とうとう恋情なるものを自覚してしまいました。
「あの、好きです」
ああ、嫌な場面に遭遇してしまったとは頭をかかえた。は素早く隠れると二人がいなくなるのを待った。セドリックがレイブンクローの子に告白されている。
はなんとなく腹が立った。
「ごめん、気持ちはうれしいけど好きな人がいるんだ」
セドリックのとても残念そうな声が聞こえた。女の子の鼻をすする音が聞こえる。はセドリックの発言に耳を澄ました。
「あ、相手は誰?」女の子はしゃくり上げながらもはっきりと言った。も知りたくて身を乗り出した。
「言えないんだ、本当に、ごめん」
セドリックがそう言うと、女の子がこちらに走り去ってきた。運よく、は見つからなかった。
「ハーマイオニー!」
は少しもやもやした気持ちを抱えながらグリフィンドールの談話室に戻ってきた。暖炉の前で宿題をしているハーマイオニーを見つけると、は真っ先に近寄った。
「助けて」
はもやもやした気持ちを晴らしたくて、ハーマイオニーに泣き付いた。
「一体、どうしたの?」
ハーマイオニーが怪訝そうな顔をしてを見た。今の出来事を話して良いのかわからなかったが、明らかに今の出来事が原因なので、はポツリポツリとハーマイオニーに話して聞かせた。
「セドリックの好きな人が気になるのね」ハーマイオニーは話が終わるとそう言った。
「うん、多分」
が自信なさそうに答えると、ハーマイオニーは「そうなの!」と力強く頷いた。
「まあ、気になるなら直接聞いたら?」
ハーマイオニーがそっけなく言って、さっさと宿題に戻ってしまった。
「無理に決まってるでしょ!」はぷいと寝室にこもった。

二月に入ると寒さはいっそう厳しいものとなってくる。も寒さには弱くていつもマフラー、手袋を片身離さず持っていた。しかし、もおっちょこちょいなところがあり、朝、グリフィンドール塔を出るとき忘れていたため、その日一日、寒々しい格好で過ごす羽目になった。
「ハクション!」
「大丈夫?
クラスに向かう途中、は盛大なくしゃみをした。隣を歩いていたハリーがマフラーを貸そうとしてくれたが、は断った。
「でも、風邪ひくよ」
「大丈夫よ。バカは風邪ひかないもの」心配そうなハリーに、はニッコリ笑ってみせた。
やっと手袋、マフラー無しの一日の授業が終わり、は一人急いでグリフィンドール塔に戻ろうとしていた。
、風邪ひくよ」
そのとき、後ろから声をかけられた。はてっきりハリーだと思い、勢いよく振り返った。
「セドリック!」
は一気に自分の体温が上がるのを感じた。
「やあ、。風邪ひくよ」
セドリックはそう言っての首に自分のマフラーを巻いた。
「でも、セドリックこそ風邪ひくわ」
が自分の首に巻かれたセドリックのマフラーをとろうとすると、彼がそれを制した。
「大丈夫だよ、。僕は手袋してるから」
優しく微笑むセドリックに、もつられて笑顔になった。
「それより、ホグズミートに行ける日がもうすぐなの知ってる?」
ううん、とは首を振った。
「もし、予定がないなら一緒に行かない?」
セドリックの顔もほんのりと赤かったが、誘われたはもっと赤かった。
「わ、私でいいの?」が聞いた。セドリックはゆっくり頷くとを見つめた。
「じゃあ、あの、お願いします」
はペコリとお辞儀して、そのままダッシュでグリフィンドール塔に駆け込んだ。
「ハーマイオニー」
はハリーとロンの宿題を見ているハーマイオニーに勢いよく抱き着いた。
「あら、どうしたの?そのマフラー」
ハーマイオニーはいったんを自分から引きはがし、彼女の首に巻き付いているマフラーに目がくぎづけになった。
「セドリックに借りたの忘れてたわ!」はハーマイオニーに言われてやっと思い出したのか、慌てた様子でうろたえた。
「僕のは付けなかったくせに・・・・・」
ハリーの呟きはには届かなかった。
「へぇ、もやるな。まだ春は早いんじゃないか?」後ろからポンっと肩をたたかれ、振り返るとフレッドとジョージが笑っていた。
「そんなつもりじゃないわ」が言い返した。フレッドとジョージは肩をすくめてその場から立ち去った。

ホグズミート行きはバレンタイン前だった。はハリーたちの目を避けて、どうにか玄関ホールでセドリックと合流できた。
「ごめんなさい、セドリック。待たせたよね」
「大丈夫。僕も今来たところさ」
ホグズミートもバレンタインに向けてピンク一色だった。また、道にはカップルが溢れ、はちらりとセドリックを見た。彼は平気そうな顔をしている。
、手繋ごう」
どういう意図で言ったのかはわからなかったが、セドリックは微笑みながら手を差し出している。
「セドリックは、勘違いされてもいいの?」
「何を?」セドリックは少し不安げなを見た。
「二人だけだし、おまけに手まで繋いだら勘違いされるよ?――カップルだ、って」
「それが、僕の狙いだと知ったら君は怒るかい?」
セドリックのイタズラっぽい表情にはポカンと口をあけた。どんなに間抜けだっただろう。セドリックはクスクス笑っての手を取った。
「ま、待ってセドリック」が歩き出そうとするセドリックに言った。
「今のって、あの、そういう意味に取っていいのよね?」
真っ赤になって見つめてくるをセドリックは愛おしく思った。黙って微笑んでいると、どんどんが赤くなる。
「いいよ」
セドリックはそういってとの距離を縮めた。は怖いのか、緊張しているのか、身体にギュッと力をいれて固まっている。セドリックは優しくの頭を撫でて、包み込んだ。の鼓動が伝わってくる。は両手をどうしたらいいのかわからなくて、セドリックの腕を掴んだ。彼の暖かさが伝わってくる。
「好きだ、
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なんだかんだ言いながら、初のセド夢。
<update:2007.02.07>