Authorization 許可書
ハリーと共には昼食を食べた後、ハリーの部屋に入った。
「綺麗だね」
はキョロキョロと部屋を見回して言った。
「荷物が去年のまま変わってないから。ベッドに座っていいよ」
はハリーの隣に腰をおろした。
「いざ会ってみると、話したいことが思い付かないわ」
「そんなものじゃないのかな」
ハリーももお互いを見て、笑い合った。
「――新学期、君はちゃんと学校に来るよね?」ハリーは心配そうに聞いた。
「もちろん。学校に滞在してるのに、学校に行かないなんてルーピンに怒られるわよ」
「そうだね。ロンやハーマイオニーから連絡はないの?」
「ないわよ」
の答えを聞いて、ハリーは不審に思ったようで聞き返した。
「ないの?」
「ないわ。私が学校に来る前にいた家には郵便が届かないようになってるみたい。だからハーマイオニーたちは手紙を送るのを諦めちゃったかも」
ハリーは納得すると、ベッドにひっくり返った。
「今年も無事に過ごせそうにもないね」ハリーの声はどこか、の気分を沈ませるものがあった。
「僕、入学当時はこんなことになるなんて思ってもいなかった」
「学校に行きたくない」がボソリと呟いた。
「行きたくなくても行かなきゃ。そのルーピンって人も心配するんじゃない?」
ハリーはの背中を見つめた。
「私――」
・ブラックさん。お迎えの方がお見えになりました」
が何かを言おうとしたそのとき、ハリーの部屋がノックされ、話は中断された。
「私、行くね」
素早くは立ち上がってハリーに手をふった。
「うん、また今度」
ハリーは心配そうな目でを見送った。
下ではルーピンは相変わらずニコニコと笑ってを迎えた。
「おかえり」
「ただいま」
ルーピンはの声が沈んでいるのに気が付いた。
「ホグワーツに戻ろうか」
は小さく頷くと、ルーピンの後についていった。

学校に着くと、ルーピンは何も言わずにを自分の部屋に招き入れ、紅茶を用意した。
「夕食前に少し言っておきたいんだけど」
ルーピンは自分のローブを探りだした。
「あった――今年の必要な教科書のリストだ。昨日は疲れていそうだったし何も言わなかったんだが、買い物に行かないと。見たところ、ローブなどはまだ着れそうだけど、それでいいかな?」
はコクンと頷いた。
、大丈夫かい?」
はまたコクンと頷いた。
ルーピンはその様子を見て、軽くため息をつくと、を見つめた。はそれに耐えられなくて、うつ向いた。
「君は本当ににそっくりだ」
「ママだったら、もっと良い選択をしたわ」はボソリと呟いた。
「全てがにそっくりならば、君はもう少しおしとやかじゃないと」ルーピンはクスクス笑った。
「ママは学校で人気者だったってパパが話してくれた。みんなの憧れだったって」
「そうかもしれない」ルーピンは曖昧な言い方をした。
「それなら私はママに一生敵わない」
「何が言いたいんだい?」ルーピンがやんわりと聞いた。
「――わかんない」
は困った顔をした。
「ハリーと何かあったのかい?」
は話そうか迷ったが、ルーピンには何故だか言ってはいけないような気がした。
「なにもなかった」は出来るだけ、平静を装って答えた。
ルーピンは少し黙ってから言った。
「ごめんね、
は返事することが出来なかった。
ルーピンは飲み終ったカップを片付け、もう一枚、紙を取り出した。
「これはホグズミートに行くための保護者の許可証だ。ホグズミートは知ってるかい?」
「知ってるわ。三年生から行けることも、唯一魔法使いしかいない場所っていうことも、パパとママがデートしたってことも」ルーピンは最後の一言をわざと聞き流し、言った。
「ホグズミートに行ってみたいかい?」
はそう聞かれ、しばし迷ったものの、コクリと頷いた。
「そう。じゃあサインしよう」
ルーピンはそう言ってサラサラとサインした。
はその様子を見てふと言った。
「もし、サインがなかったらどうなるの?」
ルーピンは羊皮紙から顔を上げてを見た。
「行けるか行けないかはそれぞれの寮監の先生が決めることだが、高確率でホグズミートには行けない。許可証が未提出でも同じことだが」
はマクゴナガル先生がそんなに甘くないことを知っている。ハリーには何も言わないでおこう、と決めた。
「ところで、、宿題は――」
ルーピンが何かに言いかけると、ルーピンの部屋がノックされた。
「どうぞ」
ルーピンがそう言うと、ドアが開いてなんとも言えないスネイプの顔が現れた。手にはゴブレットを持っている。
「ルーピン、今日の分だ」ぶっきらぼうにスネイプはそう言った。
「ありがとう、セブルス。たった今、帰ってきたところなんだ」
「知っている」スネイプはチラリとを横目で見て、ドアノブに手をかけた。
「すぐに飲め」
スネイプはバタンとドアを閉め、部屋を出て行った。
「この薬はどうも苦手だ。砂糖が入れられないからね」
ルーピンはそう言って、しかめっ面で薬を飲み干した。
「あのね、リーマス。聞いてもいい?」はルーピンが飲み干したゴブレットを見ながら聞いた。
「リーマスはどこか、体が悪いの?リーマスの家にいたときもスネイプが来たわ」
ルーピンは少し迷ったのち、少しだけ気分が優れない、とだけ言った。あまり、に追求されたくないようだった。
「そう。早く元気になってね」は少しもやもやした部分があるものの、ルーピンににっこりと笑いかけた。
「そうだね。それで、。さっき言いかけた話だけど、宿題は終わっているのかい?」
「終わっているわ。じゃなきゃ、こんなにゆったりしてられないもん」は肩をすくめてみせた。
「そうか。それならいいけど、ここにいる間、誰か、先生に言えば図書館を開けてくれるそうだよ」
はあまり興味のない、曖昧な声を出した。
「さあ、じゃあいつ買い物に行こうか」
は突然、元気になった。
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リーマスと良い雰囲気^^