The ties 絆
「久しぶりに二人で買い物でも行ってこいよ。ハリーはロンの家に行ってるし、だったら一人で何かしてるから。それに今日はリーマスも来るし」
ある日、母親たちはシリウスにそう言われ、久しぶりに二人きりで買い物に出かけた。
!降りてこい!」
10時ごろ、はシリウスに言われて一階に降りていった。
するとそこにはリーマスがいて、いつものように優しい微笑みでを見つめていた。
「あ」
は思わず固まってしまった。
「やあ、。お邪魔してるよ」
リーマスはに軽く手を振るとシリウスとリビングに向かった。
!そんなところで固まってないで、一緒においで」
後ろを振り向くとジェームズがにこにこ笑いながら立っていた。
「うん」
ジェームズと二人でリビングに行くと、すでにシリウスとリーマスは暖炉の前で床に座ってくつろいでいた。
「何の話をしてるんだい?」
ジェームズはシリウスの隣に座った。
しかし、は大人たちの話に加わって良いのかと三人の後ろでオロオロしていた。
するとそれに気づいたシリウスが言った。
「そんなとこにいないで、隣に座りなさい」
「いいの?別に私・・・」
「子供が大人に気を使ってどうするんだい?」
ジェームズは笑いながらの背中を後押しし、どうにかシリウスとリーマスの間に座らせた。
「今日はリリーたちもハリーもいないんだね」
リーマスはふと気づいたように辺りを見回した。
「うん。シリウスがリリーたちを追い出しちゃったんだ。あ、ハリーはロンの家だけどね」
ジェームズはそう言うとシリウスを見た。
「追い出してなんかいない!ただ、買い物を勧めただけだ」
シリウスはムキになって反論した。
「先生は今日は暇だったの?」
突然に話しかけられたリーマスは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑顔でに答えた。
「私はいつでも暇なんだ、
「あ、ごめんなさい・・・あの、私・・・・・」
はまさかそんな答えが返ってくるとは思わず、後悔した。
すると、リーマスはを元気づけるように言った。
「子供が大人に気を使ってどうするんだい?
リーマスはジェームズの言葉を復唱した。
「まあ、珍しく志雄らしすぎだけどな、。リーマスが来てるからか?」
シリウスは新しいおもちゃを見つけたように意気揚々と言った。
「あれ、そうなのかい、。だとしたら私も大歓迎だよ」
リーマスもシリウスに便乗した。
「はい?」
は訳がわからない、というような顔でリーマスを眺めた。
すると、そのときジェームズが三人の会話に割り込んできた――を後ろから抱き締めながら。
「ちょ・・・・・」
の顔は真っ赤だ。
「リーマス、が困ってるだろ?」
そうだよね、とジェームズはに聞いた。
はおまえに抱きつかれて困ってるんだよ」
シリウスが呆れながら言った。
「それにをからかって困ったのはおまえだろ、ジェームズ」
ニヤリとしか表現出来ないような笑みでシリウスはお見通しと、ジェームズを見た。
ジェームズも降参なのか、肩をすくめてを放した。
「流石」
ジェームズがそう言っての後ろに座った。
「あれ、じゃあ僕は眼中にないってことなのかな」
リーマスもやはりシリウスと同類で、に、にっこりと笑いかけた。
「あ、いえ、そんなわけじゃ・・・」
はまた慌てふためいた――肯定すれば先生を好きということになるし、否定すれば、先生はショックだろう。
「リーマスもそんぐらいにしてやれよ。あんまりをからかい過ぎるとハリーがうるさいんだ」
シリウスがため息混じりにそう言った。
「ハリーが?良い子だか――あぁ、へぇ、わかった」
リーマスは独り言を言ううちにだんだん理解していったのか、一人で頷いた。
「え、そうなの?」
ジェームズも我が子ながら驚いた。
ただ一人、わかっていないのはだ。
「おまえ、親だろう・・・・・」
シリウスが呆れながら、ため息と共に言葉をはいた。
「まあ、それは置いておいて――が話についてきてないよ」
ポンポンとの頭に手をのせてリーマスが笑いをこらえるように言った。
「先生、子供扱いしないでください!」
はリーマスの手を退かしてふてくされた。
すると、シリウスは本当のことだろう、とリーマスの肩を持った。
「おまえは私たちにとっていつまでたっても子供だよ。おまけにかなりの好奇心旺盛な危険に首を突っ込みたがる癖を持ったな」
「あっそ。それはどうも」
は舌を出してシリウスに言った。
「でも、パパだってそこらへんの綺麗な女の人に色目使ってたでしょ」
「シリウス、未だに年を感じさせずにプレイボーイだったのかい?」
のシリウスへの反撃をリーマスは鵜呑みにして言った。
「シリウスは昔からモテてたからなー。もよく我慢出来たよね」
ジェームズは今更ながらに感心した。
「え、パパ、モテてたの?こんななのに?」
すると、それに驚いたはすっとんきょうな声をあげて言った。
「おまえさぁ、自分の親、指差してこんなはないだろ、"こんな"は」
シリウスは軽くの頭を叩いた。
「シリウスがモテてたのは本当だよ、。でも、も同じくらいモテてたけどね」
ジェームズが言った。
「そう、二人は美男美女の理想の二人って言われてたけどねぇ」
リーマスの顔はなぜだか暗い。
「一回、シリウスとが大喧嘩してね。まあ、原因はシリウスがスネイプに嫉妬したからなんだけど」
ジェームズはいきなり笑い始めた。
「今となっては良い思い出だよ。あのとき、ずっとシリウスからトバッチリを受けていたしね」
ふーん、とはジェームズの言葉を聞き流してはみるものの、内心三人だけ盛り上がっていて取り残されたような気がしてならなった。
そんな気配を察したのかシリウスが優しく笑いながら言った。
「昔話をしているのはおまえを除け者にするためじゃない。だから、そんな顔をするな」
「だって」
はまだ不服そうに言った。
「じゃあ、こうしよう。今はまだ分からない僕たちの作ってきた道を、君がただ一人の人のそばにいる事を心から望む日が来たのなら、すべて話そう」
「そんなの・・・・・来なかったら?ずっと分からないままじゃない。それに、そんな約束覚えてないかも知れない」
手っ取り早く今、話せばいいものをリーマスは良いムード作りのためか、複雑にし始めた。
「大丈夫、君なら来るよ」
「どうしてそんなことが言えるんですか?」
は何の根拠もない、とばかりにリーマスを見た。
すると、彼はいつもの優しい笑みではなく、不敵な笑いでを見て言った。
僕が君の心を掴んでみせるよ
その後、リーマスはジェームズとにこにこと見つめ合いをしたり、シリウスは頭を悩ませたり、家は大変だった。
その中では格好良かったな、とリーマスの笑顔を思い返し、リーマスになら掴まれてもいいかも、など思っていた。
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ごめんなさい。趣味です、管理人の。(-_-;)
<update:2006.01.07>