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ハリーが思いつめたように言った。
「ダンブルドアのところに行かなくちゃ」
四人は顔をみあわせて頷いた。
「ハグリッドが怪しいやつに、フラッフィーをどうやって手なずけるか教えてしまった。マントをの人物はスネイプかヴォルデモートだったんだ・・・・・ハグリッドを酔っぱらわせてしまえば、あとは簡単だったに違いない。ダンブルドアが僕たちの言うことを信じてくれればいいけど。校長室はどこだろう?」
四人はあたりを見回した。 どこかに矢印で校長室と書いてないだろうか。 そういえば、ダンブルドアがどこに住んでいるのか聞いたことがないし、誰かが校長室に呼ばれたという話も聞いたことがない。 すると急にホールのむこうから声が響いてきた。
「そこの三人、こんなところで何をしているの?」
山のように本を抱えたマクゴナガル先生だった。
「ダンブルドア先生にお目にかかりたいんです」
ハーマイオニーが勇敢にもそう言った。
ダンブルドア先生にお目にかかる?
マクゴナガル先生はそんなことを望むのはどうも怪しいとでもいうように、おうむ返しに聞いた。
「理由は?」
ハリーはグッとつばを飲み込んだ。
「ちょっと秘密なんです」
ハリーはそう言うなり、言わなきゃよかったと思った。 マクゴナガル先生の鼻の穴が膨らんだのを見たからだ。
「ダンブルドア先生は十分前にお出掛けになりました」
マクゴナガル先生が冷たく言った。
「魔法省から緊急のふくろう便が来て、すぐにロンドンに飛び発たれました」
「先生がいらっしゃらない?この肝心な時に?」
ハリーはあわてた。
「ポッター。ダンブルドア先生は偉大な魔法使いですから、大変ご多忙でいらっしゃる・・・・・」
「でも、重大なことなんです」
「ポッター。魔法省の件よりあなたの用件の方が重要だというんですか?」
「実は・・・・・『賢者の石』の件なのです」
この答えだけはさすがのマクゴナガル先生にも予想外だった。 先生の手からバラバラと本が落ちたが、先生は拾おうともしない。
「どうしてそれを・・・・・?」
先生は驚きと疑いの入り混じった目をハリーに向けていたが、しばらくしてやっと口を開いた。
「ダンブルドア先生は明日お帰りになります。あなたたちがどうしてあの『石』のことを知ったのかわかりませんが、安心なさい。磐石の守りですから、誰も盗むことはできません」
「でも、先生・・・・・」
「ポッター、二度同じことは言いません。四人とも外へ出なさい。せっかくの良い天気です」
先生はかがんで本を拾い始めた。 四人とも外にはでなかった。
「今夜だ」
マクゴナガル先生が声の届かないところまで行ってしまうのを待って、ハリーが言った。
「スネイプが仕掛け扉を破るなら今夜だ。必要なことは全部わかったし、ダンブルドアも追い払ったし。スネイプが手紙を送ったんだ。ダンブルドアが顔を出したら、きっと魔法省じゃキョトンとするに違いない」
「あっ」
すると、突然、が息を呑んだ。 ハリーとロンが急いで振り返ると、そこにはスネイプが立っていた。
「やあ、こんにちは」
スネイプがイヤに愛想よく挨拶をした。 四人はスネイプをじっと見つめた。
「諸君、こんな日は室内にいるもんじゃない」
スネイプはとってつけたようなゆがんだ微笑を浮かべた。
「僕たちは・・・・・」
ハリーがもごもごと何かを言ったが、わからなかった。
「もっと慎重に願いたいものですな。こんなふうにウロウロしているところを人が見られたら、何か企んでいるように見えますぞ。グリフィンドールとしては、これ以上減点される余裕はないはずだろう?」
ハリーとハーマイオニーは顔を赤く染めた。 四人が外に出ようとするとスネイプが呼び止めた。
「ポッター、警告しておく。これ以上夜中にうろついているのを見かけたら、我輩が自ら君を退学処分にするぞ。さあ、もう行きたまえ」
スネイプは大股に職員室の方に歩いていった。 入り口の石段のところで、四人は一旦、止まった。
「よし、こうしよう。誰かが一人がスネイプを見張るんだ・・・・・職員室の外で待ち伏せして、スネイプが出てきたら跡をつける。ハーマイオニー、君がやってくれ」
「何で私なの?」
「当たり前だろう」
ロンが言った。
「フリットウィック先生。私、14bの答えを間違えてしまったみたいで、とっても心配なんですけど・・・・・」
「まあ失礼ね!黙んなさい!」
それでも結局、ハーマイオニーがスネイプを見張ることになった。
「それじゃあ、僕たちは・・・・・」
「あ、ハリー、私はちょっと今回だけは抜けてもいいかしら・・・・・本当に悪いと思うんだけど・・・・・」
張り切って指揮を執っていたハリーには恐る恐る声をかけた。
「まさか、裏切る気じゃないだろうな?理由はなんなのさ?」
ロンが疑わしくを見た。
「バカいわないでよ。違うの、本当に・・・・・理由は言えないの」
はおろおろしながら言った。
「ウン、わかった。じゃあ、夕食のときに・・・・・」
ハリーはまだ何かを言いたそうなロンを押さえ、に笑いかけ、四階の廊下へ向かった。 はそれを見届け、ハーマイオニーが職員室で見張っているのを横目に、別の場所で隠れながら職員室を見張った。 しばらくすると、職員室からスネイプが出てきて、少しハーマイオニーと話した後、フリットウィック先生を呼んだ。 ハーマイオニーはそのままフリットウィック先生と話し始めてしまった。 しかし、彼女の目だけはスネイプを追っていたが、彼を引き止めることなど、到底出来ない。 は急いで、ハーマイオニーにばれないようにスネイプの後を追った。
「スネイプ先生!」
ハーマイオニーの姿も見えなくなり、他の生徒達もいないがらんとした廊下で、はスネイプを引き止めた。
「先生、少し、お話がしたいのですが」
スネイプの顔に驚きが見られた。
「何故だ」
「例の石のことで」
がそういうと、スネイプは無言でを品定めするように見ると、ついて参れと地下室に連れて行った。
「お前たちがあの石を探っているのは知っている」
スネイプはに紅茶を出しながら言った。
「先生がこっそりハリーを守っていたのも知っています」
はその紅茶に口をつけて言った。
「紅茶、おいしいです」
「何故、我輩があのような小僧を守っているなどと・・・・・勘違いもいいところだ」
スネイプは自分も座ると、紅茶に口をつけた。
「とぼけないでください。先生がハリーの箒にかけられていた呪文の反対呪文を唱えていたことは知っています。ただ、残念なのは呪文を唱えていた人が分からなかったことですが」
はきっぱりとそう言った。
「我輩は何もしらん」
しかしスネイプはしらを切るばかりだった。
「でも、今ならその犯人がわかります」
は気にせず続けた。
「クィレル先生なんでしょう?」
地下室に恐ろしい沈黙が訪れた。
「先生はそれをご存知だったのでしょう?だから――」
「黙れ」
スネイプは冷たく言い放った。
「もし、我輩が知っていたとしたってお前は何を望むのだ?」
「ダンブルドア先生をホグワーツに呼び戻して欲しいのです」
スネイプはまた驚いた顔をした。
「何故だ」
「クィレル先生が行動を起こすのはきっと今夜です。魔法省からの手紙というのも嘘で、きっとクィレル先生が書いたものです。石をあの人が手に入れればまた世界は大混乱になります」
スネイプは考え込んだ。
「つまり手を貸せというのか」
「先生がフクロウ便か何かを送ってくだされば、生徒の私が送るより事実性があります」
は肯定も否定もしなかった。 また、地下室は沈黙が続いた。
「・・・・・夕食の時間だ。もう行きたまえ」
スネイプが言った。
「送ってくださらないんですか?」
「さっさと行きたまえ。・ブラック。もうグリフィンドールは減点される余裕など、ないだろう」
はしぶしぶスネイプに紅茶の礼を言うと、地下室を上がっていった。 地下室には悩むスネイプだけが残された。
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冷たくてもセブルスはカッコいいw