今日はシリウス、ジェームズ、、リリーたちの友人らがそろう日。
ハリーももまだ幼いが、十分にかっこよく、可愛くおめかしして、彼らの友人たちを迎えた。
「こんにちは」
ハリーとは二人固まって頭を下げた。
ブラック家の中にいる人々はそれを見て、微笑ましく思った。
「シリウスもジェームズも良い子供を持ったものだ」
シリウスとジェームズは口々に人々にそう言われ、鼻が高かった。
そんな中、集まった人々はそれぞれに昔話に花を咲かせ、ハリーとは自分たちの親を探した。
しかし、ハリーは好奇心旺盛なためか、人なつっこいためか、友人たちにだっこされては喜んでいた。
は一人で父親のもとへ、人波に流されないように歩いていった。
「パパ」
はシリウスのローブの裾をグイッと引っ張った。
「どうした?」
シリウスは不思議な顔をしてを見た。
すると、一緒に話していたルーピンか口を出した。
「知らない人ばかりでつまらないんじゃないのかい?は人見知りするから」
にっこり笑ってそう言うルーピンに安心感を覚えただが、暇なことには変わりない。
「だっこ」
は両手を出来るだけ高く挙げて、シリウスを見つめながらジャンプした。
そんなをシリウスはヤレヤレと見ながら、抱き上げ、軽く頭を撫でた。
「ハリーはどうした?」
「あっち」
はハリーを指差した。
ハリーはの知らない人に遊んでもらっていた。
「は行かないのかい?」
ルーピンが聞いた。
「パパが好きなの」
そう言ってはギュッとシリウスに抱きついた。
「じゃあシリウスと僕だったらどっちが好き?」
突然、シリウスの後ろから声が聞こえたかと思うと、ひょっこりジェームズが現れた。
「ジェームズ!たちと一緒にいたんじゃないの?」
ルーピンは近くにあった飲み物をジェームズに手渡した。
「ありがとう、ムーニー。――いやぁ、流石の僕も、スネイプが一緒だとね。リリーは別の友人のところへ消えたけど。の前でスネイプ呪うわけにもいかないだろう?」
からの仕返は怖いから、とジェームズは付け足した。
「それに、こっちにはがいるしね!」
そう言ってをシリウスから取ろうとしたが、は必死でシリウスにつかまり、ジェームズに抵抗した。
「嫌われちゃったね、ジェームズ」
シリウスがの体制を整えている間、ルーピンはジェームズに囁いた。
ジェームズは不満気だ。
「。こっちにおいでよー」
ジェームズは腕を広げた。
しかし、はシリウスにしがみつきながら、ジェームズを見つめるだけだ。
「はジェームズが嫌いらしいな」
シリウスはニヤリとルーピンと目を合わせた。
「パパと一緒がいい」
はシリウスを見上げた。
「分かったよ。僕はリリーのところでも行ってくるよ」
ジェームズはふてくされたようにぶつぶつと言うと、クルリと背を向けた。
「じゃあ僕も、向こうに行くよ。また後で、シリウス」
ルーピンはシリウスにそう言って、に手を振ると、の方に向かって行った。
「何か、食べるか?」
シリウスはジェームズとルーピンの姿が人混みに消えたのが分かると、にそう言った。
「いらない」
はボソリとそう呟いた。
「そうか。それなら部屋に戻るか?」
はシリウスにしがみつきながら首を振った。
シリウスは困った様子でを人混みから探しだした。
「あら、どうしたの?」
シリウスにギュッとしがみついているを優しく撫でながら、はの顔を覗き込んだ。
「パパはのだもん」
はを睨みつけた。
すると、は分かったように笑顔になると、シリウスに向き直った。
「は人見知りする子だし、このパーティで少し疲れたのよ。それにあなたが他の人と楽しそうに話すのを見て、嫉妬しちゃったみたいね」
はさも愉快そうに笑うと、リリーを呼んだ。
「シリウスがに取られちゃった」
「あら、案外シリウスってまだ若いのね。まだプレイボーイなの?」
リリーはシリウスをクスクスと笑った。
その間も、はずっとシリウスにしがみついている。
「どうすればいいんだ?こいつ」
シリウスはなるべく下手に出るようにしながら、リリーとに聞いた。
「そうねぇ。教えてあげてもいいけど、それだけの報酬がなきゃね」
はリリーと目配せした。
「・・・・・何がいいんだ?」
シリウスはグッと我慢すると二人に問掛けた。
「また何処かに連れていってよ。クリスマス島がいいかな」
リリーが言った。
「ジェームズに言えよ」
シリウスはふてくされたように言った。
「短気は嫌われるわ、シリウス。をそのまま寝室に連れていって。そのまま寝つくまで一緒にいれば、明日にはのご機嫌も直るわよ。子供が親を好きになるのは当たり前だし、その分、私たちもそれ以上に子供を愛してあげなければならないのよ」
さぁ、行って、とはシリウスを急かした。
リリーも同じようにシリウスを急かした。
寝室に上がると、下からの人々の賑やかな声が聞こえてきた。
しかし、はそんなことも気にならないようで、とても眠そうだ。
「良い子だ、」
シリウスはをそっとベッドの上に寝かせ、自分の服を掴んでいた、小さな小さな手を優しくほどくと、布団をかぶせてあげた。
「パパ」
は眠たそうな瞼をこすりながら、シリウスを見つめた。
「おやすみ、」
シリウスはの頭を撫でた。
「良い夢を」
既に二人の耳には下の賑わいなど聞こえていなくて、月明かりが二人のシルエットを浮かび上がらせていた。
パーティが終わって、たちが様子を見に行くと、は幸せそうに眠っていた。
シリウスの顔も微笑んでいた。
子供が無条件で親に身を任せることより、親が子供に愛情を注ぐ方が偉大な行為である。
2万Hit記念フリドリです。今は配布していません。
<update:2006.02.04>