「、ハーマイオニーにドビーのことを話したいんだ。父さんたちを・・・・・引き付けてくれるかい?」
ハリーはシリウスとジェームズの監視の隙間を狙いながら、にそう耳打ちした。
「そんなの無理よ!私に出来るわけないじゃない!」
思わずそう叫ぶと前を歩いていたロンとハーマイオニーが怪訝な顔をしてハリーとを見比べた。
「、どうしたの?」
ハーマイオニーがに言った。
がチラリと後ろを見るとジェームズとシリウスは自分たちの話に夢中らしかった。
「ハーマイオニー、屋敷しもべ妖精って知ってる?」
がハーマイオニーの質問には答えず、そう聞き返した。
「本当で読んだことがあるわ。実際には見たことないけど・・・・・それがどうかしたの?」
ハーマイオニーが小首を傾げる隣でロンはが何を言いたいのかわかったらしい。
「ハリー、君、君のパパにあの話はしていないんだろう?どこか店に入ってハーマイオニーに話そうよ。君が話している間、君のパパたちを見張っているから――が引き付けておくんだ」
ロンがを見ながら言った。
「わかったわよ!やりゃあいいんでしょ!」
はヤケクソのようにそう言った。
そして四人は手近な店に入ろうとした。
しかし、ジェームズとシリウスがを呼び止めた。
「、ちょっと僕たちも買いたい物があるから後は君たちだけで回れるかい?買い物が終わったらちゃんとみんなと合流するように書店に行くから」
ジェームズはが頷いたのを確認するとにっこり笑って、まかせた、と言うとクルリと回れ右をしてもと来た道を歩いて行った。
「ハリー、パパたちどこかに行っちゃったよ」
がハリーを探し出して言った。
するとハリーも安心したように呟いた。
「これで安心して話せるよ」
そうしてハリーはハーマイオニーに話だしたが簡単に終れるような短い話ではない。
十分もするとは飽きてきてロンに店の外に行く、と伝え探検に行った。
ホグワーツから手紙が届いた生徒たちや、新入生たちが横丁にたくさん歩いていた。
はその波に乗りながら当てもなく歩いていると、突然後ろから呼びとめられた。
「じゃないか」
「マルフォイ」
はじっと彼を見つめた。
「その通り。君も今日、買い物に来たらしいな」
「買い物の日をずらせばよかったわ」
はいちいちマルフォイにつっかかった。
「僕はまだ君に何もしていない。そんなに警戒するなよ」
マルフォイはに一歩歩み寄った。
「今日は何しにここへ?」
がそう聞くとマルフォイは小バカにしたようにを見た。
「新しい教科書などを買いに来たに決まっているだろう。まあ、その他に父上の所有物を売りに来たんだけどな、ノクターン横丁にね」
マルフォイの話はいつでも自慢話だが、このときばかりはも本心から驚いた。
「あそこに行ったの?信じられない」
「別に今からもう一度行ったっていいさ、君が行きたいんだっ――」
しかし、マルフォイが言い終わるか終わらないうちには新たな人物から声をかけられた。
「!こんなところにいた。ハリーたちが君のこと――」
フレッドとジョージだった。
彼らはマルフォイを見るとガラリと態度を変えた。
「、行こう」
ジョージが有無を言わさず、の腕を引っ張った。
「ジョージ、待って!」
は半ば引きずられるのが嫌でジョージを呼んだ。
「早いよ、私、転んじゃう!」
がそう言った瞬間、の心配は現実となった。
しかし、何かにつま付いたものの、痛みはない。
そっと回りを見ると、フレッドが後ろからを支えていた。
「ごめんよ、。大丈夫か?」
ジョージがすまなそうにを見た。
「もちろん大丈夫よ!ありがとう、フレッド」
は後ろを向いてにっこり笑った。
そして、また前を向いてジョージに言った。
「ジョージもありがとう。マルフォイと引き離してくれて。早く行こう!みんなが探してるんでしょう?」
今度はフレッドとジョージがに引っ張っられることとなってしまった。
「パパ、がいたよ。マルフォイに捕まってたんだ」
フレッドとジョージは書店へつくとと父親とを引き合わせた。
「マルフォイ?ルシウス・マルフォイかね?」
ウィーズリーおじさんは小難しい顔をしてを見た。
「いいえ、ドラコ・マルフォイ、息子の方です」
は密かにピリピリした、こんな雰囲気はごめんだった。
「何か言っていたかね?例えば、父親についてなんか」
「えっと・・・・・何かを売ったとか言っていました」
がちょうどそう答えたそのとき、黒山の人だかりで、押し合い、へし合いしている中、ジェームズとシリウスがこっちに向かってきたのが見えた。
「!どこに行ったのかと思ったよ」
するとウィーズリーおじさんが答えた。
「ルシウス・マルフォイの息子と立ち話していたらしい」
シリウスが少し呆れたような、怒ったような顔でこちらを見た。
「好きで話していたんじゃないもん」
がボソボソと呟いた。
するとそのとき人垣が一斉に拍手し始めた。
は一体何事かと、部屋の隅で一人で立っているジニーの近くへと行った。
「一体、どうしたの?」
「ギルデロイ・ロックハートがハリーをスポットライトに引き出したの」
「ジニーはロックハートのサインはいらないの?」
が聞いた。
「ファンじゃないものママがロックハートのこと、好きなの」
ジニーがそう言ったとき、ロックハートの演説が聞こえた。
ホグワーツで「闇の魔術に対する防衛術」担当教授職を引き受けたらしい。
そのときハリーがロックハートの全著書をプレゼントされ、本の重さによろけながらもこちらへと向かってきた。
「これ、あげる」
ハリーはジニーに向かってそうつぶやくと、本の山をジニーの鍋の中に入れた。
「、一体、君、どこにいたんだい?僕たち探したんだよ」
本の重さがなくなると、ハリーはに向き直り、ちょっと気分を害したように言った。
「僕と一緒にいたんだよ、有名人のハリー・ポッター。ちょっと書店に行くのでさえ、一面大見出しかい?」
するとの後ろからマルフォイが現れた。
「ほっといてよ。ハリーが望んだことじゃないわ!」
ジニーがの頭越しにマルフォイをはったとにらみつけていた。
「逆恨みはやめなさいよ、マルフォイ。見苦しいわ」
も振り向いてマルフォイをにらみつけた。
「・・・・・」
マルフォイがの頬に触れようと手を伸ばそうとした。
すると、その手は何者かの手によって叩かれた――ハリーだった。
「お前がに触ったらが汚れるだろう?」
しばらくそのまま二人はにらみあっていた。
ハリーとドラコの一騎打ち!笑