「リーマス?」
が着替えてリビングに行くと、ルーピンは眉間にしわをよせて、何かを深く考えている様子だった。は迷いながらも声をかけた。
「あぁ、。着替え終わったんだね、じゃあ食事にしようか」ルーピンはそういって杖を一振りした。テーブルにサンドウィッチが出てきた。
サンドウィッチを食べながら、はルーピンの顔を見た。どこか、疲れた顔だ。
「リーマスはパパとか、ジェームズとか、リリーとかと友達なの?」
が突然話しかけると、ルーピンはびっくりしたようにを見た。
「どうしてそう思うんだい?」
「ママたちはみんな学生時代、友達だって言ってたわ。だから、ママを知ってるなら、パパとかも知ってるのかなって」
「知っているからと言って友達とは限らない。でも、の言うとおり、確かに知り合いではあった」
はルーピンの顔に苦しみがあるのに気づいて、この話はもうしない、と心に決めた。
「えっと、あの・・・・・ごめんなさい」
「どうして謝るんだい?」ルーピンが不思議そうに聞いた。
「だって、リーマス聞かれたくなさそうだったから・・・・・」
「聞かれて嫌なことはちゃんと言うさ。そうじゃなくて、自分の学生時代を懐かしく思ってただけだよ。気にしないで。――それで、午後はどうすることに決めたんだい?」
「午後は少し散歩してくる。何時に戻ってくれば良い?」
「そうだねえ」とルーピンは考え込んだ。
「6時くらいに帰ってくれば夕食にするよ」
は頷いた。
昼食を食べ終わったはそのままルーピンの家の近くを散策した。
そして、今夜、シリウスたちのところに何故帰れないのか聞こう、と思った。また、何故はルーピンの家に預けられたのか知りたかったが、またルーピンの苦い顔を見るのはいやだったので、聞けたら聞こうと決めた。
夕方、が帰ってくると、ルーピンは楽しそうに夕食を作っていた。
「ただいま」
「おかえり」
は話を夕食後に聞こうと決めた。そして、夕食後、最初に口火を切ったのはルーピンの方だった。
「それで」ルーピンは魔法で食後の紅茶を出した。
「君が聞きたいのは君のお父さんと、お母さんのことでいいのかな?」
はびっくりして「なんでわかったの?」と聞いた。
「そりゃ、わかるよ。私の言葉を聴くたびに、ご両親のことを聞くんだから。心配なんだろう?それに、いきなり理由も言われず『家には帰れない』と言われ、疑問に思わない子がどこにいるんだい?」ルーピンは苦笑した。
「それもそうだね」もつられて笑った。
「じゃあ、本題に入ろう。まず、君のお母さん、だが、彼女は今、病院にいる」
「病院?」
は自分でも顔が青ざめるのが分かった。
「そう、それでリリーが一緒についている。リリーの方はそんなに酷くない状態らしい」
「ちょっと待ってよ!」は最悪の場合を予想し、足が震えた。
「酷いとか、酷くないとか・・・・・パパは?ジェームズはどうしたの?」
「彼らは蒸発した」
「なんですって?」
ルーピンは手を組んでを真剣なまなざしで見つめた。
「いいかい、良く聞くんだ。質問なら全部あとで聞くから、まずは私の話を聞いてくれ。いいかい?」
ルーピンはが頷くのを見て、ポツリポツリと話し出した。
「魔法省の見解では、シリウスがジェームズ、リリー、を攻撃したとされている。君たちがまだ学校にいた頃に、家にいたとリリーはシリウスに襲われ、シリウスはそのまま止めを刺さずに家を出て行った。そして、家にジェームズが帰ってきて自分たちを病院に連れて行ってくれた、とリリーが証言している。そして、ここからは魔法省の予想なんだが、そのあと、ジェームズは何らかの方法でシリウスを見つけ戦った。それで、死んだと考えられている。なぜなら、ジェームズの姿がパッタリと見られなくなったからだ。ふくろう便も届かなければ、捜索願いを出してからも見つからず。木っ端微塵に殺されたと思われている」
ルーピンは目を伏せた。
「それなら、パパが殺人犯?」の声が震えた。
「そう考えられている。リリーの証言もある」ルーピンの声も震えていた。
「ママは?ママは何にも言ってないの?」
「彼女は今、話せる状態ではないらしい」
は頭の中が真っ白になった。
「でも、どうして魔法省は何も言わないの?新聞を読んでたけど、そんなニュースはなかったわ」
「ダンブルドアが発表を待たせたんだ。君とハリーが無事にそれぞれの家に着くように。そして、ダンブルドアの気遣いさ。世の中の反応はまるで予想がつかない。もし、君が同情される身となるならまだしも、殺人者の娘として世間から見られたら、きっと学校にいた間、白い目で見られただろう。秘密の部屋で立派に戦ったのにも関わらず、だ」
ルーピンが静かに言った。にはどうも怒っているように聞こえた。
「どうしてそれを知っているの?」
「簡単なことさ。ダンブルドアが話してくださった。――多分、明日の朝、魔法省からこの話の発表があるだろう。そして、君の命を守るために護衛の話が来るだろう」ルーピンは少し疲れたようだ。
「護衛?なんで?」はさっぱり分からなかった。
「シリウスが君を攻撃しないとも限らないからだ。妻をあのようにしたんだ、娘も同じ目にあうだろう、というのが魔法省の見解だ」
「でも、私、パパに命を狙われるようなこと、してないわ」
「そうだろうね。でも、今、彼は気が狂った殺人犯だと思われている。安全のためだ。それに、ホグワーツに戻ったら、ダンブルドアの目が光っている。魔法省も手出しはしないよ――」
「パパはママを傷つけたりしないわ」が思わず口を挟んだ。
「何か、理由があったのよ」
「そうかもしれない」
ルーピンは静かに言った。そして、立ち上がって「もう寝よう」と言った。
「待って、もう一個だけ聞かせて。ママには会えないの?」は慌てて、ルーピンを引き止めた。
「君が願うのならそうなるだろう」
ルーピンはそう言ったきり、口を開かなかった。
次に開いたときは、の部屋の前でおやすみを言うときだった。
シリアス系・・・;;