The claimant 引き取り手
ハリー、ロン、ハーマイオニー、フレッド、ジョージ、ジニーを見送ったは一旦寮に戻って、自分の荷物を持ちながら、不安な気持ちでマクゴナガル先生の部屋に向かった。そこで引き取り手を待つらしかった。
が部屋をノックすると、マクゴナガル先生が待ちわびた様子でドアを開いた。
「ブラック、荷物はこれですべてですね?」マクゴナガル先生がのトランクを見て、確かめた。
「はい」
「よろしい。あなたの引き取り手は今、ダンブルドア先生とお話しています」
マクゴナガルがそこまで言ったとき、フォークスの羽がどこからともなくマクゴナガル先生の机に現れた。
「ダンブルドア先生がお呼びです。荷物はここに置いていきなさい」
マクゴナガル先生は席を立ってを引き連れて校長室に向かった。
「先生、・ブラックを連れて参りました」
マクゴナガル先生はノックして、と共に中に入った。
「ご苦労じゃった」
がダンブルドアの部屋に入ると、部屋にはスネイプと見知らぬ男性が立っていた。その男はボロボロのローブを着て、鳶色の髪には何本かの白髪が飛び出ていた。
か?
その人はのことを驚いた目で見つめた。
「この子は・ブラックだ。ではない。の娘だ」スネイプが冷たく言い放った。
「そうか・・・・・」男はどこか当惑ぎみに返事をした。スネイプの嫌味をなんとも思わないようだ。
「リーマス、自己紹介は自分でするかね?」
「あ、はい」リーマスと呼ばれた貧相そうな男は我に返ったようだ。
「私はリーマス・ルーピン。夏、君を引き取るために迎えにきたんだ」
ルーピンの微笑みは、どこかを安心させるものがあった。
「さて、。君には少し早目に言うが、決して口外するでないぞ。君の引き取り手のルーピン先生は『闇の魔術に対する防衛術』の先生を引き受けて下さった」ダンブルドアはルーピンに微笑みかけた。
「そしてじゃ。まだ言っていなかったと思うが、前学期のことについては厚く礼を言おう。君たちには本当に感謝しておる」
は少し迷ったのち、にっこりと笑ってみせた。
「さあ、それだけじゃ、。行くがよい。マクゴナガル先生、スネイプ先生、少し残ってくだされ。ルーピン先生、それではを任せましたぞ」
はダンブルドアに見送られながら、ルーピンと一緒に部屋を出た。出たあとすぐ、は思っていた質問をルーピンにぶつけた。
「あの、ルーピン先生?先生は私のことを最初、『』と言いましたよね?母と知り合いなのですか?」
はそう言って、ルーピンがズキッと反応したのを見逃さなかった。
「学生時代、知り合いだった」ルーピンがボソッと言った。
「荷物はどこにあるんだい?」
「マクゴナガル先生の部屋に」
ルーピンは頷いて、と並びながら歩いた。
「そうだ、」ルーピンが突然思い出したように言った。
「学校が始まるまでは、私のことはリーマスと呼んでもらってかまわない。というより、私はそっちの方がいいかな」
はルーピンの顔をマジマジと見つめた。こんなことを言う人は初めてだった。しかし、驚きながらも、はなんだか嬉しくなり、にっこりと笑って頷いた。
「そう、よかった」ルーピンが微笑んだ。
いつの間にかマクゴナガル先生の部屋の前で、ルーピンはドアを開けた。は扉のすぐ近くにあった自分の荷物を取ろうとしたが、ルーピンがそれを制した。
「魔法は便利だからね。荷物を軽くしよう。それで、私が半分持つよ」
ルーピンはブツブツと何かを唱えながら杖で荷物を叩いた。そして、言った通り、の荷物を半分持った。
「リーマス、悪いよ。だって、あなたの荷物だってあるでしょう?」
「そうだね。でも、私は今日、ここに来たばかりだから」リーマスはまぜかえした。
そのまま歩くとスネイプが前から歩いてきた。ダンブルドアとの話が終わったらしい。
「今からお帰りですかな?」スネイプが愛想よく話しかけた。
「うん、そうだね」
スネイプはチラリとを見るとルーピンに言った。
「薬は我輩が直々に届けることになってるが、今月はいつからだね?」
そういわれたルーピンの顔が曇ったのは気のせいだろうか。
「来週からお願いするよ。わざわざありがとう、セブルス。それじゃ、失礼するよ。おいで、
ルーピンはを手招いて、スネイプの横を通りすぎた。ルーピンのその横顔が、どこか、切なく見えた。
そのまま歩き続け、はルーピンと共にホグワーツの外に出た。
「さあ、もう姿くらましが出来る。――付き添い姿くらましはしたことあるかい?」ルーピンが聞いた。
「そんなに多くないわ。いつも煙突飛行とかだったもん」
「そう、じゃあしっかり私につかまっててね。そう、左腕がいいかな――もう少し力を入れて大丈夫だよ――そう、そんな感じ。じゃあ行くよ」
ルーピンはそう言ってクルッと回った。ついた先はどうやらどこかの郊外だった。静かでゆったりとした感じが気に入った。
「これが私の家だよ」
ルーピンが指差した先は普通のどこにでもありそうな家だった。
「中に入って見ても?」
「もちろん」
ルーピンはにっこり笑ってを家の中に入れた。
「まずリビングはここだよ。それで、の部屋は二階だ。案内しよう」
ルーピンはが物色しながら歩くのに合わせて、ゆっくりと歩いた。
「ここだよ。私の部屋は一つ先の左隣にある。何かあったら呼ぶと言い。でも、大体はリビングにいるよ」ルーピンはの部屋のドアを開けた。
「タンスとか引き出しは自由に使っていいからね。荷物を置いて、制服から着替えたらリビングにおいで。お昼ご飯まだだろう?」
ルーピンにそう聞かれ、初めて自分が空腹なことに気が付いた。
「お昼ご飯を食べた後は自由にしてかまわない。その辺を散歩してもいいし、家の中をもっと見てもいい――まあ、家はそんなに見るところはないけどね」ルーピンは少し恥ずかしそうに笑った。
「それじゃあ、着替えたらリビングにおいで」
ルーピンはそう言い残して、部屋を出て行った。
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リーマスとスネイプの地味なバトル・・・笑