑った。ネビルも罰が悪そうだがそれでもニヤっと笑う。しかし、ルーピンだけは真面目な表情で顎に手を添えていた。
「スネイプ先生か・・・・・フーム・・・・・ネビル、君はたしかおばあさんと暮らしているね?」
「え――はい」ネビルは不安げに答えた。「でも――僕、まね妖怪がおばあちゃんになるのも嫌です」
「いや、いや、そういう意味じゃないんだよ」ルーピン先生が今度は微笑んでいた。
「教えてくれないか?おばあさんはいつも、どんな服を着てらっしゃるのかな?」
ネビルはキョトンとしたが、答えた。
「えーと・・・・・いっつもおんなじ帽子。たかーくて、てっぺんにハゲタカの剥製がついてるの。それに、ながーいドレス・・・・・たいてい、緑・・・・・それと、ときどき狐の毛皮の襟巻きしてる」
「ハンドバッグは?」ルーピン先生が促した。
「おっきな赤いやつ」ネビルが答えた。
「よし、それじゃ。ネビル、その服装を、はっきり思い浮かべることができるかな?心の目で、見えるかな?」
「はい」
ネビルは自身なさそうに答えた。つぎは何がくるんだろうと心配しているのが見え見えだ。
「ネビル、ボガートが洋箪笥からウワーッと出てくるね、そして君を見るね。そうすると、スネイプ先生の姿に変身するんだ。そしたら君は杖を上げて――こうだよ――そして叫ぶんだ。『リディクラス、ばかばかしい』――そして、君のおばあさんの服装に精神を集中させる。すべてがうまくいけば、ボガート・スネイプ先生はてっぺんにハゲタカのついた帽子を被って、緑のドレスを着て、赤いハンドバッグを持った姿になってしまう」
みんな大爆笑だった。洋箪笥が一段と激しく揺れた。
「ネビルが首尾よくやっつけたら、そのあとボガートは次々に君たちに向かってくるだろう。みんな、ちょっと考えてくれるかい?自分は何が一番こわいかってことを。そしてその姿をどうやったらおかしな姿に変えられるか、想像してみて・・・・・」
教室の中は急に静かになった。聞こえるのはガタガタという箪笥の音だけだった。
は目を閉じて自分の心の中を覗いた。浮かんできた答えは一つ。あの冷たい目、人間ではないあの姿、しかしまだ彼に君臨している「闇の帝王」という絶対の地位。ヴォルデモートを恐れる自分がいた。
そして、はどうやったら彼を滑稽な姿に変えられるか考えられるだけ考えた。しかし、良い案は思い付かない。は心配になって、周りを見渡した。クラスメートはみんなそれぞれ自分の考えに夢中だ。は自分でも知らぬうちにルーピンに助けを求めていたのか、チラリと彼を見た。ルーピンはの視線に気付いたらしく、彼女に微笑んでみせた。
「みんな、いいかい?」
しばらくしてリーマスがそう尋ねた。見回すとほとんどの生徒がコクリとうなづいていた。
「ネビル、私たちは下がっていよう」ルーピン先生が言った。
「君に場所を空けてあげよう。いいね?次の生徒は前に出るようにわたしが声をかけるから・・・・・。みんな下がって、さあ、ネビルがまちがえなくやっつけられるように――」
みんなが後ろに下がって壁にぴったり張り付き、ネビルひとりが洋箪笥のそばに取り残さた。恐怖に、顔を真っ青にさせていたが、ローブの袖をたくしあげしっかりと杖を構えている。
「ネビル、3つ数えてからだ」ルーピン先生が自分の杖を洋箪笥の取っ手に向けながら言った。「いーち、にー、さん、それ!」
ルーピン先生の杖の先から、火花がほとばしり、取っ手のつまみにあたった。洋箪笥がバーンと勢いよく開き、中からは鉤鼻の恐ろしげなスネイプ先生がネビルを睨みながら現れた。
ネビルはまるで酸欠の金魚のように口をパクパクさせると後ろに下がった。スネイプがローブの懐に手を突っ込みながらネビルに迫った。
「リ、リ、リディクラス!」
ネビルは上ずった声で呪文を唱えた。パチンと音が鳴ると、スネイプが躓いた。今度は長いレースで縁取りしたドレスを着て、見上げるように高い帽子のてっぺんに虫食いのあるハゲタカをつけ、手には巨大な真紅のハンドバックを持っている。
どっと笑い声があがった。まね妖怪は途方にくれたように立ち止まった。ルーピン先生が大声で呼んだ。
「パーバティ、前へ!」
パーバティはきっとした顔で前に出た。またパチンと音がして、スネイプは血まみれの包帯をぐるぐる巻いたミイラになった。
目のない顔をパーバティに向け、ミイラはゆっくりと、迫った。足を引きずり、手を棒のように前に突き出して――。
「リディクラス!」パーバティが呪文を叫んだ。
包帯が一本バラリと解け、ミイラは前につんのめて頭が転がり落ちた。
「シェーマス!」ルーピン先生が吠えるように叫んだ。
ミイラが、床まで届く黒い長髪、骸骨のような緑がかった顔のバンシーに変わった。口を大きく開くと、この世のものとは思われないような声が響いた。
「リディクラス」シェーマスが叫んだ。
バンシーの声がガラガラになり、喉を抑えた。
パチンという音が鳴り、まね妖怪はネズミになった。自分のしっぽを追い掛けぐるぐる回りだす。と思ったらパチンという音と共にグネグネのガラガラヘビになり、クネクネのたうちまわった。それからパチンとまた鳴って血走った目玉が一個。
「混乱してきたぞ」ルーピンが叫んだ。「もう少しだ、ディーン!」
ディーンが急いで進み出た。目玉は切断された手首になった。手首は裏返しになり、蟹のように床を這いはじめた。
「リディクラス!」ディーンが叫んだ。
手がネズミ取りに挟まれた。
「いいぞ! ロン、次だ!」
ロンが飛び出した。パチンと音が鳴り、手首が大蜘蛛へと変身した。何人かの生徒が悲鳴を上げる。
「リディクラス!」
ロンが轟くような大声を出した。蜘蛛の足が消えて、ゴロゴロ転がりだした。そして、が気付いた時にはそれは自分の足元にいた。
いきなりの事にが戸惑いながらも杖を構える。蜘蛛の目玉がを捉え、黒いマントを被った「例のあの人」が現れた。しかし、以外はそれが「例のあの人」だとはわからないらしく、相変わらずの様子でを見ている。クラスでとても優秀ながまね妖怪をどんな滑稽な姿に変えるのか楽しみなのだろう。しかし、には立っているだけで精一杯だった。あのヴォルデモート独特のオーラが今や、を支配していた。
「こっちだ!」
ルーピンが叫んで前に出てきた。
パチンという音と共にヴォルデモートは消えたが、特に恐ろしげなものはどこにもない。
皆、キョロキョロと見回すとリーマスの目の前に白銀の玉が浮かんでいるのに気がついた。ルーピンはそれを一瞥すると面倒くさそうに「リディクラス」と唱えた。
はちょっと不思議に思った。ルーピンのような魔法使いが何故あんなただの玉を怖がるのだろうか。
「ネビル!前へ!やっつけるんだ!」
まね妖怪がゴキブリになって床に落ちたところでルーピンが叫んだ。スネイプが戻った。ネビルは今度は決然とした表情でグイと前に出た。
「リディクラス!」ネビルが叫んだ。
ほんの一瞬だけドレスを着たスネイプが見えたが、ネビルが大声で笑うと、まね妖怪は破裂し、何千という細い煙の筋となって消え去った。
「よくやった!」全員が嬉しそうに拍手をする中、ルーピンは大声を出した。
「ネビル、よくできた。みんな、よくやった。そうだな・・・・・ボガートと対決したグリフィンドール生一人につき五点をやろう――ネビルは十点だ。二回やったからね――ハーマイオニーとハリーも五点ずつだ。わたしの質問に正しく答えてくれた」ルーピンはみんなを見回した。
「よーし、みんな、いいクラスだった。宿題だ。ボガートに関する章を読んでまとめを月曜日までに提出してくれ。今日はこれでおしまい」
ルーピンはみんなにそう告げた。みんなは楽しげに職員室から出て行った。しかし、は悲しかった。ネビルさえもまね妖怪と戦えたというのに、自分は太刀打ち出来ない。そんなを気にする様子もなく、ハリーたちは共に帰ろうとしていた。すると、ルーピン先生が彼女を引き止めた。
「、ちょっと話があるんだ。残ってくれないかい?」
「はい、先生」とは素直に従った。ハリーたちはに談話室にいると言って、職員室からいなくなった。
「先生――」
「私の部屋に行こう。授業が終わった他の先生方が戻って来られるから」
ルーピンはをさえぎってそう言った。そして、に歩調を合わせながら彼の部屋に向かった。夏休み前、何度も通ったルーピンの部屋に入ると、はルーピンと向かい合って座った。
「あの、先生、すみません。私、まね妖怪を退治できませんでした」
はルーピンに何か言われる前に、と先に謝った。自分が呼び出された原因は先程のまね妖怪が原因なのは明らかだった。
「どうして謝るんだい?」しかし、ルーピンは気にする様子はなかった。
「ヴォルデモートを恐れるのは当たり前だ。きっと君なら彼を恐れるだろうと、予測出来た。本当はクラスの前でヴォルデモートの姿を出したくなかった。みんなが怖がるからね――だけど、誰も気付かなかった」ルーピンがさも、おかしそうに笑った。
「――私が君を呼び出したのは君が畏縮していないか確認するためだよ」ルーピンはにっこり笑ってを見た。
「畏縮?」
「マクゴナガル先生やスネイプ先生、その他大勢の先生方から君の優秀さは聞いている。しかし、先程君はまね妖怪を退治出来なかった。ヴォルデモートを恐れるあまり体が動かなかったように見えた」
はルーピンにそう指摘されてカッと顔が赤くなるのがわかった。
「安心して良いよ。私は君の失敗を気にはしない。気持ちが落ち着いているならそれで良いんだ」
ルーピンの暖かいオーラにはシリウスの雰囲気を思い出した。汽車のときのことと言い、なんだかシリウスとルーピンが似ている。しかし、それについて触れる気はない。ルーピンが明らかにシリウスの話題を避けているし、だってルーピンの嫌がることはしたくない。だが、それとこれは別だ。ルーピンはどうも自分に甘い気がする。
「リーマスは――」ルーピンはの呼び方が変わったのに気付いた。
「リーマスは、私に優しすぎるわ」
「君は自分に厳しすぎる」ルーピンはに微笑みかけた。「誰かが君に優しさを与えなければ、君は誰の手もとらずに突き進むだろう?」
は黙ってルーピンを見た。すでに自分が何を言いたいのかわからなくなっていた。
「君がシリウス・ブラックやジェームズ・ポッターのことを気にしているのはわかる。だけど、それと同じように君を気にかけている人たちがいるのを知ってほしい」
ルーピンは真剣な表情で彼女を見ていた。
ルーピン先生の授業は好評です^^