がたくさんのことを学ぶ決意をしたその日から、シリウスとジェームズが自分たちが経験してきたことを教えていた。
ときには理解出来ないこともあったが、それでも根気強く二人は教え込んだ。
クリスマスの日、珍しく早く、一人では起きた。
枕元にあるプレゼントには目もくれず、はさっさと着替えて居間に向かった。
「ママ。メリークリスマス!」
はガバッとに抱きついた。
母親と二人きりになるのは本当に久しぶりだった。
「メリークリスマス、。珍しく早起きね」
「ママこそ、まだみんな寝てるのになんで?」
は母の質問には答えず、逆に質問し返した。
「朝食作らないといけないでしょう?はもうクリスマスプレゼント開けたの?」
ううん、とは首を振った。
「開けてこないの?」
「開けてくるよ。だけど一番最初にママにメリークリスマスって言いたかったの」
は悪戯っぽい表情でそう言うと、ダーッとキッチンから出ていった。
その背中にはが「大人をからかうんじゃありせん」っと叫んでいた。
部屋に帰る途中、寝惚け眼のジェームズに出会った。
「やぁ、メリークリスマス、」
「メリークリスマス、ジェームズ」
はクスクス笑った。
「珍しく早起きだね」
「ママはもう起きてるわ。今からプレゼント開けてくるの。また後でね」
はヒラヒラと手を振って部屋に向かった。
改めて部屋に入ると、意外にプレゼントがたくさんあった。
ハリーやロン、ハーマイオニー、セドリック、フレッドとジョージなどの友人たちや、両親ももちろんだし、ロンの母親からもプレゼントが届いた。
そして、何故だかマルフォイからもプレゼントが届いていた。
「あの人、何考えているのかしら」
「誰のことだ?」
突然のことで、は飛び上がった。
「パパ!驚かせないでよ」
はふくれっ面でシリウスを見た。
「悪いな。ドアが開いていたから。朝食が出来たらかお前を呼んでこいと頼まれたんだ」
早くおいで、とシリウスに手招きされて、はリビングに降りていった。
朝食を食べ終ったのち、は両親とジェームズとリリーと一緒にダイアゴン横丁に出かけた。
横丁もクリスマスの飾りがしてあり、人々は楽しそうに歩いていた。
もちろんもその一人だ。
「ねー、どこに行くの?」
は興味津々にシリウスに尋ねた。
「銀行だ」
「そのあとは?」
はそっけないシリウスにめげることもなく、また尋ねた。
「リリーが魔法省に行くんだ」
はまじまじとシリウスの顔を見た。
「私も一緒に行くの?」
「魔法省にかい?いいや。僕たちはそこらへんを見て回るだけさ」
ジェームズが苦笑して言った。
「仕事の資料を取ってこないといけないのよ」
リリーは少し怒った顔でそう言った。
銀行の前で五人は立ち止まり、シリウスとはジェームズたちにを預けて中に進んでいった。
「じゃあ私、リリーたちの職場に入れないの?」
「えぇ、入れないわ。外来用の入り口から入るわけじゃないもの。それに魔法省に行くのは私だけだし・・・・・」
リリーは驚いたようにそう言った。
「まさか、将来闇祓いになりたいなんて思ってないよね?」
ジェームズが聞いた。
「まだ将来のことなんて決めてないもん」
は肩をすくめた。
ちょうどそのとき、銀行からシリウスとが出てきた。
「おまたせ」
が言った。
「帰りに何かおいしい物でも食べましょ」
「賛成!」
がピョンピョン跳ねた。
「じゃあさっさと済ませて食事にしよう」
シリウスがテキパキと言った。
「ねぇ、。アイス買ってあげようか」
数分歩いたところで、が何件か先にあるアイス屋を見つけた。
「うん、食べる」
「じゃあ私も食べようかしら」
リリーもなんとなく物欲しげに店を見つめた。
「シリウスとジェームズはいる?」
がそう聞くと、シリウスもジェームズも首を横に振った。
はシリウスからお金を受けとるととリリーと一緒に店に向かった。
は苺とピーナッツバターのアイスクリームでリリーはラズベリーアイス、はナッツ入りのチョコレートアイスにした。
「さてと。じゃあ行ってこようかしら。どこにいる?」
いち早くアイスクリームを食べ終ったリリーが言った。
は話の流れが掴めないまま、四人の大人を眺めた。
「漏れ鍋で待ち合わせで良いかい?」
「えぇ、良いわ」
リリーはにっこり笑ってジェームズに答えた。
「気を付けてね」
がリリーに手を振った。
するとが瞬きした間にリリーの姿がなくなっていた。
「リリーは『姿くらまし』して魔法省に行ったの?」
「えぇ、そうよ」
が優しくそう言った。
「どこか見たいお店でもある?なかったら漏れ鍋に行くけど・・・・・」
は首を横に振った。
四人は漏れ鍋に向かって歩き出した。
三人の大人たちはの知らない話題で盛り上がっていた。
は話が途切れるのを待って前から気になっていたことを切り出した。
「ママは純血なの?」
は驚いて立ち止まるとをまじまじと見つめた。
「秘密の部屋のことで、まだ話していないことがあるな?ハリーたちの推測とか」
シリウスはズバリとに指摘した。
は黙ってシリウスを見た。
「は純血だよ、。そういう意味で聞いているなら」
ジェームズが答えた。
「ハリーたちはドラコ・マルフォイが秘密の部屋の継承者だと思っているわ。でも私はそうは思わない。マルフォイが継承者なら石にするだけじゃないと思うし・・・・・」
はだんだん自信なさげになってしまった。
「それに、いろいろ不可解なことが一緒に起こってるんだもん。でも他の人はハリーが継承者だと思ってるし・・・・・」
「あまり気にしない方が良い。ホグワーツにはダンブルドアもいるんだし、ちゃんと処置を施してくださる」
シリウスは再び歩きながら言った。
「それに、お願いだから、。危険なことにあまり首を突っ込なまいでちょうだい。あなたが石になった、なんていう報告は聞きたくありませんからね」
がの頭を突っついた。
両親と一緒だとどことなく、幼くなります。