「アーサー、が到着しましたよ」
三人が下に降りていくと、パーシーとジョージとフレッド、それにロンの妹のジニーがすでにそろっていて、その中に父親らしき赤毛の男の人が新聞を読んでいた。
「君がだね。噂はロンたちから聞いているよ。いつも息子たちがお世話になってるね、特にフレッドとジョージが」
ウィーズリー夫人が"アーサー"と呼んだ父親は話やすかった。
「いえ、そんな・・・・・お世話になってるのは私の方です」
は謙遜するとにっこり笑った。
「みんな優しい人たちばかりです」
すると、ウィーズリー夫人がご機嫌良く言った。
「さあ、食事にしましょうね」
多分、の誉め言葉に気を良くしたのだろう。
にとってウィーズリー家の食事は楽しいことばかりだった。
フレッドとジョージは楽しいし、ウィーズリー夫人は何かと気を使ってくれるし、何より食事の人数が多いことが嬉しかった。
「ハリー」
「なに?」
「帰らなきゃダメかなあ」
こっそりハリーに耳打ちするの顔はハリーに何かを期待しているようだった。
「でも、父さんたちが言ったんだろ?四日後には帰ってくるように。そうしたら帰らなきゃ」
ハリーは親の言うことに素直に従う良い子に見えたが、何故かその目に恐怖の色があった。
そして、にこっそり、とても小さな声で言った。
「母さんたちを怒らせたら怖いから」
は納得したように頷いた。
夕食も食べおわり、ウィーズリー夫人がジニーに言った。
「ジニー、をあなたの部屋に案内してあげて」
ジニーは恥ずかしがり屋なのかただコクンと頷いた。
がそのままジニーについて行くと、可愛らしい部屋に通された。
「一人部屋?」
は部屋をグルッと見回した。
すると、ジニーはまたコクンと頷いた。
「そうだよね、上はお兄さんばかりだもんね」
がそう言うと、ジニーは初めて口を開いた。
「ハリーと付き合ってるの?」
「はい?」
はすっとんきょうな声を上げた。
「つ、付き合ってなんて・・・・・いないわ」
は恥ずかしそうに、消え入りそうな声で言った。
ジニーはジッとを観察した。
「じゃあセドリック・ディゴリーって人と付き合ってるの?」
今度こそ、の顔は真っ赤になった。
「だ、誰がそんなこと・・・・・」
「ジョージとフレッド」
ジニーはそう言うといきなり笑顔で言った。
「わかった。本命はセドリック・ディゴリーって人なのね。ありがとう」
ジニーの笑顔は悪戯がうまくいったときのフレッドとジョージのようなものだった。
残りの四日間、楽しく過ごすことが出来そうだ。
がウィーズリー家にきて四日目の朝、ハリーとは渋々家に煙突飛行粉で帰ってきた。
暖炉の前にはちょうどシリウスとジェームズ、リリーがお茶をしていた。
「ママは?」
は助け起こしてくれた自分の父親に言った。
「仕事だよ。今月は忙しいらしい」
シリウスは同情するように言った。
「ロンの家はどうだった?」
リリーはハリーとの分のお茶も用意した。
「は帰りたくないって」ハリーが言った。
「ハリーだって言ってたじゃない」
すると、が言い返した。
「そうだ。ホグワーツから手紙が届いたら一緒に買い物をしたいってロンが。ロンのおばさんも来るし行っていい?」
ハリーは巧みにをスルーするとそう言ってリリーを見た。
リリーは悩んだ。
「そうねえ・・・・・」
「良いんじゃないか?僕たちも面白そうだしついて行くし」
ジェームズがハリーの肩を持った。
リリーは心配そうにをチラリと見た。
「なら首に紐でもつけとくから」
シリウスがリリーを安心させるようにそう言った。
しかし、もちろんそれには不満だ。
「私は犬じゃない!」
「犬じゃなくても時々いるんだよ、自分の子供に紐をつけて迷子にならないようにする人。ならきっと似合うよ」
ジェームズはにっこり笑った。
は似合うということにあまりしっくりこなかったが、ジェームズには勝てないと思い、ロンたちと一緒に買い物をしたいと思い、反論しそうになった口を塞いだ。
「わかったわ。にもなんとか納得させとくから。行って来なさい。そのかわり、ジェームズ、シリウス。ちゃんと二人を見張ってるのよ?目を離すと直ぐに何処かに雲隠しちゃうんだから」
リリーは渋々ながらも二人に許可をだした。
ハリーもも大喜びだった。
次の日、ホグワーツからの手紙が届いたあと、すぐにロンから手紙が来た。
今日、買い物に行くらしい。
幸い、ジェームズもシリウスも暇だったし、珍しくも家にいたため、別段、障害はなく二人はダイアゴン横丁に行けることとなった。
「こんにちは」
ハリーととジェームズ、シリウスが漏れ鍋に行くと、既にウィーズリー家の面々はそろっていた。
それにプラスされてハーマイオニーの家族が一緒だった。
まずはじめは銀行に行くことだった。
ウィーズリー家とポッター家とブラック家をいちいち回っていると時間がかかるので、ウィーズリー家とポッター、ブラック家に別れることになった。
ハーマイオニーたちはマグルのお金を取り替えるためにロンの父親と何処かに行ってしまった。
四人はもう見慣れたトロッコに乗り込んだ。
「相変わらず芸のないトロッコだね」
はシリウスにそう言うとそれを聞き付けた小鬼は少し怒った様子でに言った。
「職員は全て皆様の金貨や銀貨を守るために働いています。なので、このような所に手をかける暇などないのです」
は小さく不満そうな声を上げたが、回りには風の音にかき消されていて聞こえなかった。
そんな調子で二つの家の金庫を回り終えるとまたもやすでにウィーズリー家もグレンジャー家は終わっていた。
「じゃあロンはハリーととハーマイオニーと一緒に行動するのね?ジョージ、フレッド、お金を無駄使いするんじゃありませんよ。ジニーは一緒に新しい制服などを買いに行きましょうね。パーシー、あなたは羽ペンを見たいって言ってたわね。じゃあ、別行動にしましょう。自分たちの買い物が終わったらフローリッシュ・アンド・ブロッツ書店にいらっしゃい。教科書を買わなければならないわ」
ウィーズリー夫人は一人一人の顔を見回しながら言った。
「パパたちは一緒に来るの?」
が聞いた。
「一応ね。リリーたちが怒ると怖いからね」
やれやれ、とジェームズが肩をすくませた。
はハリーとジェームズが親子なのだと改めて感じた。
「ハリー、そんな顔をしないでくれ。別に君たちの買い物に口は出さないよ」
シリウスは少し不満そうなハリーに苦笑した。
「それじゃあハリー、ロン、ハーマイオニー、行きましょ。ずっとここで立ってたってつまらないわ」
はそう言って三人に笑った。
すると三人もつられるように笑った。
ジェームズもシリウスもこのまま何事もなく買い物が終ればいい、と密かに四人を見ながら思っていた。
ハーマイオニーの台詞が一つもありませんが、お気になさらず・・・汗