Prank 悪戯
三月も半ば――ハーマイオニーは早くも試験勉強を始め、は中庭でハリーとロンと一緒に遊んでいた。
「僕、てっきりも勉強するのかと思ってたよ」
ロンが芝生の上にねっ転がった。
「私、そんな真面目人間に見える?」
はロンの顔を覗きこんだ。
「あー、見えないね」
はクスクスと笑った。
「そんなにはっきり言わないで。これでも繊細なんだから」
、冗談だろ?君が繊細だったら世界中の人々が繊細だよ」
ハリーが呆れた様子で口を挟んだ。
「失礼ねぇ!」
は頬をふくらませた。
ハリーとロンはそんなを見て笑っていた。
「そういえばね、エイプリルフールってあるじゃない?」
が突然話を変えた。
「それがどうかした?嘘つきたいの?」
ハリーはキョトンとした表情でを見た。
「違うわよ。ただ、その日がジョージとフレッドの誕生日だって聞いたから」
本当なの、とはロンに問いかけた。
「そうさ。だけど、本人たちは気づいてないんじゃないかな?」
ロンは肩をすくめてみせた。
「誕生日に何かあげたいの?」
ハリーがに問いかけた。
「んー・・・・・いつもお世話になってるし、あげようかなとは思ってるわ。それに、あの二人の驚いた顔、見たいと思わない?」
は悪戯っぽくハリーを見た。
ハリーとロンは顔を見合わせ、ニヤリと笑うとを見た。
ハリーもロンもの計画に手を貸すことにしたのだ。

四月一日前日。
良いタイミングでホグズミートに出かけられる日だった。
はシリウスとジェームズ、リーマスら、元祖悪戯仕掛け人を叫びの屋敷に呼び出した。
ハリーとは三人が着く前に屋敷に行くと、邪魔よけをかけ、三人の到着を待った。
ロンはハーマイオニーと一緒にたちの分まで買い物をしてくれる予定なので残念ながら二人とも来れなかった。
すると突然、ドアが独りでに開いた。
ハリーとは不審に思って足音を立てないように気を付けて、ドアの両側に立った。
暗がりの向こうから黒いローブの男が杖を構えて現れた。
それと同時にハリーとは武装解除の呪文を叫んでいた。
男の杖は宙を舞い、の手に収まった。
すると男の後ろから聞きなれた、懐かしい声が聞こえた。
「ハリー、、僕たちだよ、ジェームズだよ。えーっと・・・・・よかったらシリウスに杖を返してあげてくれないかな?」
がその声につられ、術をかけられた男の顔を見た――紛れもない、自分の父親だ。
「パパ!」
は急いでシリウスに杖を返した。
「シリウス、バカだね。だから止めておいた方が良いって言ったのに」
シリウスの後ろからまた違う声がして、その声の主はリーマスだった。
シリウス、ジェームズ、リーマスが屋敷の中に入っても、屋敷は十分の広さだった。
「パパ、ごめんね?」
はまだ少しむくれているシリウスの腕を揺すった。
「シリウス、機嫌直しなよ」
リーマスが苦笑しながらそういって、机と人数分のカップを出し、お茶を入れてくれた。
すると、シリウスははぁ、っと深く息を吐くと、の頭を撫でた。
「ずいぶんと他人に術をかけるのが上手くなったみたいだな」
そんなシリウスの顔を見て、は苦笑いするしかなかった。
「ハリーもだけどな」
ジェームズが人数分の椅子を出して、さっそく一人で座った。
そんなジェームズにつられたのか、ハリーもゆっくりと椅子を引き、ジェームズの隣に座った。
も隣おいでよ」
ジェームズはにそう声をかけると、自分の隣の椅子を引いてアピールした。
はチラリとシリウスを見て、シリウスの腕を引っ張った。
シリウスはヤレヤレとばかりにに半ば強引に引きずられながら、はジェームズとシリウスに挟まれて座った。
リーマスは残った席に。
「で、フレッドとジョージの驚いた顔を見たいんだって?」
ジェームズが紅茶に手をつけて言った。
「んー。はっきり言って至難の技だね」とジェームズ。
「だからパパたちを呼んだんでしょう?」
が少しじれったそうに言った。
すると、リーマスがにっこり笑ってを見た。
「もちろん分かってるよ、
「それにシリウスが余裕そうな笑みを浮かべてるってことは、なんか良い方法を思いついたんでしょう?」
ハリーのその言葉にシリウスがクックッと笑った。
「ハリーは鋭いな」
シリウスのその言葉にジェームズがニヤリと笑った。
「そりゃ、僕の息子だから」
「あー、ハイハイ」
シリウスは軽く流すと、に言った。
「フレッドとジョージには悪戯をプレゼントした方が絶対に喜ぶぞ。物をあげるより全然良い」
「そんなアイディア、私にはありません!」
そうが顔をしかめて見せると、大人たちは笑った。
「なんのために僕たちはここにいるのかな?」
ジェームズがに言った。
に会いたいが為」
そのハリーの突っ込みはジェームズには酷くパンチが効きすぎた。
「とにかく、まだ現役には負けないくらい悪戯のネタは考えられるさ」
「そうだね、特にジェームズはいつも悪戯を考えていたから」
実行するのはシリウスだけど、とリーマス。
「そそ。ジェームズはそういうところだけは天才的だったもんな」
シリウスも口を出した。
「僕はすべてにおいて天才的さ。悪戯だけじゃない」
「例えば?」とハリーがいくぶかしげに聞いた。
について。スリーサイズまで知ってる」
ちょうどそのとき紅茶を飲んでいたシリウスが吹き出した。
は顔が真っ赤だ。
「どうしてジェームズが知ってるのよ!」
ハリーは羨ましそうな、妬いているような、怒っているような顔で自分の父親を見た。
「ジェームズ、にセクハラ行為をした暁には、リリーの雷が落ちるよ」
リーマスは黒くにっこりと笑った。
リリーの雷よりリーマスの呪いの方が強烈そうだ。
「セクハラ行為なんかしないよ」
ジェームズが冷や汗を流しながらリーマスに言った。
五人の頭からはすっかりフレッドとジョージの誕生日プレゼントのことは抜けてしまっていた。
次の日に渡したプレゼントは悪戯ではなかったことは確か。
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フレッド&ジョージHappy Birthday!
<update:2006.04.05>