クリスマス休暇が終わる朝、はシリウスとリリーに駅まで送ってもらった。
ジェームズとは仕事だった。
「それじゃあ、気を付けて。くれぐれもジェームズやシリウスみたいに無意味に魔法を他人にかけちゃ駄目よ」
リリーはを抱き締めた。
「ハリーによろしくな。さあ、汽車が出る、急ぎなさい」
シリウスは名残惜しそうにを抱き締めているリリーとを離し、汽車へと急かした。
「元気でね!」
汽車に向かって走るに、リリーは声をかけた。
はその返事として、片手を挙げた。
そして、が汽車に乗ると、直ぐに動きだした。
「ハーマイオニーはどこかな」
は一つ一つコンパートメントを覗いていった。
すると、数個目のコンパートメントを通り過ぎたとき、後ろから声をかけられた。
「」
ドラコ・マルフォイだった。
彼は我もの顔でクラッブとゴイルを引き連れ、の前に立った。
「何か用?」
はそっけなく言った。
「用だから引き留めたんだ。・・・・・今までのことを謝りたい。だから、友達になれないか?」
少し命令口調なのはマルフォイのプライドが高いせいなのか。
は眉をひそめて、マルフォイを見た。
「今さらそんなことを言わないでよ」
とマルフォイは睨みあった。
折れたのはマルフォイの方だった。
「どうすればいい」
「どうすればって・・・・・何が」
はどこまでもそっけなかった。
「だから――」
「私、あなたにされたこと、絶対忘れない。放っておいて」
の目には怒りの感情が伺えた。
そして、はきびすを返すと、その場を立ち去り、ハーマイオニーの姿を探し始めた。
「ハーマイオニー、どこに乗ったんだろう?」
なかなかハーマイオニーがいるコンパートメントに行き着けなくて、は焦っていた。
「ねえ!」
すると、また後ろから声をかけられた。
振り向くと、コンパートメントから知っている顔が出ていた。
「セドリック!」
この顔こそ、が密かに見たいと思っていたものだった。
「やあ、。久しぶりだね。もしかして一人なのかい?なら、このコンパートメントに入らない?」
どうやらハーマイオニーを探す姿が、空いているコンパートメントを探しているように見えたらしい。
は一瞬、嬉しそうな顔をした――が、すぐにその笑顔は消えた。
「ううん、私、一人じゃないわ。友達を探してるの。だから、本当に残念だけど、ここにはいられないの」
が本当に残念そうな顔なので、セドリックは声をかけたことに少々後悔した。
「気にしないで、。そうだ、クリスマス休暇は楽しかったかい?」
はそう聞かれ、クリスマスプレゼントのことを思い出した。
「ええ、楽しかった。あ、あと・・・・・ク、クリスマスプレゼント――ありがとう」
どもりながらも、きちんと伝えられたことに、はある種の達成感を覚えた。
「あ、うん、どういたしまして。喜んでくれたみたいで嬉しいよ」
セドリックはにっこり笑った。
「君の休暇のこと、聞きたいけど、友達を探さないとね。またホグワーツで会おう」
はセドリックが自分のコンパートメントに戻るのを見ながら、自分もクルリと向きを変えて、またハーマイオニー探しに戻った。
その足取りはセドリックのお陰で軽やかで、今にも踊り出しそうだった。
やっとハーマイオニーを見つけたそのコンパートメントは最高尾から5番目だった。
「ハーマイオニー、探したよ」
が探すのに疲れ、向かい側の席に座るのを見ながら、ハーマイオニーはケロリとして言った。
「でも良いじゃない。良い運動になったでしょう?」
にとっては良い運動、と言うより、良い挨拶回り、と言ったところだろうか。
「で、ニコラス・フラメルについて、何かわかったの?」
ハーマイオニーは行きなり核心に迫った会話にした。
「わからなかった」
それを聞くと、ハーマイオニーの顔がたちまち鬼のような顔になったので、は慌てて付け足した。
「ちゃんと調べようと思ったわ。だけど、家には四人のうち、必ず一人は居るのよ。だから、あんまり調べられなかったの」
「まあ――それなら――仕方ないわね」
ハーマイオニーの態度は急変した。
「ハーマイオニーは何か収穫あったの?」
が聞いた。
「いいえ、残念ながら・・・・・ママもパパも知らないし、適当な本をあさったんだけど、見付からなかったわ。あとはあの二人が探し当てた可能性にかけるしかないわね」
そう良いながらもその可能性は低いと思う二人だった。
そして、案の定探していなかった。
二人が学校に着き、グリフィンドール塔に行くと、ハリーとロンが出迎えた。
「パパとママ、何か言ってた?」
ハリーはと一緒に暖炉前に座った。
ハーマイオニーは荷物を置きに行ったし、ロンはやれやれとばかりに図書館から借りてきた本を開いた――もちろん、ニコラス・フラメルを探すためだ。
「いいえ、特には・・・・・ただ、リリーとママは、私たちが危険なことに首を突っ込みすぎだと怒っていたわ。パパたちは楽しんでいたようだけど。ハリーたちの方は?ニコラス・フラメルは見付かった?」
がそう言うと、ハリーは声をひそめて言った。
「きっとハーマイオニーにはロンが説明すると思うけど――僕、クリスマスプレゼントに透明マントを父さんから貰ったんだ。だから、一人で夜、寮を抜け出して、出歩いたんだ。それで、いろいろ経緯があったんだけど、間違えて、変な部屋に入ったら、鏡が置いてあったんだ。覗いてみたら、僕の理想の姿が写ってた。次の日、ロンと一緒に行ったら、ロンは僕と別のものが写ってた。それでその次の日も僕だけで、その鏡のところに行ったんだ――ここからはだけに話すんだけど――そうしたらダンブルドアがいて、もう探すなって言われた。あの鏡は"みぞの鏡"って言ってその人の一番強い望みを見せるんだって・・・・・」
ハリーは話し終えると黙りこんだ。
は一生懸命ハリーの話を理解しようとしたが、ハリーの話は言葉不足で、あまりにはわからなかった。
しかし、ハリーの顔に薄い影があるのに気付き、はあえて何も言わなかった。
ドラコとセドリックとハリーと、男の子ばかり出てきています;;