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Disagreeable person 不愉快な人
はそのマルフォイの不敵な笑みが気になったが、そんなことを気にする余裕もなくなった。
「ごらんよ!」
マルフォイが何かを拾いあげた。
「ロングボトムのばあさんが送ってきたバカ玉だ」
マルフォイが高々と差し上げると、「思いだし玉」はキラキラと陽に輝いた。
「マルフォイ、こっちへ渡してもらおう」
ハリーの静かな声に、はやしたてていたスリザリン寮生もそれに反論していたグリフィンドール寮生もおしゃべりを止め、二人に注目した。 マルフォイはニヤリと笑った。
「それじゃ、ロングボトムが後で取りにこられるところに置いておくよ。そうだな――木の上なんてどうだい?」
「こっちに渡せったら!」
ハリーは強い口調で言った。 マルフォイはヒラリと箒に乗り、飛び上がった。 はマルフォイの飛び方に驚いた――上手かった。 マルフォイは樫の木の梢と同じ高さまで舞い上がり、そこに浮いたまま呼び掛けた。
「ここまで取りにこいよ、ポッター」
の肩に置いていた手を退かし、ハリーは箒を掴んだ。
「ダメ!フーチ先生がおっしゃったでしょう、動いちゃいけないって。私たちみんなが迷惑するのよ!もなんとか言って!」
ハーマイオニーが叫んだが、ハリーは無視した。 はハーマイオニーに後押しされ、ハリーに言った。
「もし、あなたが退学になったら私がパパたちに言ってマルフォイも退学にしてやるわ。だから――気を付けて・・・・・」
ハリーはありがとう、と言うとマルフォイよりも上手に空に舞い上がった。 の後ろでは女子生がキャーキャー言う声や、ロンが感心して歓声をあげる声が聞こえた。 そんな中、ハーマイオニーがの隣にきて言った。
「なんでハリーを飛ばせたりしたの!私たちが迷惑するわ!」
は少し罪悪感を感じたが、自分の意見をハーマイオニーに伝えた。
「ハリーならきっと怒られないし、退学にもならない・・・・・そんな気がしたの」
ハーマイオニーはジロリとを見ると、仕方なさそうに溜め息をついた。
「ずっとハリーと一緒だったあなたが言うんだったらそうなのかもしれないわね」
そうこうしているうちに、どうやら結果がついたらしい。 グリフィンドール寮生がハリーの周りに集まっていた。 また、スリザリンの方に着地したマルフォイが苦々しげにハリーの名前を言うのが聞こえた。 もハーマイオニーも走ってハリーの周りに集まった。
「素晴らしいわ!あんな高いところからダイビングして玉を掴むなんて!」
誰かがそう叫び、はようやく状況が飲み込めた。
「ハリー、怪我は?」
は揉みくちゃにされているハリーにそっと声をかけた。
「ないよ。大丈夫さ」
ハリーはとても嬉しそうだ。 しかし、そんな幸福も長くは続かなかった。
「
ハリー・ポッター・・・・・!
」
マクゴナガル先生が走ってきた。
「
まさか
――こんなことはホグワーツで一度も・・・・・」
マクゴナガル先生はショックで言葉も出なかった。 メガネが激しく光っている。
「・・・・・よくもまあ、そんな大それたことを・・・首の骨を折ったかもしれないのに――」
「先生、ハリーが悪いんじゃないんです」
「おだまりなさい。ミス・パチル」
「でも、マルフォイが・・・・・」
「くどいですよ、ミスター・ウィーズリー。ポッター、さあ、一緒にいらっしゃい」
マクゴナガル先生は大股に城に向かって歩き出した。 ハリーはそっとの手にネビルの「思いだし玉」を握らせ、麻痺したようにトボトボとついていった。
「馬鹿なポッター!あいつ二週間もたたないで退学か」
二人の姿が見えなくなると、マルフォイが大声でハリーをあざ笑った。 まわりのスリザリン寮生もそれに習った。 はマルフォイの顔をジロリと睨んだ。 しかし、当のマルフォイは全く気付く様子がなかった。 そのとき、マダム・フーチが医務室から戻ってきた。
「先生、ハリー・ポッターは・・・・・」
グリフィンドール寮生が口々に聞いた。
「あなたたちには関係のないことです。さあ、授業を再開いたします」
マダム・フーチはグリフィンドール寮生の口を黙らせ、授業を再開した。
授業が終わり、グリフィンドール寮生もスリザリン寮生もクタクタになりながら寮に向かった。
「、一体何処に行くの?」
はハーマイオニーと途中まで一緒だったが、ふとハリーから預かった「思いだし玉」を思いだし、クルリと方向を変えた。
「先に戻ってて」
ハーマイオニーにそう言うと、階段をかけ降りて医務室に向かった。
「先生、ネビル・ロングボトムに面会出来ますか?」
医務室ではマダム・ポンフリーが忙しそうにしていた。
「ええ、いいですとも。但し、五分だけです。患者は気分がまだ本調子ではありませんので」
マダム・ポンフリーはそう言ってネビルのベッドに案内してくれた。
「ネビル、気分はどう?」
が優しく聞いた。
「まだ足が地面についていないような気がするよ」
「はい、これ。『思いだし玉』。ハリーから預かったの。あなたに渡しておいてって」
がネビルに差し出した手の中には白い煙のままの玉があった。 どうやらは何も忘れていないらしい。
「ありがとう、。助けてくれた上に、これまで届けてくれるなんて・・・・・あのさ、僕、まだ誰にも言ってないけど、パパとママは聖マンゴ魔法疾患傷害病院にいるんだ。ずっと入院してる。例のあの人の仲間にやられたんだ。――僕、ブラック家からは死喰い人がでてるからがグリフィンドールに入ったのは何かの間違えだと思ったんだ。だけど、違った。君はとっても優しかった――」
まだ何かを言い続けようとしたネビルの口は残念ながらマダム・ポンフリーの登場によって塞がれてしまった。
「さあ、もう時間です!出ていきなさい」
は医務室を出ると一人、深くネビルの言った言葉を考えていたので、前から歩いてくる人がいるなんて思いもしなかった。
「ブラック!前を見て歩け」
スネイプは今日も素晴らしく不機嫌だった。
「すみません、先生」
は素直に謝った反面、朝来た手紙に書いてあったことが本当なのかと疑ってしまった――スネイプは本当にママの事が好きなのかしら。 その考えが表情に出ていたのか、スネイプが不愉快そうに言った。
「ブラック家は目上に対するマナーもわからんのか。情けない」
そう言い捨てると、スネイプはの隣をスタスタと歩いて行った。
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スネイプ先生は素敵に不機嫌です。笑