According to Ron ロンによると
はハリーと一緒に一番後ろの席を選んだが、それでもクラス中がチラリチラリとハリーを盗みみていた。の隣でハリーがイライラしているのが分かった。先生がみんなの目の前で、目の周りにメガネと同じ形の縞があるトラ猫に変身したのを見てもいなかった。
「まったく、今日はみんなどうしたんですか?」
マクゴナガル先生はポンという軽い音とともに元の姿に戻るなり、クラス中を見回した。
「別にかまいませんが、私の変身がクラスの拍手を浴びなかったのはこれが初めてです」
みんながいっせいにハリーの方を振り向いたが、誰もしゃべらない。するとハーマイオニーが手を挙げた。
「先生、私たち、『占い学』の最初のクラスを受けてきたばかりなんです。お茶の葉を読んで、それで――」
「ああ、そういうことですか」マクゴナガル先生は顔をしかめた。
「ミス・グレンジャー、それ以上は言わなくて結構です。今年はいったい誰が死ぬことになったのですか?」
みんながいっせいに先生を見つめた。
「僕です」しばらくしてハリーが答えた。
「わかりました」マクゴナガル先生はキラリと光る目でハリーをしっかりと見た。
「では、ポッター、答えておきましょう。『占い学』のシビル・トレローニーは本校着任以来毎年誰かに死の予言をしているのです。しかし、その生徒が、今まで死んだという報告は一切ありません。死の前兆を予言するのは、新しいクラスを迎えるときのあの方のお気に入りの流儀です。私は同僚の悪口を言いたくはありません。そうでなければ――」
マクゴナガル先生はここで言葉を一瞬切った。みんなは先生の鼻の穴が大きく膨らむのを見た。それから先生は少し落ち着きを取り戻して話を続けた。
「『占い学』というのは魔法界でも、一番不正確な分野の一つです。私があの分野に関しては忍耐強くないということを、みなさんに隠すつもりはありません。真の預言者はめったにいません。そしてトレローニー先生は・・・・・」
マクゴナガルは一つ咳払いをした。
「私の見たところポッター、あなたは健康体そのものです。ですから今日の宿題を免除するという事はいたしませんからそのつもりで。ただし、もし、あなたが死んだなら提出しなくて結構です」
の隣にいるハーマイオニーがプッと噴出した。もハリーと顔を見合わせて、頷いてみせた。
「ほら、大丈夫でしょ?」
ハリーは少し安心したのか、笑顔になった。
しかし、全員が安心したわけではない。ロンはまだ心配そうな表情だったし、ラベンダーは「でも、ネビルのカップはどうなったの?」と囁いた。
変身術の授業が終わり、四人はドヤドヤと昼食に向かう生徒たちにまじって大広間に移動した。
「ロン、元気出して」
ハーマイオニーがシチューの大皿をロンのほうに押しながら言った。
「マクゴナガル先生のおっしゃったこと、聞いたでしょう?」
ロンはシチューを自分の小皿に取り分け、フォークを手にしたが、口をつけなかった。
「ハリー」
ロンが低い深刻な声で呼びかけた。
「君、どこかで大きな黒い犬を見かけたりしなかったよね?」
「ウン、見たよ」ハリーが答えた。「ダーズリーのところから逃げたあの夜、見たよ」
ロンがショックを受けて、フォークを落とした。
「野良犬じゃないかしら」ハーマイオニーは落ち着き払っていた。
気がふれたのか、とでも言いたげな目つきでロンはハーマイオニーを見た。
「ハーマイオニー、ハリーが死神犬を見たなら、それは――それはよくないよ。僕の――僕のビリウスおじさんがあれを見たんだ。そしたら――そしたら二十四時間後に死んじゃった!」
「でも、ハリーが見た黒い犬が本当に死神犬か、なんてわからないじゃない?」はねぇ?とハリーに同意を求めた。
「それに、黒い犬ならホグワーツにもいるわ」
その言葉に、ハーマイオニーが首をかしげた。
「ホグワーツに犬はハグリッドの犬しかいないはずよ」
はハーマイオニーの言葉にムキになって言った。
「でも、私、見たわ!禁じられた森のすぐ手間で。鹿も一緒にいたもん。夏休み、学校にいたときに確かに見たわ。この手で二匹を撫でたんだもの!」
ロンの口があんぐり開いた。を恐れたように見つめている。
「死神犬を撫でただって?」
「わかってるわよ、。あなたが見たってちゃんと信じてるから――死神犬じゃないかもしれないでしょ?」ハーマイオニーが冷たく言った。
「君、今、言ったじゃないか!ホグワーツにはハグリッドの犬以外いないって。が触ったのは間違いなく死神犬だ!、君、死んじゃうよ!」
ロンの顔は青ざめていた。しかし、はロンの言葉に対して驚いていなかった。
「新しくホグワーツに住み着いた犬かもしれないわよ。ね?」
「そんなことがあるわけないじゃないか!禁じられた森だよ?犬が生きていられるわけがない!どうして平然としてられるんだ?死ぬんだぜ?」ロンが体を震わせた。
「・・・・・つまりは、そういう事なんじゃないかしら」ハーマイオニーが落ち着き払って言った。
「あのね、死神犬を見たことが怖くて死んじゃうのよ。死神犬は不吉の予兆じゃなくて、死の原因だわ!ハリーももここに座って食事してる。だって、二人はばかじゃないもの。あれを見ても、そうね、つまり『それじゃあもう死んだも同然だ』なんてこれっぽっちも思わなかったからだわ」
ロンは言い返そうと口をパクパクさせたが、言葉が出なかった。ハーマイオニーは鞄を開けて、新しい学科、「数占い」の教科書を取り出し、ジュースの入った水差しに立てかけた。
「『占い学』って、とってもいい加減だと思うわ」読みたいページを探しながらハーマイオニーが言った。
「言わせていただくなら、あてずっぽうが多すぎる」
「あのカップの中の死神犬は、全然いい加減なんかじゃなかった!」ロンはカッカしていた。
「あなたにはそれが死神犬に見えたの?」ハーマイオニーは教科書から視線を外さずに冷静に答えた。
「トレローニー先生は君にはまともなオーラが無いって言ってたじゃないか!君ったら、たった一つでも自分が一つでもクズに見える事が気に入らないんだ!」
これはハーマイオニーの弱みを突いた。ハーマイオニーは数占いの教科書でテーブルをバーンと叩いた。あまりの勢いに、肉やらにんじんやらがそこら中に飛び散った。
「『占い学』で優秀だっていう事が、お茶の葉の塊に死の予兆を読むフリをすることなんだったら、私、この学科といつまでもお付き合いできる自信が無いわ!あの授業は『数占い』のクラスに比べたら、まったくのクズよ!」
ハーマイオニーはカバンを引っつかみ、つんつんしながら去っていった。
ロンはその後姿にしかめっ面をした。
「ロン、言い過ぎよ。実際、ハリーも私も、百歩譲って死神犬を見たとしても死んでいないんだし。見てから一ヶ月くらいたってるわ。それでもまだ生きてるってことは、大丈夫なのよ、きっと」
ロンは痛いところを指摘されて、なんと返したらいいか分からないようだった。
「ねぇ、ハリー。でも、ハーマイオニーは『数占い』のクラスには出てないわよね?」
先ほどから交わされるロンとハーマイオニーの熱いバトルに、ポカンとしたハリーにが聞いた。
「うん・・・・・どうなってるんだろう」ハリーも首をかしげた。
ハリーもも死神犬を気にする様子はこれっぽっちもなかった。
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ハーマイオニーの謎は深まるばかり。