Swear blind 誓い
終了のブザーが鳴り、生徒たちは一斉にペンを机に置いた。
「終わったあ!」
そして、はロンと一緒に手を取り合って、試験終了を祝った。
「さあ、大広間に行こうぜ。腹ペコだ」
ロンがとハーマイオニーに言った。
三人は連れだって――特に、ロンとは朝よりも軽やかな足取りで――大広間に向かった。
「で、なにかわかったの、ハーマイオニー。リータ・スキーターのこと」
はふと思い出し、ハーマイオニーの隣に並びながら聞いた。
「えぇ、一応ね。後は証拠だけよ。でも、まだ言えないわ」
ケチ、とが呟いても、ハーマイオニーは素知らぬ顔だ。
「まあ、あとはハリーの試合さえ終われば、今年度も終わりだ」
ロンが横から口を挟み、ハーマイオニーが少し不安そうな顔をした。
「あぁ、大丈夫かしら」
「成るようになるよ」
はそう言うと、大広間に入り、グリフィンドールのテーブルに着いた。ふとハッフルパフのテーブルを見ると、エイモス・ディゴリーとセドリックと奥さんが三人で仲良く談笑している姿が目に入った。
「話でもしてきたらいいんじゃないかしら、
ハーマイオニーがの目線に気付き、そう言った。
「べつに。たまたま目に入っただけだもん」
は頑固にそう言い張った。
「ママ――ビル!」
そのとき、ロンの驚く声が聞こえた。
「こんなところで、どうしたの?」
「ハリーの最後の競技を見にきたのよ」
が顔を上げると、ウィーズリーおばさんの楽しそうな顔が目に入った。その隣にはビルがいて、そして、その後ろにハリーとリリー、そしてジェームズがいた。
「リリー!」
は立ち上がり、リリーに抱きついた。
「リリー、会いたかったよ!元気だった?」
がギュッと抱きつくと、リリーはクスクスと笑いながら答えた。
「まったく、あなたって子は。そういう台詞は普通、私が言うものじゃないかしら?――元気だったわよ。、あなたはどうなの?」
「元気だったよ、リリー!」
はにっこり笑ってリリーを見た。
「テストはどうだったんだい、
横からジェームズが顔を覗かせ、にっこりと笑った。
「あー・・・・・大丈夫だよ。ね、ロン」
がロンにふると、ウィーズリーおばさんもロンに注目した。
「うん。小鬼の反逆者の名前は全部思い出せなかったから、いくつかでっち上げたけど、問題がないよ」
ウィーズリーおばさんの厳しい顔をよそに、ロンはミートパイを皿に取った。
「みんなおんなじような名前だから。ボロ鬚のボドロッドとか、薄汚いウルグだとかさ。難しくなかったよ。な、
「そうそう!」
は楽しそうに頷いた。
「だいたい、あんな名前を全部覚えているのはハーマイオニーくらいしかいないよ!」
がそう言うと、ウィーズリーおばさんの表情が急に冷たくなった。はとっさにまずいと思い、ハリーに助けを求めた。
「ウィーズリーおばさん、リータ・スキーターが『週間魔女』に書いたあのバカな記事を本気にしたりしてませんよね?だってハーマイオニーは僕のガールフレンドじゃないもの」
「あら!」おばさんが言った。「ええ――もちろん本気にしてませんよ!」
しかし、そのあとは、おばさんのハーマイオニーに対する態度がずっと温かくなった。
昼食も半ばに過ぎた頃、フレッド、ジョージ、ジニーもやってきて、たちの隣に座った。そして、ウィーズリーおばさんやビルの関心がロンたちに向いている間に、はジェームズに聞いた。
「スナッフルとママとリーマスはどうしてるの?今日はハリーの応援に来ないの?」
「スナッフルは流石にここには来れないだろう?」
ジェームズが笑った。
とリーマスは家で君たちを待ってるよ。リーマスはやはりまだここに来るには少し抵抗があるみたいだし、はスナッフルが身動きとれない状態で自分だけ君に会いに行くのは不公平だから、と言って僕らに任せたんだ――で、代わりにモーリーたちに声をかけたってわけさ」
ふうん、とは少し不満そうな声を出した。ママにも会いたかったのに――。
「ママは元気?」
「元気だよ」
ジェームズが言った。
「ただ、君たちが無事に帰ってくるようにと心配していたけどね」
そして、ジェームズはふと真面目な顔になるとを見た。はその真剣な眼差しから目をそらせずに、じっとジェームズの話に耳を傾けた。
「ハリーや君を罠に陥れようとした犯人が動くとしたら、もう今日しかない。、いいかい?気をつけるんだよ。僕から離れないで」
はゆっくりと頷くと、ジェームズの手が頭に置かれるのを感じた。
「良い子だ、。――君は去年言ったね、『危険な目に合ったら、また助けてね』と。約束は守るよ、必ずね」
は何と言ってよいのかわからず、じっとジェームズの襟元を見続けた。
「――ところで
なに、とは首をかしげた。
「なんだか少し見ないうちに、ずいぶん綺麗になったんじゃないかい?」
ジェームズはそう言いながらの頬を突いた。
「僕ももう少し若かったらなあ・・・・・」
「やめてよ、もう!」
ジェームズが本気ともとれるような口調なので、はジロッと彼をにらんだ。
「リリーに言いつけるよ!」
「あら、私が何かしら?」
テーブルの向い側から、そう声が聞こえ、ジェームズが固まった。そしてリリーは美しく微笑むと、ジェームズに言った。
「ジェームズ、今後一生に触れられないようにしてもいいのよ?」
「イエ、遠慮しておきます・・・・・」
そして午後はもジェームズとリリーとハリーにくっついて、城の周りをブラブラ散歩して過ごした。ウィーズリーおばさんとビルはロンやジニー、フレッド、ジョージと一緒に過ごしたようだった。
日が陰り、そろそろ晩餐会に広間に戻ろうとすると、前からセドリックとディゴリー氏とその奥さんが楽しそうに歩いてきてちょうど廊下で鉢合わせの形になった。するとディゴリー氏はなんだか不機嫌そうにハリーとジェームズを睨み、そしてを品定めするように見た。
「エイモス、僕らは今から大広間に行くところなんだが、一緒にどうかい?」
ジェームズはいつもの調子でそう話しかけた。
ディゴリー氏はなんだか苦虫を噛み潰したような顔で、頷いた。まるでスネイプのようだ。
「そう、それはいい!それじゃあ行こうか」
ジェームズは楽しそうにディゴリー氏引っ張って行った。その後ろからリリーとハリー、ディゴリー氏の奥さんが続いた。
「どうなってるの?」
はセドリックと二人、取り残され、キョトンとした顔で言った。
「いや、朝、父さんがリータ・スキーターの三大魔法学校対抗試合の記事以来、ずっと腹を立てて――ほら、ハリーがホグワーツでただ一人の代表選手みたいな書き方をしたから――だから、父さんがハリーに怒ったんだ。そしたらハリーの父さんが僕の父さんを止めてくれて・・・・・父さんもちょっとやり過ぎたと思ってるみたいだ」
確かに、ディゴリー氏が怒るのもやむを得ないことだとは思った。
「それじゃあ、私たちも行きましょうか」
はにこっと笑うと、セドリックを見上げた。
「晩餐会に遅れちゃう」
「そう、だね」
セドリックは少し深呼吸をすると、改まってを見た。
、君に言いたいことがあるんだ」
はもしかしたら、と何かを期待する自分に気付いた。
「最後の課題が終わったら、君に言いたいことがある。そのときは聞いてくれるかい?」
「それって、私、期待していいってこと?」
は頬を赤く染め、セドリックを見た。
「たぶん、君も知っていると思うけど、僕、別れたんだ」
それがチョウ・チャンのことを言っているのだと、はすぐに分かった。もうこれ以上、言うことは何もない。はセドリックの目を見て、頷いた。
「待ってる。最後の課題が終わるのを。そのときに聞かせて」
「約束するよ、
セドリックはにっこりと笑い、父親の後を追った。もハリーの後を追い、グリフィンドールのテーブルについた。
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セドリックと久々の絡み。