祝福のクリスマス。
今まで出会った人にも感謝を込めて。
クリスマス当日、25日の夕方。
の家は大賑わいだった。
「!何でこいつが家にいるんだ!」
家中にシリウスの叫び声が木霊した。
「あら、昨日言ったでしょう?聞いてなかったの?まぁ、あなたなら聞いていないでしょうね」
いやみったらしくが言うと、シリウスはふてくされてしまった。
「あーあ。私もハリーとリリーについていけばよかった。よりによってこんな人なんて」
は本人に聞こえないように呟くとジェームズを見た。
「ジェームズも嫌いなの?スネイプのこと」
するとジェームズははっきりと言った。
「嫌いというか宿敵だな」
ジェームズは今や決闘場となりうるシリウスの家を眺めた。
「まあリーマスも来るみたいだからな、決闘は出来ないよ、」
「リリーよりもリーマスの方が恐ろしいからな・・・」
シリウスもジェームズも大袈裟に溜め息をついた。
「あーあ。せっかくのクリスマスなのに」
は家にいる大人たち――シリウス、ジェームズ、スネイプ、――を見回した。
こんなメンバーで楽しめという方がどうかしてる。
そのとき、家のチャイムが鳴った。
リーマスが到着して、役者が全員そろった合図でもあった。
「さあ、食事にしましょう」
沈黙は金なりとよく言うが、恐怖なりの間違えではないかとは思った。
席についたはいいが、シリウスとジェームズはスネイプと睨み合いを始めるし、リーマスは別に慣れているのか止める気配もなく、はスネイプに楽しそうに話しかけていた。
には地獄だった。
するとその気配を察してくれたのか、リーマスはに話しかけた。
「、クリスマスは楽しいかい?」
リーマスはにこにことを見た。
しかし、はその質問に答えるのは困難だった。
「えっと・・・そこそこってところです」
は肯定も否定もせず、上手く答えた。
「そう?ずいぶん固くなっているみたいだけど」
リーマスは気さくにそう言うとシリウスに話しかけた。
「クリスマスくらい、仲良くしたら?」
「誰とだ」
「セブルスと」
リーマスはにっこり笑い、シリウスはこの世の終わりのような顔をした。
「ジェームズだって仲良くしなきゃ」
「リーマス、君となら仲良くするけどな」
リーマスの笑顔にジェームズはさらりと笑顔で流した。
リーマスもジェームズには敵わないらしい。
そんな三人を横目に、はスネイプを買い物にさそった。
「セブルス、今日、今から二人だけで出かけない?久しぶりでしょ?」
スネイプもシリウスの絶望的な表情を見て優越感を感じたのか、ニヤリと笑い、あぁ、と答えた。
「あーあ。シリウス、フラれちゃったね」
ジェームズが面白そうに言った。
「スネイプはママのこと、好きなんでしょう?」
が二人に聞こえないようにリーマスに聞いた。
「うん、そうだよ。そうすると、シリウス、君は危うい立場だね」
リーマスも追い討ちをかけるように言った。
そのとき玄関からの声が聞こえた。
「!じゃあいってくるから後はお願いね!」
「いってらっしゃい!」
も負けじとリビングから玄関に向かって叫んだ。
「さあ、、私たちもクリスマスを楽しもうか」
リーマスが言った。
「賛成!」
The twelfth day of Christmas
My true love sent to me
Twelve lords a-leaping,
Eleven ladies dancing,
Ten pipers piping,
Nine drummers drumming,
Eight maids a-milking,
Seven swans a-swimming,
Six geese a-laying,
Five gold rings,
Four colly birds,
Three French hens,
Two turtle doves,and
A partridge in a pear tree.
シリウスもジェームズもリーマスもも大空に舞い上がった。
風は冷たいが、彼らの心は暖かかった。
すでに太陽は沈み、周りの家の窓からは暖かな光が溢れ、町の方からは輝かしいばかりに光が見え、賑わった声も聞こえそうだった。
素晴らしいとしか言いようがなかった。
「もう少し上に行ってみようか」
先頭を行くジェームズがに振り返って言った。
「うん!」
ジェームズはが頷いたのを確認するとさらに後ろにいるシリウスとリーマスに向かって叫んだ。
「雲の上に行こう!」
シリウスもリーマスも片手を挙げて、ジェームズに同意を示した。
雲の中をつきぬけ、もっと上に行くと空には遮るものがなく、星が綺麗に見えた。
「、綺麗だろう?」
後ろを飛んでいたシリウスがの隣に来て言った。
「うん、とっても素晴らしいわ!」
シリウスはの様子を満足そうに見た。
すると先頭を飛んでいたジェームズがスピードを緩め、シリウスと並んだ。
「シリウス、自分の娘をナンパしたらにまた怒鳴られるよ」
「誰がナンパだ!」
シリウスはジェームズを睨みつけた。
しかし、ジェームズは気にする様子もなく、はそっと二人から離れた。
リーマスはが箒のスピードを緩めたのに気づき、隣に並んだ。
「寒くないかい?」
「大丈夫です」
はニッコリとリーマスに笑いかけた。
二人がそうやって並んで飛んでいると、いきなりシリウスとジェームズが止まってこっちを向いた。
「もうそろそろ降りようか。みんなが帰ってくるよ」
四人、並んで下降し始めた。
は家に帰ったら暖炉の前のソファーで暖まろう、と考えていた。
町のクリスマスソングが聞こえる。
もうすぐクリスマスも終わる。
Merry Chrstmas!
Merry Christmas to you!
<update:2005.12.25>