ハリー、ロン、、ハーマイオニーのグループに、髪の毛がくるくるとカールしたハッフルパフの男の子が加わった。
「ジャスティン・フィンチ-フレッチリーです」
男の子はハリーと握手しながら明るい声で自己紹介した。
「君たちのことは知ってますよ、もちろん。有名なハリー・ポッターと・ブラックだもの・・・・・。それにセドリックが――ハッフルパフの四年生が――は良い子だって言っていました。それに賢いって。それで君はハーマイオニー・グレンジャーでしょう――何をやっても一番の・・・・・。それから、ロン・ウィーズリー。あの空飛ぶ車、君のじゃなかった?」
ロンはニコリともしなかった。
「吠えメール」のことがまだ引っ掛かっていたらしい。
「ロックハートって、たいした人ですよね?」
五人でそれぞれ鉢に、ドラゴンの糞の堆肥を詰め込みながら、ジャスティンが朗らかに言った。
ハーマイオニーはその発言に興味を持ったのか、をおいて、ジャスティンと話始めた。
ロンは「吠えメール」のことを出されて不機嫌だったので、はハリーの隣で作業をした。
「、セドリックって誰なの?」
すると、ハリーはこそこそと、小さな声でに聞いた。
「誰って聞かれても・・・・・私も良く知らないもの。一年生のときにたまたま会って話しただけだもん」
もハリーに気を使って、小さな声でそう答えた。
ハリーは、少し手を休めて何かを言いたそうにを見たが、思い直したのか何も言わずにそのまま作業に戻った。
それからは、五人ともあまり話すチャンスがなくなった。
耳当てをつけたし、マンドレイクに集中しなければならなかったからだ。
授業が終わるころにはクラスの誰もかもが、汗まみれの泥だらけで、体があちこち痛んだ。
みんなダラダラと城まであるいて戻り、さっと汚れを洗い落とし、それからグリフィンドール生は変身術のクラスに急いだ。
マクゴナガル先生のクラスは相変わらずの難しさだった。
ハリーが隣でコガネムシを机の上でたっぷり運動させる間、はサラリとコガネムシをボタンに変えて見せた。
ハリーはそれを見てらしい、と思った。
また、ロンはハリーよりもっとひどかった。
暴れ柳に当たったときに折れた杖は、スペロテープを借りてつぎはぎしてみたものの、もう修理できないほどに壊れていた。
昼休みのベルが鳴り、みんながぞろぞろと教室を出ていったが、ハリーとロンだけが取り残され、はそれに付き合ってあげた。
ロンは取り残されたことにかんしゃくを起こして、杖をバンバン机に叩き付けていた。
「こいつめ・・・・・役立たず・・・・・コンチクショー」
「机にやつあたりしたって仕方ないじゃない」
そう言ったをロンが恨めしそうな顔で見たので、ハリーは気をとり直すように言った。
「家に手紙を書いて別なのを送ってもらえば?」
杖が連発花火のようにパンパン鳴った。
「あぁ、そうすりゃ、また『吠えメール』が来るさ。『杖が折れたのは、お前が悪いからでしょう――』ってね」
昼食を終え、四人は中庭に出た。
ハーマイオニーは石段に腰かけて、「バンパイアとばっちり船旅」をまた夢中になって読み始めたし、その一段下では眠そうな目で中庭をボーッと眺めていた。
一方、ハリーとロンは立ち話でクィディッチの話をしていた。
にもハーマイオニーにもその話は聞こえていた。
すると、突然、ハリーに話しかける人がいた。
「あの、ハリー、元気?僕――僕、コリン・クリービーと言います」
その少年はハリーに視線を向けられると真っ赤になった。
はその様子を見て、一気に目が覚めて、もっと話がよく聞こえるように彼らのそばに寄っていった。
「僕も、グリフィンドールです。あの――もし、かまわなかったら――にも写ってもらって、写真を撮っても良いですか?」
カメラを持ち上げて、少年が遠慮がちに頼んだ。
「写真?」
ハリーがオウム返しに聞いた。
「僕、あなたに会ったことを証明したいんです。それに弟がのファンで・・・・・」
コリンは懇願するような目で二人を見た。
は今更ながら自分の好奇心を恨んだ。
「あなたの友達に撮ってもらえるなら、僕があなたたちと並んで立ってもいいですか?それから、写真にサインしてくれますか?」
「サイン入り写真?ポッター、ブラック。君たちはサイン入り写真をくばってるのかい?」
ドラコ・マルフォイの痛烈な声が中庭に大きく響きわたった。
いつものように、デカで狂暴そうなクラッブとゴイルを両わきに従えて、マルフォイはコリンのすぐ後ろで立ち止まった。
「みんな、並べよ!ハリー・ポッターと・ブラックがサイン入り写真を配るそうだ!」
マルフォイが周りに群がっていた生徒たちに大声で呼び掛けた。
「僕たちはそんなことしていないぞ。マルフォイ、黙れ!」
ハリーは怒って拳を握りしめながら言った。
「君、やきもち妬いてるんだ」
コリンもクラッブの首の太さぐらいしかない体で言い返した。
「妬いてる?」
マルフォイはもう大声を出す必要はなかった。
中庭にいた生徒の半分が耳を傾けていた。
「何を?僕はありがたいことに、額の真ん中に醜い傷なんか必要ないね。頭をかち割られることで特別な人間になるなんて、僕はそう思わないのでね。それにはポッターより僕の方が好きだってさ。残念だったな、ポッター」
クラッブとゴイルはクスクス薄ら馬鹿笑いをしていた。
「私はあなたのことなんか嫌いよ。ゴキブリ以下よ」
スリザリン生徒以外の群がっていた生徒たちはその発言に納得したような顔をした。
マルフォイは自分が思っていたような反応が返ってこないので悔しそうにを睨んだ。
「ナメクジでも食らえ、マルフォイ」
ロンがけんか腰で言った。
するとマルフォイは新しいターゲットを見つけたので、意気揚々と言った。
「言葉に気をつけるんだね、ウィーズリー」
マルフォイがせせら笑った。
「これ以上いざこざを起こしたら、君のママがお迎えに来て、学校から連れて帰るよ」
マルフォイは甲高い突き刺すような声色で「今度ちょっとでも規則を破ってごらん――」と言った。
近くにいたスリザリンの五年生の一団が声をあげて笑った。
男の子達はみんな元気です。ハリーはセドリックの名前にちょっと嫉妬気味。