「ねぇ、聞いた?ハリー・ポッターとロン・ウィーズリーが空飛ぶ車でホグワーツまで来たって」
歓迎会に向かう途中、追い越していく女の子の話が聞こえた。
「ハーマイオニー、どう思う?」
が隣を歩いているハーマイオニーに聞いた。
「可能性はないとは言えないわね。今日、あの二人は汽車に乗ってなかったもの」
ハーマイオニーは少し心配そうに、怒ったように言った。
「パパたちに会えなかったのかなぁ」
が独り言を呟いた。
二人が大広間に着いたとき、すでに席は大半埋まっていた。
去年と同じように緊張した新入生たちが入ってきた。
その中にはジニーもいた。
がふと職員の上座を見ると、何故か一つ空席がある。
スネイプの席だ。
マクゴナガル先生が組分け帽子を出して、新入生たちの頭に乗せて組分けが始まった。
その中の何人かはグリフィンドール生になるし、別の何人かはスリザリン生になるだろう。
はハリーたちが心配でボッーと大広間を見回した。
すると、タイミング良く、ハッフルパフの生徒と目が合った。
セドリック・ディゴリーだった。
彼はみんなに気付かれないようにに手を振った。
の顔が真っ赤になった。
セドリックはにっこり笑ってまた組分けに注目し始めた。
「どうしたの?」
ハーマイオニーは一人で慌てているを不審に思った。
「なんでもないよ」
は笑って誤魔化した。
ハーマイオニーもそれ以上しつこく聞くのは悪いと思ったのか、ふーん、というとまた組分け帽子に視線を戻した。
どんどん組分けは進んでいった。
最後の一人が終わるとマクゴナガル先生は自分の席に戻るかと思いきや、近くの扉から大広間を出ていってしまった。
「今年、新しい闇の魔術に対する防衛術の先生はギルデロイ・ロックハート先生に決まった」
ダンブルドアがそう紹介すると女の子たちの黄色い声と共にロックハートは微笑んだ。
「さて、食事にするとしようかの」
大広間は食事の良い匂いに包まれた。
ももちろんお腹が減っていたので自分の食事をちゃんと確保して満足するまで食べた。
一息ついて、ふと顔を職員の上座席に移すと、ダンブルドア先生とマクゴナガル先生、それにスネイプが大広間に入ってくるところだった。
なにかあったのだろうか、とジッと注意深くそちらを見ていると、運のないことにスネイプと目が合った。
彼は新学期早々いやなことでもあったのか、やつあたりのようにをジロリと睨んで席に座った。
「、君もロックハート教授にお熱なのか?」
がロックハートを見つめていると勘違いしたジョージがに茶化したように話しかけた。
「彼にお熱なんか上げてないわ」
はムッとして言い返した。
ジョージはクスクスと笑ってごめんよ、と言った。
その言葉には謝礼の気持ちなど微塵もなかった。
食事も終わって一段落するとあとは寮に帰るだけだ。
とハーマイオニーは監督生のパーシーから合言葉を聞くと、連れだって大広間を出た。
しかし寮に帰る途中、は後ろから懐かしい声に呼び止められた。
「!」
とハーマイオニーが振り替えるとセドリックが階段の下から呼んでいた。
「、私、先に行くね」
ハーマイオニーはにそう告げると一足先に寮に帰ってしまった。
ハーマイオニーが曲がり角に姿を消すと同時にセドリックがに追い付いた。
「呼び止めてごめん」
セドリックが謝った。
「ううん、大丈夫」
「そう、あー・・・・・ならよかった」
セドリックは何が言いたいのか少し落ち着きがなかった。
は見かねて言った。
「何か用があったんでしょう?どうしたの?」
「あ、いや、あー・・・・・父さんから君が夏休みに大怪我をしたって聞いたんだ。本当は手紙を書こうとしたんだけど返事を返せないほどだったら悪いな、って思って・・・・・大丈夫だったの?」
セドリックは一気にそう言うとの顔色をうかがった。
一方、の頭の中は嬉しさのあまり真っ白だった。
「いや、迷惑だったらいいんだ、ごめん引き留めて。それじゃあ――」
セドリックは黙っているに何かを感じてそう言った。
すると、は少し上擦った声で叫んだ。
「迷惑なんかじゃない!嬉しかっただけだもん。心配されて、驚いてたの!」
の顔は恥ずかしさで赤い。
セドリックが言った。
「あ、えー、そ、それで体の方はもう平気?」
はコクンと頷いた。
よかった、とセドリックが笑った。
「それじゃあ、今度こそ――」
「ありがとう!」
は手を振りそうになるセドリックをさえぎってそう叫んだ。
セドリックも心なしか嬉しそうに笑っていた。
彼と別れて、が寮に帰って来ると、ハリーとロンはすでに暖炉の前を占領していた。
周りには二人を英雄扱いするグリフィンドール寮生がいる。
「ハリー、大丈夫そう?いろいろと」
は後ろから声をかけた。
ハーマイオニーが一瞬、セドリックと何があったのか知りたそうな顔をしたが、こちらの方が重要だと思ったのか、視線を二人に戻した。
「ああ、大丈夫さ。父さんたちに手紙が行くようだけど」
「手紙?まさか退学の――」
はそんな平静のハリーを唖然と見た。
「違うよ!ただ報告するらしいんだ」
少し顔をしかめたハリーだったが、英雄扱いされるのが嬉しいのか、あまり気にする様子はなかった。
はこの先の事を思ってハリーを気の毒に思ったが、わざわざ嬉しそうな雰囲気を壊すのもどうかと思って口をつぐんだ。
「じゃあ二人とも退学にはならないのね?」
「もちろんさ!」
ロンが生き生きとして言った。
ハーマイオニーはお手上げだ、と言うようにを見た。
「、寝室へ行きましょ」
ハーマイオニーはふとの後ろの方を見るとそう言った。
がハーマイオニーの視線を追うと怒った顔をしたパーシーがこちらに向かってきていた。
は納得したように頷くと、ハリーとロンに言った。
「二人とも。それぐらいにして寝室に行ったら?」
二人はの何かを含んだ笑いから危険を察し、パーシーに気づいた。
「さ、ハーマイオニー、行きましょ」
は眠たい目を擦りならなが寝室に向かった。
セドリックと新学期早々良いムードですか?笑