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Hogwarts History ホグワーツの歴史
クラス全員が眠りから醒め、息を殺し、ビンズ先生を見つめた。 先生はいつもの調子で話し始めたが、誰も眠る気配はなかった。
「皆さんも知ってのとおり、ホグワーツは一千年以上も前、もっとも偉大なる四人の魔女、魔法使いによって創設されたのであります。創設者の名前を取り、その四つの学寮をゴドリック・グリフィンドール、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクロー、そしてサラザール・スリザリン。彼らは詮索好きのマグルから遠く離れたこの土地に、この城を築いたのであります。」
先生はここで一息入れ、漠然とクラス全体を見つめ、それから続きを話し出した。
「始めの数年は、協力しあっていた創設者たちは、だんだんと、意見の相違が出てきました。スリザリンはホグワーツに入れる生徒は純血だけだと考えたのです。しばらくし、この問題をめぐり、スリザリンとグリフィンドールが言い争い、結果、スリザリンが学校を去ったのであります」
ビンズ先生は口をパクッと縮めた。
「信頼できる歴史的資料はこまでしか語ってくれません。しかし、このような事実が、『秘密の部屋』という空想の伝説みより、曖昧なものになっておる。その伝説によれば、スリザリンは『秘密の部屋』をを密封し、この学校に彼の真の継承者が現れるときまで、何人もその部屋を開けることが出来ないという。継承者のみが『秘密の部屋』の封印をとき、その中の恐怖を解き放ち、それを用いてこの学校から、魔法を学ぶに相応しくない者達を追放するという……」
みんなは先生を見つめ、もっと話して欲しいという落ち着かない空気が漂っていた。
「もちろん、すべてが戯言であり、最高の学識ある魔法使いや魔女達が何度もこの学校を探索しました。しかし、そのようなものは存在しなかった」
今度はの手が挙がった。
「先生、『部屋の中の恐怖』とは具体的にどういうことですか?」
「なんらかの怪物だと信じられており、『継承者』のみが操ることのできるという」
生徒はこわごわ顔を見合わせた。
「言っておきましょう。そんなものは存在しない。したがって怪物はおらん」
「でも先生」
シェーマスだ。
「もし、『部屋』がスリザリンの継承者によってのみ開けられるんだったら――」
「ナンセンス。オッフラハーティ君。歴代のホグワーツの校長、女校長が、何も発見しなかったのだからして――」
「でもビンズ先生」
パーバティがキンキン声をだした。
「そこを開けるのには、闇の魔術を使わなければならないといけないのでは――」
「ミス・ペニーフェザー、闇の魔術を使わないからと言って使えないということにはならない」
ビンズはピシャリと言った。
「でも、先生、スリザリンと血が繋がってなければならないのでは――」
ディーンがそう言いかけたところで、ビンズはもうたくさんだとばかりに話を断ち切った。
「以上、おしまい。これは神話であります!部屋は存在しない!よろしければ歴史に戻ることにする。実態のある、信ずるに足りる、検証できる事実であるところの歴史に!」
ものの五分もしないうちに、クラス全員がいつもの無気力状態に戻ってしまった。
「サラザール・スリザリンって、狂った変人だってこと、それは知ってたさ」
授業が終わり、夕食前に寮にかばんを置きにいく生徒で、廊下はごった返していたが、人ごみをわけながら、ロンが三人に話しかけた。
「でも、知らなかったな。例の純血主義のなんのってスリザリンが言い出したなんて。はっきり言って、スリザリンなんかに入ったら、僕、汽車に飛び乗ってまっすぐ家に帰ってたな」
ハーマイオニーもその意見に同意した。 は二人の意見に賛成しかねたが、何も言わずに、聞かなかったことにした。 人波に流されていく途中、コリンと出会った。 「やー、ハリー、。僕のクラスの子が言っていたんだけど、君たちって・・・・・」
しかし、コリンは小さすぎて、人波に逆らえず、大広間の方へ流されてしまった。
「一体、あなたたちのこと、なんて言おうとしたのかしら」
ハーマイオニーがいかぶった。
「闇の魔法使い、魔法使いの敵、そうじゃなきゃ、
スリザリンの継承者
かしらね」
はかなり腹を立てているようだった。 隣でハリーも暗い顔をしていた。
「、言わせておけばいいのよ。あなたが腹をたてる必要はないわ」
「そうだよ。ここの連中ときたら、何でも信じ込むんだから」
ロンが吐き捨てるように言った。
「『秘密の部屋』があるって、本当にそう思う?」
「わからないけど」
ハーマイオニーが眉根にシワをよせた。
「ダンブルドアがミセス・ノリスを治してやれなかった。ということは、もしかしたら――うーん――襲ったのはヒトじゃないかも」
「どういうこと?」 が聞いた。
「根拠はないんだけど、ダンブルドアは偉大な方よ。もし、魔術か何かだったら、彼は治せるはずよ」
そう、とが呟いた。
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ビンズ先生、長ったらしい講義をありがとうっ!!笑