その後、いつも通り食事をしただったが、ハリーの返答がいつもより刺々しいのに気づいた。
そしてハリーはさっさと食べ終えると何も言わずにロンと連れだって先に帰ってしまった。
は少し悲しくなった。
そして、食べ終えると皆が興味津々で自分を見つめる中、ハーマイオニーと共にグリフィンドール塔に戻った。
「、本当にセドリックとはそういう仲なの?」
ハーマイオニーは談話室の隅っこにと座った。
「よく分からないの。彼が好きなのか分からない」
は悩んでいるようだった。
「ねぇ、じゃあネビルが言っていた本命がハリーっていうのも・・・・・」
「ハリーはただの友達よ。みんなと違うのは物心ついてからずっと一緒にいただけ」
は弱々しく笑った。
「ハリーはさっきとっても冷たかったわ。私、どうしたら良いかしら・・・・・」
とんだバレンタインになったようだ。
ハーマイオニーは半泣きのを抱きしめた。
「、ハーマイオニー、ハリーを知らないかい?」
そのとき、ロンがとハーマイオニーの会話に割り込んだ。
「知らないわ。寝室にでも上がったんじゃない?」
ハーマイオニーはとの会話を邪魔しないで、とばかりにロンをにらんだ。
「あー、そうですか。お話中失礼しましたね」
ロンは気分を損ねたようでプイッと寝室に上がっていってしまった。
しかし、数分も経たないうちにロンはハリーを連れてまたとハーマイオニーのところへ来た。
何やらハリーは興奮した様子だ。
はハーマイオニーの横にピッタリとくっついた。
「わかったんだ!五十年前に秘密の部屋の扉を開けたのはハグリッドだったんだ」
もハーマイオニーもまさか、という目でハリーを見た。
「リドルの日記で見たんだ」
三人とも訳がわからないという顔で見あわせた。
「どうしてリドルの日記なんかで分かるの?あの日記には何も書かれていなかったじゃない」
ハーマイオニーが言った。
「あぁ、確かにそうさ!だけど、気づいたんだ。呪文学の授業前に小人のせいでバッグが破れて教科書がインクだらけになったのを覚えてるだろう?だけど、リドルの日記だけはインクがかかってなかったんだ。真っ白のままさ。だから試しに日記に『僕はハリー・ポッターです』って書き込んだ。そうしたらインクがページに吸い込まれるように消えて『こんにちは』って返事がきたんだ、持ち主からの返事さ。トム・リドルだ」
三人は自然にハリーの話にのめりこんでいた。
「それで、五十年前に生きていたトムに『秘密の部屋』について何か知らないか聞いてみたんだ。そうしたら、トムは五十年前の犯人を捕まえ、その犯人は追放されたらしいんだ」
ハリーは話すたびに興奮していくようだった。
「トムは僕に犯人を捕まえた時の様子を見せてくれると言った。僕が見たいと言うと、僕は日記の中に吸い込まれたんだ。――トムは地下牢教室の廊下にいたハグリッドに声をかけた。それでハグリッドのそばには絡み合った黒い脚、ギラギラ光るたくさんの目、剃刀のように鋭い鋏、毛むくじゃらの巨大な胴体が、低い位置につり下げられている生き物がいた。それは廊下を素早く逃げて行ってしまったけど、トムはこの事を黙っている代わりに表彰されたらしい」
しばらくは三人とも自分の考えを整理しているようだった。
「リドルは犯人を間違えていたかもしれないわ。みんなを襲ったのは別な怪物だったかもしれない・・・・・」
ハーマイオニーが述べた。
「ホグワーツにいったい何匹怪物がいれば気がすむんだい?」
ロンがぼそりと言った。
「ハグリッドが追放されたことは、僕たち、もう知ってた。それに、ハグリッドが追い出されてからは、誰も襲われなかったんだと思う」
ハリーがさっきとはうってかわって惨めな声で言った。
ロンには違った見解もあった。
「リドルって、パーシーにそっくりだ――そもそもハグリッドを密告しろなんて、誰が頼んだ?」
「でも、ロン、誰かが怪物に殺されたのよ」とハーマイオニー。
そして長い沈黙のあと、再びハーマイオニーが口を開いた。
「ハグリッドのところに行って、全部聞いてみたらどうかしら?」
「そりゃあ、楽しいお客様になるだろうね」とロンが言った。
「こんにちは、ハグリッド。教えてくれる?最近城の中で毛むくじゃらの狂ったやつをけしかけなかった?ってね」
「はどう思う?」
突然、ハーマイオニーがに話題をふった。
は少し躊躇しながら言った。
「私は確かにハーマイオニーの意見通りハグリッドに聞いた方が良い部分もあるのは認めるし、でもロンのようにストレートには聞けない。だから今は少し様子見が一番良いと思う。また誰かが襲われたら聞きに行くのがいいと思うわ」
の意見にハーマイオニーが大賛成した。
そこで結局は誰も襲われない限り、ハグリッドには何も聞かないことにした。
ロンは疲れているとかで先に寝室に上がった。
そしてもハーマイオニーに勧められながら寝室に上がった。
上がるとき、グリフィンドール生の興味の目をひいて、は気が落ち込んだ。
まるで、見世物にされたような気分だった。
はそれに耐えながらベッドにもぐりこんだが眠れない。
しばらくするとご機嫌そうなハーマイオニーが上がってきた。
ハーマイオニーは寝室に以外誰もいないのを確かめて言った。
「ハリーはもう怒ってないわよ。機嫌は直ったわ」
「あぁ・・・・・ハーマイオニー、ありがとう。それで、原因はなんだったの?」
が感謝の気持ちを込めて問いかけた。
「原因はあなたよ、」
ハーマイオニーがを踏まないようにのベッドに腰かけた。
「ハリーはあなたが好きなのよ」
「好きってあの恋愛対象とかっていう・・・・・」
ハーマイオニーがニヤリと笑って頷いた。
は一気に顔の温度が上がるのを感じた。
「でもハリーは私がパパとかジェームズとかと話したって怒らないわ」
「ま、その答えは自分で見つけなきゃ、。でも、とにかく明日はちゃんとハリーの機嫌は直ってるから、大丈夫よ」
ハーマイオニーはおやすみ、と自分のベッドに行ってしまった。
その夜、は夢を見た。
セドリックと並んで歩いていたら、セドリックがハリーに変わってしまった。
そしてハリーに変わったとたん、目の前にはスネイプが現れた。
は、スネイプから逃げるハリーに引っ張られながら走り続けると、いつの間にか彼とはぐれてどこかの森に迷いこんでいた。
は必死になってハリーを探すと大きな沼地の前で彼は見つかった。
はハリーのそばに駆け寄ろうとしたが、何かに違うことに気がついた。
背がスラリと高い。
ハリーはと同じくらいなのに、今は十センチほど違う。
また、目が緑ではない。
少し赤みをおびていた。
そして決定的に違うのはおでこに傷がない。
は十分離れて偽ハリーに呼び掛けた。
「あなた、ハリーじゃないでしょう」
夢にしては変な夢だと思いながらもは目を覚ますことが出来なかった。
「正解だよ、。また会いたくなったんでね」
偽ハリーが指を鳴らすとトム・リドルが現れた。
「トム!」
ハリーのものすごい嫉妬。