無事に制服やローブを購入した二人は次に購入する予定の杖を買いに行くため、オリバンダーの店に向かった。
店に入ると、あまり人気がなかった。
「いらっしゃいませ」
オリバンダー老人が温かく迎えた。
「こんにちは」
二人とも礼儀正しく挨拶を返した。
「おお、そうじゃとも、そうじゃとも。まもなくお目にかかれると思っていましたよ、ハリー・ポッターさん、・ブラックさん。さて、早速、拝見しましょうか」
老人は銀色の目盛りの入った長い巻尺をポケットから取り出した。
「どちらからしましょうか」
老人はハリーとを見比べた。
「じゃあ、彼女からお願いします」
マダムマルキンの店でのお礼のつもりなのか、ハリーはを優先させた。
「では、ブラックさん、どちらが杖腕ですかな?」
「右です」
はそう言うと、腕を伸ばした。
すると老人がそれに合わせて、肩から指先、手首から肘、肩から床、膝から脇の下、頭の周り、と寸法を採った。
「さて、では杖を選びましょう。まずは、これから・・・不死鳥の尾羽とドラゴンの心臓、30cm」
老人から受取り、はさっそく振ってみた。
すると不思議なことに部屋の中に光が満ち溢れた。
「ふむ。では、ポッターさん、次は貴方の番ですな」
老人はを選んだ杖を横に退け、ハリーに一つの杖を差し出した。
「きっとこの杖は貴方を選ぶだろう、この兄弟杖を・・・あの人を退かせた貴方なら」
老人はジッとハリーを見つめた。
ハリーはなんだか照れくさそうに杖を振り上げた。
すると、杖はハリーを選んだ証拠に黄金の光を放った。
「決まりですな」
二人は各々の財布から金貨を出して、店を後にした。
「杖も制服も買ったし、漏れ鍋に行こう」
ハリーはの荷物を少し手伝いながら、リードした。
「うん」
も買い物が楽しかったのか、元気よく頷いた。
二人がそのまま歩いていると、前からはたくさんの親子連れが歩いてきた。
「みんな、入学するんだね」
が今更ながら、もの珍しそうに言った。
そうだね、とハリーも軽く頷いた。
漏れ鍋に付くともうお昼過ぎだからか、人がまばらだった。
「あそこ!」
はめざとく自分の親の顔を見つけた。
何故か、シリウスもジェームズもいる。
「パパ!来ないんじゃなかったの!?」
が相当驚いたような顔で言った。
「うん、そのつもりだったんだけど、のことが心配になったから、かな」
ジェームズがシリウス側の椅子を退き、を自分とシリウスの間に座らせた。
「買い物は?どうだったの」
リリーもハリーを自分との間に座らせた、お茶を勧めた。
「何にもなかったよ。杖はあの人と兄弟杖だって・・・」
それを聞いた四人の大人は顔を少し青ざめた。
しばらくの沈黙の後、が気遣うように言った。
「お昼を食べましょう。それから、この子に誕生日プレゼントを買って・・・」
しかし、不運にも食事中、またアクシデントが起こった。
「、他の新入生とは会わなかったのか?」
シリウスはのお皿にサラダを加えた。
「会ったわ、とっても嫌な子。純潔主義者の男の子だった。おばあちゃんやクリーチャーと同じくらい嫌な人よ」
そして、の悪口は止まるころを知らず、最終的にはにたしなめられた。
「さあ、ペットを買いに行こうか」
ジェームズが食べ終りを見計らって、立ち上がった。
「賛成!」
が嬉しそうに言った。
そして、漏れ鍋を出て、一同は店に入っていった。
「真っ白!」
は入ったところのすぐそばにいた一羽のフクロウを眺めた。
「綺麗だね」
ハリーもと並んでそのフクロウをみた。
「私、奥の方みてくるね」
はハリーに気を使ったのか、さっさと店の奥に行ってしまった。
が奥に行くと母親と父親が仲良く話していた。
そこで、はこっそり近付き、シリウスの驚いた顔を見ようとした。
しかし、予想していたのか、の威かしに、微笑を洩らした。
「びっくりしないの?」
が不思議そうに聞いた。
「しないさ。は可愛いから驚く気になれないよ」
シリウスの茶目っ気さにがクスクス笑った。
「つまんなーい」
「、ペットは決まった?」
ふと真面目な声にシリウスは戻った。
「まだよ」
「早く決めないと買わないからね」
が呑気に遊んでいるに言った。
「うん、わかってる」
は余裕たっぷりに頷いた。
その様子を見て、シリウスは笑った。
そして、十分後、ハリーとはそれぞれの親の元へ集まった。
「ハリーは白フクロウね」
リリーがフクロウを品定めするように言った。
「、あなた、ペットは要らないの?」
その傍らで、手に何も持っていないに驚き、が声を上げた。
「うん。きっと途中で愛着心無くすから」
へー、とシリウスは大して関心もないようだ。
もがいらないというので、あまり無理いじりしないことにしたらしい。
六人は白フクロウ一匹買って、店を出た。
パパとママは放任主義かもしれません・・・・・