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A person well suited 適任者
「ハリー!」
声の主はハリーだった。
「どこにいるかと思って探したのよ」
「もう、どのコンパートメントもいっぱいみたいだった」
ハーマイオニーもロンも一緒だ。
「みんなに会ったの久しぶり」
は満面の笑みを浮かべた。
「そうね。でも、仕方がないわよ、いろんなことがあったんだから――ここ、相席しても良いのかしら」
ハーマイオニーは困ったように、ぐっすり眠っているルーピンを指差した。
「大丈夫だと思うわ、この人を起こさなければ」
の言葉にハリーとロンは椅子に座った。ハーマイオニーは遠慮しているようだったが、他に空いているコンパートメントがないため、仕方なく座った。
「でも、この人、一体誰だい?」ロンがルーピンのボロボロのローブを指差した。
「この人っての――」
ハリーの口止をつい忘れていたは二人にバレないように首を横にふって、言っちゃダメという仕草をした。
「の何なの?」
ハーマイオニーが黙ったハリーに突っ込んだ。
「いや、その――」
ハリーの頭は、何か上手い言い訳を探そうとフル回転した。しかし、何も思い付かない。
そのとき、が突然言った。
「私の好きな先生よ。ほら、私、みんなより先にホグワーツにいたから新任のこの先生とも会ったのよ」
「まさか、『闇の魔術に対する防衛術』の先生?」
ロンは不適切だという声を上げた。
「そこしか空いてないんだからそうでしょうね。それに、見た目で適切か、不適切だなんて決めない方がいいわよ」
一方、ハーマイオニーの方は興味津々でルーピンを観察した。
「そのわりには去年、誰かさんは顔で適切か、不適切かを決めていませんでしたかね?」
ロンはチクチクとハーマイオニーを攻撃した。もちろんロックハートのことだった。
ハーマイオニーはロンの言葉を無視して、そっぽを向いてしまった。
「それで、なんで二人には秘密なんだい?」二人がそっぽを向き合っている間にハリーが小声でに聞いた。
「ちょっとね」
がそう言うと、ハリーは聞きたそうな顔をしたが、結局は何も聞かないでくれた。
「でも、どうしてこの人、ここにいるんだろう」ロンが不思議そうに言った。
「名前、なんて言うのかな?」
「ルーピン先生」が答える前にハーマイオニーが答えた。
「どうしてハーマイオニーが知ってるんだ?」ロンはまた不思議そうに言った。
「カバンに書いてあるわ」
ハーマイオニーはルーピンの頭の上にある荷物棚を指差した。くたびれた小振りのカバンは、きちんとつなぎ合わせた紐でぐるぐる巻きになっていた。カバンの片隅に、R・J・ルーピン教授と、はがれかけた文字が押してあった。
「それで、休暇はどうだったの?」ハーマイオニーは改めてを見つめた。
「どうって?」
「君、ダンブルドアに保護されていたんじゃないのか?」
今度はロンが聞いた。ハリーをチラリと見ると、難しい顔をしていた。
「違うわ」
は少しの沈黙の後にそう言った。何かがもやもやとの中に広がった。
「でも、家に帰らなかったし、夏休みの半分は学校で暮らしたんだろ?」
どうやら、ロンもハーマイオニーも勘違いしているところがありそうだった。
「そうだけど、ちゃんと保護者は見付かったわ。その人が今、私の親代わり。学校に行ったのは保護されるためじゃないわよ。保護者側の都合。楽しかったと言えば楽しかったし、そうじゃないと言えば、そうじゃないと思う」は一気にそう言った。はだんだん自分の感情が抑えられなくなってきた。
「吠えメールとか来たの?」ハーマイオニーがそれに気づいたのか、を気を遣うように聞いた。
「いいえ、一通も。保護者の家にいたときは手紙が届かないようになってたし、学校のときはあなたたちからの手紙以外、なにも届いてない。新聞も見れなかった――」
「、疲れてる?」
早口で巻くし立てるにハリーが割り込んだ。
「わからない」はボソッと言った。の暴走しかけていた感情はハリーの一言で収まっていった。
ハーマイオニーがおずおずと口を開いた。
「あのね、。新聞でずいぶんあなたの話題が載ってて、私たち、何度もあなたに手紙を書いたわ。それでそのあとハリーからも話を聞いて考えたの。誰が犯人かはわからないけど、私たち、あなたはちゃんとした人だって知ってる」
「ありがとう」はハーマイオニーに何も期待せずに微笑んだ。たかが十四歳の子供に知られていてもどうしようもない、とは考えていた。
「だから、誰がなんと言おうと私たち、あなたの味方だわ」
はその言葉にふと心が暖かくなったのに気づいた。ハーマイオニーがそんなことを言うとは予想しなかった。さっきまでそんなことを考えていた自分が恥ずかしくなった。は友達がこんなにも暖かいものだと初めて知った。
「それに、ハリーもも命を狙われてる。二人より四人の方が心強いでしょう?」
ハーマイオニーが二人を見てにっこり笑った。もそれにつられて、心から微笑んだ。
「そうそう、にママから伝言があるんだよ」
突然、ロンが思い出した、と手をポンと叩いた。
「ママ、最初は君のこと、あまり快く思わなかったみたいだけど、ちゃんとした事実を知ったら君に同情――というより愛情だな――してるよ。クリスマスは家に来ないかってさ」
「それが伝言?」
は変な伝言、とばかりにクスクス笑った。
「違うよ。伝言は危険なことに手を出さないでねって――きっと、ママ、君のこと養子にしたいんだぜ」
まさか、ともハリーもハーマイオニーも笑った。
「そうだ、は新聞を読んでなかったんだよね?」
「えぇ、そうよ」
には何故ロンがうきうきとそう聞くのか分からなかった。でも、ロンの喜び様から、本当に良いことなのだと、察しがついた。
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懐かしいメンバーがそろいました!