「まったく、スネイプのヤツ、本当に虫が好かないやつだよ」
ロンは魔法薬学の授業が終わり、教室の外へ出た途端、そういった。
「ロン、スネイプに聞こえるわ」
ハーマイオニーがたしなめた。
「聞こえたって構わないさ」
「へえ。いつからそんなに偉くなったんだい、ウィーズリー」
すると、ロンの背後から聞きたくもない声が聞こえた。
「マルフォイ、向こうへ行けよ」
ハリーが睨みつけた。
「ああ、もちろん行くさ。君たちの顔なんか見たくないんでね・・・・・そうだ、ポッター、一つ忠告してやる。いつかお前から大切なものを奪い取ってやるから覚悟を決めておいた方がいいよ」
マルフォイはそういい残して、素直にその場から立ち去った。
「、大丈夫?気分でも悪いの?」
マルフォイが立ち去った中、は未だに不安げな顔でマルフォイの背中を見ていた。
その顔は青白く、ハーマイオニーが病人と間違えるのも無理はなかった。
「マルフォイに何を言われたの?」
ハリーは心配そうにの顔を覗き込んだ。
「何も・・・・・言われてない。気にしないで、大丈夫だから」
「でも、あなたの顔は真っ青よ」
ハーマイオニーはの頬を優しく撫でた。
「本当に大丈夫だから・・・・・」
そしてはハーマイオニーに小さく微笑んでみると、三人を寮へ戻ろう、と促した。
寮へ戻り、四人は手近なソファーやイスに座った。
は放心したように、談話室をボーっとながめていた。
あまりにも彼女らしくないので、ハリーは優しくに言った。
「、父さんたちに知らせたほうが・・・・・」
「そう、それだわ!ハリー、それよ!」
を気遣うハリーに笑顔を見せて、ハーマイオニーは叫んだ。
「あなたのご両親に話してみたら?ハグリッドとは知り合いなんでしょう?きっと、いい案をくれるわ!」
ハーマイオニーは意気揚々とカバンから書くものを取り出してハリーに渡した。
しかし、ハリーは迷っているようだった。
「それが一番いいかもしれない!」
すると、ロンもハリーを後押しするように言った。
「だってそれが一番いいと思うだろう?」
は小さく頷いた。
親愛なるジェームズ、シリウス
相談があります。
ハグリッドがドラゴンの卵を孵してしまいました。
でも、知っての通り、法律では違法で、内密に事を処分したいのです。
何か、良い方法はありませんか?
ドラゴンの種類はノルウェー・リッジバック種です。
生まれてからまだ一週間も経っていないのに、鼻の穴からは煙がしょっちゅう噴射しています。
できるだけ早く返事をください。
ハリー、
ハリーはその手紙をヘドウィグにつけてくれぐれもジェームズかシリウスに渡すように言いつけた。
の考えでは、もしリリーやの手に渡ったら、きっと関るのはやめなさい、と返ってくるだろうということだったからだ。
次の週、大広間で昼食をとっているとジェームズとシリウスから返事が返ってきた。
そのころにはも大分元に戻っていた。
「ハリー、何て書いてあるの?」
は読むように急かした。
親愛なるハリー、
知らせてくれてありがとう。
きっとこの手紙がつく頃にはドラゴンはもっと成長していると思うので、一番確実な方法をアドバイスしようと思う。
ドラゴンの扱いを熟知している者は現在、ホグワーツにはいないだろう。
熟知しているのはドラゴンの研究者たちや、育成者たちだ。
もし、君たちの友人の知り合いにそのような人がいるならば、彼らに相談を持ちかけるのが一番いい。
他の方法はあまり進めないし、危険も大きい。
もし、本当に誰にも知られたくないのならば、そのドラゴンを消す――つまり殺す――しかない。
しかし、ドラゴンは君たちが思っているよりはるかに強く、気絶させるのも一苦労だ。
これはどうしても、という場合だけにして欲しい。
また、殺すのがイヤであれば、ダンブルドアに相談するしか道はない。
幸運を祈る。
ジェームズ、シリウスより
「殺すだなんて出来ないわよ」
真っ先にハーマイオニーが反応した。
「それにドラゴンを気絶させること自体難しいって書いてあるじゃない」
が声を潜めていった。
すると、ハリーが突然大声を出した。
「そんなことしなくても平気じゃないか!チャーリーだよ!」
「そっか!確かルーマニアでドラゴンの研究をしているのよね?」
も思い出したようにロンを見た。
「急いでハグリッドに会いに行かなきゃ」
ロンとハーマイオニーは半ば、ハリーとに引っ張られるような形で、ハグリッドの小屋に行った。
ハグリッドはドラゴンの世話を見るのに忙しく、家畜の世話の仕事もろくにしていなかった。
ブランディーの空き瓶や鶏の羽がそこら中の床に散らかっていた。
「この子をノーバートと呼ぶことにしたんだ」
ドラゴンを見るハグリッドの目は潤んでいる。
「もう俺がはっきり分かるらしいよ。見ててごらん。ノーバートや、ノーバート!ママちゃんはどこ?」
「狂ってるぜ」
ロンがぼそりと呟いた。
「ハグリッド、僕たち考えたんだけど、このままこのドラゴンをこの小屋においておくわけにはいかないでしょう?だから、ロンのお兄さん、チャーリーにノーバートを預ければいいと思うんだ。ハグリッド、どうだい?」
四人はハグリッドを見つめた。
しばらくの沈黙の後、ハグリッドはしぶしぶチャーリーに頼みたいというフクロウ便を出すことに同意してくれた。
なんだかんだ言って、ジェームズとシリウスは頼りになります。(^^)v