次の部屋は真っ暗で何も見えなかったが、一歩中に入ると突然光が部屋中に溢れ、驚くべき光景が目の前に広がった。
部屋には大きなチェス盤があった。
4人は黒い駒側に立っていた。
「何をしたらいいのかしら?」
ハーマイオニーが囁いた。
「見ればわかるわ。チェスをしなければ扉は開かないのよ。多分、私達がチェスのこまになって」
が答えた。
そのとき、ロンがオズオズと言った。
「気を悪くしないでくれよ。でも3人ともチェスはあまり上手じゃないから・・・・・」
「気を悪くなんかするもんか。何をしたらいいのか言ってくれ」
ハリーが即座に答えた。
「じゃハリー、君はビショップとかわって。ハーマイオニーはそのとなりでルークのかわりを。はクイーンだ」
駒はロンの話を聞いていたようで、4人に持ち場を譲った。
「白が先手なんだ」
ロンがチェス盤の向こう側を覗きながら言った。
チェスはどんどん進んでいった。
「詰めが近い」
ロンが急に呟いた。
「ちょっと待てよ――うーん・・・・・やっぱり、これしか手はない。僕が取られるしか」
「ダメ!」
ハリーととハーマイオニーが同時に叫んだ。
「これがチェスなんだ。犠牲を払わなくちゃ!僕が一駒前進する。そうするとクイーンが僕を取る。ハリー、それで君が動けるようになるから、キングにチェックメイトをかけるんだ」
ロンがキッパリと言った。
「でも・・・・・」
「スネイプを食い止めたいんだろ。違うのかい?」
「ロン・・・・・」
「急がないと、スネイプがもう『石』を手に入れてしまったかもしれないぞ!」
ロンはハリーが頷いたのを見て言った。
「じゃあ、僕は行くよ。いいかい、勝ったらここでグズグズしてたらダメだぞ」
ロンが進むと白のクイーンはロンを叩きのめした。
ハリーは震えながら3つ左に進んだ。
そして、白のキングは王冠を脱ぎ、ハリーの足元に投げ出した――勝った。
チェスの駒は3人の為に道を開け、お辞儀をした。
「もしロンが・・・・・」
ハーマイオニーはロンを振り返った。
「大丈夫よ。行きましょう」
はハーマイオニーを引っ張った。
「次は何だと思う?」
ハリーが2人に聞いた。
「スプラウトはすんだわ。悪魔の罠だった。鍵に魔法をかけたのはフリットウィックに違いないし・・・・・チェスの駒を変身させて命を吹き込んだのはマクゴナガルだし・・・・・」
「となると残るはクィレルの呪文とスネイプの魔法薬ね」
ハーマイオニーとは考え込んだ。
次の扉にたどり着いた。
押し開けるとむかつくような匂いが鼻をつき、ローブを引っ張りあげて鼻を覆った。
目をしょぼつかせながら見ると前にやっつけたのよりもさらに大きなトロールだった。
気絶していた。
「今こんなトロールと戦わなくてよかった。さぁ行こう。息が詰まりそうだ」
ハリーは顔をゆがませた。
そして、は頷くと次の部屋の扉を開けた。
中にはテーブルがあり、その上に形の違う7つの瓶が一列に並んでいた。
「最後にスネイプが来るとはね・・・・・」
が疲れきった顔をした。
「何をすればいいんだろう」
扉の敷居をまたぐと2人が通ってきたばかりの入口でたちまち火が燃え上がった。
紫の炎だ。
同時に前方のドアの入口にも黒い炎が上がった。
閉じ込めらるてしまった。
「見て!」
ハーマイオニーが坪の横に置かれていた巻紙を取りあげた。
3人はその紙に注目した。
前には危険 後ろは安全
君が見つけさえすれば 二つが君を救うだろう
七つのうちの一つだけ 君を前進させるだろう
別の一つで退却の 道が開ける その人に
二つの瓶は イラクサ酒
残る三つは殺人者 列にまぎれて隠れている
長々居たくないならば どれかを選んでみるがいい
君が選ぶのに役に立つ 4つのヒントを差し上げよう
まず第一のヒントだが どんなにずるく隠れても
毒入り瓶のある場所は いつもイラクサ酒の左
第二のヒントは両端の 二つの瓶は種類が違う
君が前進したいなら 二つのどちらも友ではない
第三のヒントは見たとおり 七つの瓶は大きさが違う
小人も巨人もどちらも 死の毒薬は入っていない
第四のヒントは双子の薬 ちょっと見た目は違っても
左端から二番目と 右の端から二番目の 瓶の中身は同じ味
ハーマイオニーはホーッと大きな溜め息をついた。
微笑んでいた。
「すごいわ!これは魔法じゃなくて論理よ。少し、黙ってて。えっと・・・・・」
するとハーマイオニーは紙を何度か読み直し、ブツブツ独り言を言った。
とハリーの出る幕はなさそうだった。
そしてついにパチンと手を打った。
「分かったわ。一番小さな瓶が黒い火を通り抜けて『石』の方へ行かせてくれる」
ハリーはその小さな瓶を見つめた。
「紫の炎をくぐって戻れるようにするのはどれ?」
ハーマイオニーが一番右端の瓶を指差した。
「君がそれを飲んでくれ。戻ってロンと合流し、フクロウ小屋に行き、ダンブルドアに知らせてくれ。は――」
「私も一緒に行くわ」
はハリーが言い終わらないうちに、急いで言った。
「君を危険な目に合わせたくない!」
しかし、ハリーは猛反対した。
「いやよ!」
の意志は固いようだ。
仕方なく、ハリーは頷いた。
「じゃあ、幸運を祈るわ」
ハーマイオニーは心配そうに二人を見ると、薬を飲み、炎の中へと消えていった。
「いきましょ、ハリー」
二人は薬を半分ずつわけ、黒い炎の中を突き進んだ。
そしてとうとう炎の外へ出た。
そこで待ち受けていたのはスネイプではなかった。
ヴォルデモートでもなかった。
さあ、ハリーさん、二人っきりですよ。笑